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風の想い人  作者: 北見海助
第二章 恐怖の象徴編
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七十七話 悪夢は突然に

2月14日ここはレストム要塞の会議室。ここに水笠亮二と春風時成が対談していた。


「お久しぶりです」


「いやーあれから約3ヶ月。時が進むのは早いなっていつも感じるよ」


「そうですね。風魔連合共和国の議会では南部と北部ぼ意見が割れていてこっちには手が出せない状況です。飯田正則も目立った戦闘行為は避けようとしているみたいです。レストム要塞の方は警戒した方が良いですが、本格的な南側からの再侵攻は春くらいになるだろうと隊長が予想していました」


座っていた亮二は納得して頷いた。


「飯田正則と戦闘して引き分けたみたいだが、どうだったんだ?」


1月前に聞いていた報告の真実を聞いてみようと亮二は目を細めて考えるように聞いた。


「まだまだ俺の実力不足です。引き分けることが精一杯でした」


握り拳を力強く作る時成はあの日のことを思い出した。だが亮二はレストム要塞防衛戦の時の記憶をも思い出して時成に教訓になると思い話始めた。


「俺はあの日死んだと思ったんだ。だが様々な幸運で今俺は生きている。人生は勝ったり負けたりの繰り返し。何が起こるか分からないから面白いんだよ。それにあの時の約1000人以上の軍人を凍らせた『銀世界(シルバーワールド)』を使用したのが紗奈香だとは思わなかったな。それを聞いたときは俺は肝を冷やしたよ。暗部の新生には姐さんより凄い人がいるとは……。だから起きた出来事を反省して次に活かせるような人になれば良い」


「良い話をありがとうございます。それに幼馴染を褒めてくれるのは嬉しいですが、その情報はあまり公開していない事実ですから口にするのは控えてくださいよ。暗部にとっては『氷結の姫』がやったということの方が筋書きがいいですからね」


その話を聞き亮二は少し考え事をする。3ヶ月前に見た次世代の子供たちの旗振り役は君だと、思うのに十分な慕われ方だった。『春風時成は本当に捨て子なのか?』。その疑問が話しているとずっとつきまとっていた。


「君には何か秘密がありそうだね」


唐突に亮二は、時成に今思っている疑問を改変してぶつけた。


「ええ、もちろん僕も秘密の一つぐらいはありますよ。しかし人間誰しも秘密の一つはあると思いますけどね」


「まぁいいさ君が何者だろうと黒の殺し屋(ブラックキラー)の全員が認めた弟子なら、俺はこの立場と共に君の味方になるよ」


そう言って亮二は自分の右手を時成に差し出した。そして時成も分かって右手を伸ばして握手をする。


「ありがとうございます。それと差し支えなければ聞いてみたかったんですが、あなたと黒の殺し屋(ブラックキラー)の関係って何なんですか?」


握手をした後に時成も今、自分が思っている疑問をぶつけた。


「あの人達は誰も言わなかったんだなぁ。まぁ、ただ単にあの人達の後ろを追いかけ成長してきた弟分だよ」


「えっ……」


亮二の返事は想像とは別角度から殴られたみたいに時成は心に衝撃を受けた。だがそんな亮二はニヤッと少年のような笑みを浮かべ感傷に浸っていた。


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その夜龍我透は久しぶりに夢を見ていた。


「終わりだよ辻斬り。その体ではもう動けないはずだ」


飯田正則は燃え上がる建物の中で辻斬りにそう言った。彼の腹部は損傷し流血している。その光景はもう見たくなかった知り合いが……辻斬りが死ぬ未来の夢だった。


ハッとして透はその夢から覚めた。まだ空は真っ黒で三日月が見えていた。


「誰か暗部はいないか」


時刻は明け方の4時。だったが暗部の一人は呼ばれてすぐに長老のそばに駆け寄って頭を下げる。


「本日中に太陽に会いたい。手配の方よろしく頼む」


「了解しました」


暗部の一人は闇夜に消えていった。ただそれはまだ始まりに過ぎなかった。


 次回『風の想い人』七十八話は8月19日に投稿する予定です。

 お盆休みとか連続の祭日とかに更新することが出来なくてすみません。私生活が落ち着いてきた頃からタイミングを見計らって連続投稿できればいいなと思い考えています。具体的な日程とかはまだ未定です。

 次回もよろしくお願いします。

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