七十一話 「風斬り カマイタチ」
6月17日に投稿する予定だった話です。約一週間空きました。遅くなり申し訳ございません。
「サア、ココからが復讐ノ時間ダ」
時成は短剣を右手に持ち肩の高さまで上げてから右足を半歩下げた。飯田正則は刀を時成の前に向けた。時成は正則との間合いを詰めるべく地面を蹴った。自分の視野に捉えていた時成は辛うじて見えていたが俊足と言っていいほど動くスピードが速かった。
「おいおいおいまじか……よっ」
時成の突き攻撃を間一髪でよけたと思っていた正則だが脇腹を斬られていた。血を止めようともわずかの隙でも与えたら暴走状態の時成に殺されると言う身の危険も感じていた。
「マダダ」
そうボソッと呟いた時成は体を反転させて突き攻撃をする。だが何回も攻撃に当たる正則ではなかった。時成の攻撃に自分の能力の物体に時成を襲わせて自分は突き攻撃を刀で防御した。斬られたのは時成だった。時成の脇腹から赤い血が流れる。それと同時に少しずつ息が上がり、体のキレが無くなっていた。しかし時成は気にすることもなく攻勢に出た。
「次はナイ」
まだスピードが上がるのかよ。だが息切れし始めたなあいつ。最初は驚いたが報告にあった通りだな
少しにやけた正則は時成の攻撃に合わせてさっきと同じカウンターを仕掛けた。接触した時成と正則は立っている位置が逆になった。
「風斬り カマイタチ」
「が……はぁ」
3秒経った後から正則の服がバサバサと切れ、斬られた体のあちらこちらから痛みと血が後からついてくる。正則は斬られたことに気が付かなかった。
「グフゥ」
正則は辛うじて刀を握っており地面に刀を突きさして立っていた。ここまで追い詰められたのは久しぶりだった。先に限界を迎えたのは暴走していた時成だった。赤い血を口から地面に吐き、もうフラフラの状態で刀を握り続ける。
「死ねー」
白い刀で時成にめがけて飛んでくる。時成は暴走の反動が帰ってきて動くことも出来なかった。
「何で後先考えずに行動するのかなぁー。でも相手がお前ならこの行動は納得してもいいけどな」
黒い服に黒のズボン、そして黒の仮面。それを見て正則は風の民自治区の暗部だと見分ける。白い刀はその人の手に当たり握り潰された。そのような普通の人間では出来ない芸当をやった人の異名を忘れるわけがなかった。
「よりにもよって暗部隊長『鉄人のテツ』がくるのかよ」
テツは暴走状態が切れかかっていた時成を気絶させる。そして自分の近くの魔法陣からソーキと沙羅が表れた。
「さあ選べここで退くかここで死ぬかをな」
テツは少しずつ正則に近づき手の関節をゆっくり鳴らす。その足元にまた黒い転移魔法陣が表れる。
「どうやら緑の目の容態が芳しくないないようだな。焦っているのが見え見えだが、ここに他の黒の殺し屋がいる。今の俺だけでは勝ち目がないな。今回は退こう」
新しくできた黒い魔法陣に乗って飯田正則は消えていく。
「時成が無茶をしすぎている。体が心配だ。ソーキ、沙羅、帰るぞ。今回も引き分けだ」
「「了解しました」」
予め起動していた黒い転移魔法陣を沙羅は展開してそれを使って三人は中央支部へ帰った
次回『風の想い人』七十二話は6月25日(金曜日)に投稿する予定です。
言い訳ですが私生活が忙しくなってきているので予定通りに投稿できないときや遅い時間帯投稿になっております。申し訳ございません。
次回もよろしくお願いします。




