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風の想い人  作者: 北見海助
第二章 恐怖の象徴編
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八十二話 崩壊の兆し

ここは風魔連合共和国の首都魔京。ここには飯田家が拠点とする基地という名の城が立っていた。その最上階には飯田幹部に拉致されて連れて来られた南雲弥生がいた。


「いいの?私を拉致なんかすればお父さん達が黙ってないけど」


直径5センチ以上ある紐で両手と両足を括り付けられ、その紐を壁に繋がれている。あくまで強気な態度で屈しない弥生を見て正則は軽く笑った。


「暗部は来るが全面戦争にはならないな。味方の数が少なかればいくら黒の殺し屋(ブラックキラー)と言えど苦戦するのには違いない。それを見越して戦力を増強したんだからな。勝つのは俺達だ」


「甘いよね。貴方も」


正則の顔つきは一層苦虫を嚙み潰したように険しくなる。そしてバンと言って弥生は正則に蹴られて壁に吹っ飛んだ。


「そんなに叫ぶなら、来ない助けでも求めて叫んでろ。もしここに助けに来たお人よしがいたらそいつの死体を見ながら後悔させて殺してやるからな」


そう言って正則は弥生を最上階に閉じ込めた。それから二時間後。この拠点には侵入者が現れた。


ーーーーーーーーーーーーーーーー

良正の報告を聞いたテツは素早く決断を下した。


「影。勝負の時だ。出来るだけ早く動けるだけ人を集めてくれ」


報告を聞いたテツは立ち上がりそう指示をする。目にはいつもより光が灯り不敵に笑っている。それでも心の中で静かに闘志を燃やしていると時成はそう思った。それは何もテツだけではなかった。


「了解です」


短くそう答えた影道はもうすでにこの部屋から居なくなっていた。


二時間後。時刻は5時30分。戦場へ行く準備が整ったテツは道場にいた時成たちに会いに来ていた。


「来なくてもいいんだぞお前ら」


テツは一緒に行こうとする時成、真、沙奈香に冷たく話す。だが三人はもう覚悟を決めていた。


「弥生が奪われた時点で行くことは決めてます。約束が守れない男など生きていても意味がないですから」


時成の黒目に光が点り、真っ直ぐテツを見据える。その目を見たテツは五代目を失った時の太陽の暗い顔を思い出した。


彼女は君の中でそれほどまでに大きい存在だったんだね


教え子の成長にうれしくなるテツは他の言い分を聞いた。


「弥生を奪い返すのは当たり前。あの娘がいないと楽しくない。それに弥生の為になら自分の命を懸けてもいい」


「だな」


沙奈香は真と時成を見てそう答えた。そして真はその言葉を聞いて頷いた。それを聞いたテツは笑いだした。


「そうだよなー。約束だし、楽しくないし、助けるのが当たり前だし……その覚悟、合格だ。三人とも連れていく。姐さん頼む」


「りょーかい」


黒い魔法陣を展開して転移魔法を展開する。その転移先は勿論飯田の居点だった。


中央支部から転移してきた時成達は飯田の居点前で止まった。水無の拠点から金城夫妻が連れてきた暗部が5人。中央支部から連れてきた部下が10人。黒の殺し屋(ブラックキラー)及びその家族10人(もかなだけは戦闘職じゃないため除外)それに偶然帰ってきた蓮と美羽の合計27人が暗部が緊急で動かせる総戦力だった。


「俺達の想いを縛るものはもうなくなった。目標は唯一つ、南雲弥生の奪還のみ。抵抗する奴は魔法使いの化け物であろうと妖怪であろうと全員容赦なく蹴散らせ。俺達に逆らったらどうなるか、世間に見せつけてやる。いくぞー」


高らかと声をあげるテツにオーと掛け声をする戦闘参加者は飯田の居点に攻めこんだ。

次回『風の想い人』八十三話は9月19日に投稿する予定です。

来週も日曜日投稿ですが次回もよろしくお願いします。

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