八十八話 因縁の戦い
遅くなり申し訳ございません。
たくを残して飯田の拠点の中に入った一行は途中で普段通り歩くのには幅が広い廊下で近接戦闘集団10名に遭遇した。
「弥生を頼む。ここは俺の得意分野だ、先に行け」
天将は一瞬でたくのサポートも出来るこの狭い場所で居残ることを決めて二本の刀を抜刀する。そして一行は天将を置いて進んでいく。
二階に上がると待ち構えていたかのように宴会ができそうな部屋に飯田正則と上野虹目が待っていた。虹目はすでに魔法陣を起動していた。
「何人かもらいます」
そう言うと虹目はすでに起動していてた転移魔法陣を時成と紗奈香の足元に展開する。だがその虹目の行動に気がついた美羽はテツの計画通りに対戦の相手するために時成の方に走った。
「さあ行って、こっちは任せて」
美羽はそう言ってから時成を飛ばして自分が展開しかかった魔法陣の上に乗って転移して行った。
「やっと全力でお前と戦える。二人とも行け弥生は最上階にいるはずだ」
刀を抜刀してから飯田正則に俊足で斬りにかかるが飯田正則の能力で受けられてしまう。そのまま白い刀をはじいて正則が刀を抜刀して鍔迫り合いになった。
「俺に従う人達を殺し続けた挙句、人を助けようか。それを簡単に許すことなど俺はしない。これまでの罪を償わせてやる」
「お前を殺す」
太陽はそのまま近接戦に持ち込みソーキと時成のことに気がとれなくなった正則は二人のことを諦めて太陽と勝負することにした。そして純粋な二人の殺気を背中に浴びながらソーキと時成は階段を上っていった。
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太陽と美羽と紗奈香と天将を残したソーキと時成は三階まで上がって来ていた。この三階は会議室が3つあるのだがなぜか壁が取り払われて一つの大きい空間になっていた。その空間の中にソーキのターゲットである新中黒尾が部屋の中央で立っていた。
「いた、先に行け時成。俺のターゲットだ」
「武運を祈ります。死なないでください」
それを聞いたソーキは時成が上の階に行くのを確認する。そして自分のターゲットである新中を発見すると左側の剣も抜刀した。それに気がついた新中は上段で刀を構えた。その様子を片目で見ながら見えていた奥の四階へ上がる階段に直行した。
「ここまで来るとはな。そんなに死にたいのか?『属性剣士』」
「いいや、お前を殺しにきた」
二人は自分が届く間合いまで入り牽制し合う。そのうちに時成は階段を駆け上がっていく
「追いかけなくてもいいのか?」
仮面の中で口角を上げながら、相手を嘲笑しているかのようにソーキは質問する。
「それが出来るならもう行動している。まぁ……今なら見逃してやる」
それに対して新中は冷静かつ煽り口調を忘れずにソーキの質問に回答する。
「それはこちらのセリフだ」
「何処まで言っても平行線のようだな」
そう言いながら新中は少し思案した。今日初めて合うはずの属性剣士の声は、ずっと昔に何処かで聞いたことがあるような気がした。
ゆっくりと剣が届く端の距離を歩きながら見合っていた二人だったがソーキから一歩前に踏み出して攻撃を開始した。
魔法陣展開、属性付与
斬りかかったソーキの剣は横から振り始める瞬間、燃えるような紅い炎を纏い新中を襲ったが、新中は少し後ろに下がり、自分が斬られないギリギリの所で避けてから反撃に転じた。
左から新中は右下に斬り下がり、それを間一髪でソーキは避ける。だが新中は攻撃の反動を使い、上から右下に斜めに斬りかかった。そして反応が遅れたソーキは左手の剣で攻撃を止めようと試みるがすぐに弾かれ新中の攻撃は勢いが少し弱くなった力でソーキの鼻の上に当たった。
パリンと言う音と共にソーキの仮面が真ん中から左頬にかけて割れてうっすらと血が滲んでくる。そのようなことを気にもとめずにソーキは体制を整え直しながら新中に話かけた。
「あーあ割れてしまったよ。まぁこれで俺が誰か、何故俺がお前を狙っていたか分かっただろ」
ソーキは斬られた額から血を流しながら割れた仮面の一部を黒い服の中にいれて魔法陣を再展開する。そして新中は左目と鼻と唇の一部を見て今目の前にいる敵が誰なのかを思いだした。そして少し戦慄した。
「まさか生きていたとはな死んだと思ってたよ金城創一」
金城創一。かつて滅んだ風雲一族の側近を代々勤めていた金城一族の跡取り息子の名前だった。
「いやそいつは死んでいるよ……何故ならその名前はあの日|俺が捨てたからな」
ソーキはそう言いながら両手の剣に炎の魔法陣を展開すると二人は再び剣を交えた。時刻は午後6時55分を回っている。
次回『風の想い人』八十九話は11月1日に投稿する予定です。
また突然ですが活動報告で予告していた連続投稿は11月1日、2日、3日の3話連続投稿になります。
次回もよろしくお願いします。




