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風の想い人  作者: 北見海助
第二章 恐怖の象徴編
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六十七話 年の暮れ

遅くなり申し訳ございません。

「12月になったと思ったらもう暮れかよ」


中央支部の道場で訓練をしていた時成は入ってきた弥生にそんなこと言った。それもそのはず現在は12月29日。今年も後二日で終わってしまう。


「まぁ決算月だったし皆さん忙しいのは分かるけど、私も百鬼夜行祭行きたかったなぁー」


()()と一緒に行けなかった弥生は妬ましく時成に声をかけた。風の民の暗部は様々な所で商売や店を経営しており決算月ともあって12月は特に忙しった。


「仕事で行ってたんだし許してよ」


事あるごとに行きたかったと言う弥生の妬み顔も可愛いなと時成はつくづく実感していた。


「でも今年はかなり成長できたと思うよ」


「そうかなぁ俺は強くなったって思わないけどな」


「大丈夫。時成も十分成長してるから。それにあまり刀を持ってほしくないけどね」


満面の笑みを浮かべて弥生は時成の隣に座った。


「私が言うのもあれだけど出来れば平和な世の中で行きたいなぁ」


「そうだね。命のやりとりなんて出来ればしたくないのが本音だからな。平和に越したことはないよ」


時成はそう言って木刀を置いて休憩した。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


中央にやって来た長老の透は暗部の幹部である黒の殺し屋(ブラックキラー)と呼ばれる人たちを集めて執務室を訪れていた。


「今年一年。お疲れ様どうだったテツ今年は?」


「歴史が再び動き始めたと実感する一年でした」


テツは軽く頭を下げてからそう言った。


「お主もそう思うか。10年前から止まったと思ったのじゃがなー。時代は天才を見逃そうとはしないようじゃなぁ」


「全くその通りでございます」


太陽はそう返事をして頭を下げた。その顔はどこか嬉しそうで悲しそうだった。


「北側領主の内通はどこまで把握していますか長老様?」


たくは軽く手を挙げてからそう話し出す。


「上がって来ているものは分かっておるが、対処が難しい。いっそ新しい世代が粛清すればいいと思っておるのじゃが、いかんせん炎弧のやつは信頼できん」


「あいつはあの野郎の息子だからな」


「そうじゃけど。驚いたな、かつて顔色一つ変化させずに不良共を蹴散らしてその目つきの鋭さから『冷眼』と呼ばれたお主がここまで感情豊かになるとはわしは思わなんだ」


「嫁と師匠と娘のおかげです」


天将は頭を描いて目を細めた。そして今度は黙って聞いていたソーキに透は話を振った。


「それよりもソーキ。どうやったらあそこまで魔法が上手になるのか聞いてみたかったんじゃ」


「それは娘のやる気次第でございます。幼い時から魔法の才能を感じていました。だから魔法に本気で取り組むようになった娘を見て嬉しくなって色々教えていたら、今年に入って才能が開花しただけでございます。それとあの4人はここに居る全員の弟子で子供です」


「なるほどなぁ。なんかいろいろと納得できたのう」


長老は頷いた。そして会話は続いていった。そして透は結びの言葉として


「情勢は厳しくなるが来年もよろしく頼む」


と言い透は執務室を後にした。

次回『風の想い人』六十八話は5月27日に投稿する予定です。

次回もよろしくお願いします。

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