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風の想い人  作者: 北見海助
第二章 恐怖の象徴編
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九十二話 『影の執行人』

残酷な描写があります。


影道の体は全身に傷がありその部分を覆うように自分の影を操って止血しているがすでに満身創痍だった。一方テツはというと妖力が無くなりかけており、能力の効果が弱くなっていた。


二人の攻撃で敵の飯田軍の軍人は残り7人まで減っており中でも右原川の魔力も途中で大技が飛んできておりかなり減って来ていた。


「体に衰えを感じるな」


「ああ」


二人は年を取りたくないなとよく話していたのだが、戦闘をするとなると若い頃のように力任せの戦闘では体力が無くなったと感じ始めていた。


「さて行こうかな」


そう言うと影道は止血のために体に纏わせていた自分の影を元の背後付近に戻す。そしてテツを軽く見てから一瞬で目の前から消えていた。


「マジか」


テツはこの後の影道の行動が簡単に想像することができた。だからテツは邪魔してくる残った五人の飯田軍人を放置して突っ込んだ。度々攻撃に参加していた右原川と上雲はこの場面では後方に引いていた。


次の瞬間、テツの視界には右原川の背後からの影道が斬りかかる所を捉えた。だが右原川は目の前にいる自分にしか気がついていなかった。だからこそテツは近くにいる上雲を狙うことに集中した。


「狂さん背後」


そう言った上雲は一瞬だけテツを視界に外していた。その僅かな隙を集中していたテツが逃すはずはなかった。鉄を纏わせて上雲の腹部を思いきり殴った。振り切った腕の先には飛んで行く上雲がいた。そして近くにあった木に当たり気絶した。


その声に気がついた右原川の背後から、影道の凶刃が襲った。だがその出来事は一瞬で背後から心臓にかけて刺されていた。


「おいお前。何故……そこ……にグフッ……申し訳ございませんまさ……のり……様」


赤い鮮血が戦場に飛び散り右原川は膝からうつむいて倒れた。そしてもう二度と開くことのない目を閉じた。だが影道は心の中で舌打ちをしていた。


ちっ外したか


心臓を狙って刺したはずの剣が右原川が声に気がついて少し右に避けていたのがずれた原因だった。そして


「気がついたら死んでいる。そんなことは良くあることですよ。だから人を見失うことは命とりになりますね」


右原川の返り血を全身に浴びた影道は自分の血がどれか分からなくなるぐらい赤く染まっていた。そして目を閉じてから静かにそう言った。


「はぁー斬るならそう言ってくれ、分かっていても驚くからな」


テツは気絶させた上雲をロープで拘束して、文句を言いながら戻ってきた。


「まぁ勝ったから許してくれ」


そう言うと二人は目を閉じてから殺した人達を弔ってから、上手くいったことに喜びを感じて静かに笑った。だが影道は少し気を緩ませたのか目を閉じて気絶してしまった。時刻は午後7時を過ぎようとしていた。

次回『風の想い人』九十三話は11月18日に投稿する予定です。

次回もよろしくお願いします。



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