六十話 形勢逆転の為の考え
鬨の声が上がる頃。亮二は暗部の男からの報告を受けていた。
「報告します。現在、海鮫翔が総大将とし、暗部隊長テツと共にレストム要塞の西から援軍500人が来ています」
「そうか」
亮二は報告を受けて黙り込んだ。この男が来る前に軍部の敗北の報告は受けていた。それでも軍部の援軍は欲しっかったなと亮二は思ってしっまった。900人の援軍が来ないと分かっている今、海鮫家の援軍が来ても戦力不足は目に見えていた。それもそのはず海鮫家の援軍が来ても飯田軍との戦力差は約2,5倍差あり亮二は出撃するという決断を下すことが出来なかった。
「時成君。来てたんだ」
報告が終わった後、時成は戦場となる焼野原に向かって行こうとして仮面を被った紗奈香に出会った。そんな紗奈香の声はいつもより低く落ち着いていた。
「もし仮に一つこの状況を打開する策があると言ったらどうする?」
「どうするって俺達の頭脳はお前だ。俺はお前に任せる」
「分かったわ。じゃあ聞いてもらう。それと一つだけ聞かせて。あなたの原点は変わってないの?」
「変わってないぜ。俺があの日言ったことを今でも出来るって思って努力してるからな」
お互いに仮面を被っているから表情は見えないだがその二人には確かな信頼があった。その場所に真と弥生も歩いてくる。その様な中、紗奈香は自分が考えた作戦を話始めた。
「戦場の真ん中で敵味方関係なく円形に広がる大魔法を放つ」
「それだけ?」
とてもシンプルな作戦だけに時成は驚いて聞き返してしまった。
「うん。簡単に聞こえるけれど、戦場で敵を集めるのは時成の仕事になると思うし、味方には逃げてもらわなければいけし、それに敵にこの作戦を感ずかれたら終わりだから大変だとおもうよ」
少し心配そうに時成を見る紗奈香に時成は即答で返事をした。
「分かった。任せろ。聞いていただろ真、弥生。弥生はソーキさんと天将さんにこの作戦でいくと伝えてくれ。真は紗奈香のサポートに入ってくれ。俺は援軍に伝えてくる。よろしく頼む」
素早く人を振り分けた時成は今来た道を行き返していった。
「亮二さん、ソーキさん天将さん、紗奈香から作戦を聞きました」
会議室には水笠家の重臣もいる中弥生は堂々と入って報告する。
「どんなのだ?」
そんな弥生の言葉にソーキが一番に反応する。
「紗奈香が大魔法を放つそうです」
「おいそれって銀世界か?」
わずかに見えるソーキのは大きく見開いていた。
「シルバーワールドって何ですか?」
この場にいる多くの人の疑問を亮二が口にする。だがソーキは簡単にしか答えなっかった。
「氷の大魔法」
なるほどあれを使えば形勢は逆転出来るな。それに使わなければ無理だよなこの状況から逆転するのなら
ソーキはそこまで考えてから発言する。
「展開まで20分かかる大技だからそこまでは耐えましょう。技の威力は保証します」
昨日の戦闘でこの場の多くの人の信用を勝ち取っていた、ソーキの発言に全員が頷いた。
-------------------------
飯田軍は昨日の戦闘で焼け落ちた門の前に兵力の半分、約1300人が集結していた。
「敵は要塞の中だ行くぞー」
右原川狂朗の掛け声と共に魔法士部隊は魔法陣を起動する。その場所にソーキと天将が仮面を被って歩いてくる。ソーキが二本の刀を抜刀して付与魔法陣を展開する。ソーキは胸の付近で腕を交差させる。そして魔法士部隊は魔法陣を展開する。無数の炎が二人に襲いかかった。だがそんな魔法は二人によって斬り裂かれてしまう
「俺が狂戦士を相手するから」
「了解」
ソーキはニヤリと笑みを作る二人とも指揮官ではなくただの兵士だから二人の思考は同じだった。
暴れれるだけ暴れよう
負けず嫌いな二人が飯田軍に突っ込んでいく。その後ろには籠城していた水笠軍の全軍約400人も出てくる。それは20分と言う長くて短い時間をするための戦闘が開始された瞬間でもあった。
次回『風の想い人』六十一話は4月8日に投稿する予定です。
次回もよろしくお願いします。




