六十三話 将来を見るもの
遅くなってしまい申し訳ございません
夜。レストム要塞では暗部隊長テツ、海中村の領主の海鮫翔、水笠村の領主の水笠亮二がレストム要塞で会議をしていた。
「まさか暗部があんな大魔法が使える次世代の魔法使いを隠していたとはな。気が付かなかったんだけどテツ」
「あれ言ってなかったっけ翔」
「言ってないと思うんだけどなー。そうだよな亮」
「何で俺に話を振ってくるんですか翔さん。俺は知りませんよ本当に」
円い円卓を囲んで座る3人はお互いの立場は対等だが年齢だけをみると亮二が一番若い。だが仲はとても良かった。
「それにしてもあんなに可愛いかった子共達が今では凄く強くなっているとは思いもしなかったしなかったなぁ」
昨日、今日と戦場で一緒に戦った亮二は特に子供達の強さを知った。暗部結成時からテツや太陽などの黒の殺し屋と呼ばれた人達の背中を追いかけていた亮二は、今日戦場で活躍する子供たちを見てこれからも味方になると勝手に誓った。
「なあにまだまだ発展途上。今日の成功と失敗を経験して成長してもらわなければ困るしな」
「まだ成長するのかあの子たちは」
「ああ。何たって俺達暗部の子供達だからな」
テツはニヤッと笑った。それは黒い笑みでもあり、絶対に成長すると言う確信の笑みでもあった。それを見た二人は命と民を賭けた派閥争いは先代から間違えてなかったんだなと改めて感じる瞬間でもあった。
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ここは風の民本部。ここに良正が長老である透に今回の事件の詳細を報告をするために長老の私室を訪ねていた。
「……と、これが今回の侵攻と現時点で分かっている被害状況です。それと軍部隊長が意識を取り戻しました。絶対安静ですが命には別状がなく、明日には退院できるとも報告がきています」
「動仁は何か言っていたか?」
「兵士を死なせてしまい、任務を遂行出来なくて申し訳ございません。と伝えてほしいと言っていたようです」
「そうか。了解じゃほんとに命があって良かったのう」
そう言って透は一通り報告を聞いた後少し考えるため腕を組んだ。
「ご苦労だったな。他の人にもご苦労様と伝えてくれ。それとすまんが明後日には幹部会を開きたい。幹部を招集して欲しい。それとレストム要塞の防衛は亮二に任せると言ってほしい」
「はい」
終始暗部の男は透の前に姿を現すことはなかった。
そうかやっぱり紗奈香は沙羅の才能もソーキの才能も継いでいるのか。それに飯田軍の作戦を読んで作戦を立てたとも言ってたのう。さてどうしたものか
多くの情報がいる透は何となくの方針を立てるため横になっていた体を起こしてすわった。
次回『風の想い人』六十四話は5月3日に投稿する予定です。ゴールデンウイークは3日ら5日までの連続投稿といつもの木曜日投稿が重なり来週は月曜日から4話連続投稿になります。
次回もよろしくお願いします。




