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風の想い人  作者: 北見海助
第二章 恐怖の象徴編
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九十三話 弥生奪還

遅くなり申し訳ございません。

飯田正則が出ていき自力で脱出することが出来ないと分かった弥生は少し前に中央支部の道場で会った太陽を思い出していた。


「弥生ちゃんは時成のことは好きかい?」


雑談をした最後に思い出したかのように太陽から弥生に唐突にそのことを聞かれたその問いに少し驚き考えてしまった。そして長考の末、諦めて素直になった。


「はい。好きですよ」


「それならよかった。俺と天将はあの時に二人を離したこと後悔していた。だからそう言ってくれて良かったよ」


言ったように少し後悔が滲む太陽に弥生は黙ってしまった。


「全てを思い出したときに二人の為になるようなものを残すようにしようと思っている。俺は二人の結婚は賛成だよ。けど弥生ちゃんはあの子に告白させようと行動しているよね?」


「まぁそうですけどなかなか上手にはいきませんね。それにしてもどうしてそこまでしてくれるのですか?」


「まぁ唯の心配性な親心だよ」


やっぱり似ているな血の繋がりを感じる。天将もあの笑顔に堕とされたんだっけ


懐かしい思い出に浸っていた太陽は最後に一つのお願いとアドバイスを弥生に送った。


「なぁ弥生ちゃん。俺が死んだら時成は絶対に自暴自棄になるはずだ。その時はよろしく頼むよ。

妖力の回復が伸び悩んでいるだろう。大事なのは想いの強さだよ。それが強ければ強いほどよく力が使えるはずだ」


そう言って太陽は出て行った。それを聞いて弥生は歩いていく太陽に頭を下げた。



ー--------------


ソーキと別れた時成は最上階に行く階段を登っていた。その時にキャーと甲高い弥生の悲鳴が聞こえてきた。時成は自分の能力を全力で使い最上階の部屋について扉を斬り刻んだ。


そこには今にも弥生を襲いそうになる正弥と手足を縛られながらも必死で逃げ回っている弥生がいた。


「やっぱりお前がいたか、飯田正弥」


「グリーンアイか、貴様」


時成は天将から貰った短刀を握り直すと正弥は自分の腰に帯びていた、長さ70センチ位の刀を抜刀させた。そして二人は見つめ合うが二人は間合いを図るべく距離を詰めていく。それを弥生は黙って見ることしかできなかった。


「お前を斬る」


そう呟いた時成は加速する。速さで攻撃した時成の二つの短刀と正弥の刀が交差する。だが時成は正弥の力に合わせるように自分の力を抜いた。少しずつ自分の右手にある刀の方向に力を合わせて最終的には正弥の刀を右側にいなした後腰を左から右へ回転させて左手にある刀で水平切りをする。


「おっとそうはいかないぜ」


正弥は強引に左へ刀を持っていき時成の攻撃を受けた後態勢が崩れ時成に壁へ吹き飛ばされる。そこからが時成は行動が早かった。背後にいた弥生に左手の刀を渡した後、服の胸ポケットから沙羅特性の黒いロープを正弥に投げつけ拘束する。正弥を拘束しているのを確認した後時成は弥生の方へ向かった。


「もう遅いよ……バカ」


時成が渡した刀で自分で拘束を解いた弥生はそう言って、時成に近づき短刀を返して背後に周り背後から抱きついた。


「ごめん、油断してしまった」


「もう怖かったんだからね」


後ろにいる弥生の涙で時成の背中は濡れていた。そして休憩した後二人で階段を降りていった。時刻は午後7時を過ぎようとしていた。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

次回『風の想い人』九十四話は11月25日に投稿する予定です。

次回もよろしくお願いします。

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