表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風の想い人  作者: 北見海助
第二章 恐怖の象徴編
58/255

五十八話 「懐かしいだろこの光景」

時刻は午後10時をすぎた頃。飯田軍に包囲されているレストム要塞では緊張感が高まっていた。


昼の戦闘で戦線が膠着状態に入ったのだが戦っていた兵士の殆どが怪我をしており、万全な状態ではなかった。幸いなことに死者はまだ出てないが次の戦いになれば兵士はここで死ぬことを覚悟するしかなかった。


その様なレストム要塞の会議室では黒の仮面を被り、黒のズボンに紺のYシャツを着て、黒いスーツを羽織っている男が、ここを守る領主の水笠亮二に報告していた。


「水笠亮二さん暗部隊長テツからの伝令です。明日の朝にはレストム要塞(ここ)に海鮫家からの援軍500が到着する予定ですでに水増村に入っているようです」


座っていた亮二は立ち上がり報告に来た男の両肩を手で押さえて


「ほんとか」


と言った。そして会議室にソーキが寝顔で現れる。それを見て報告に来た男は静かに笑った。


「ソーキ無茶しただろ」


報告に来た男は冷眼の天将。今日は多くの場所を伝令として訪れ、前線の戦況を報告していた。


「やっぱり分かるんだな天将」


ソーキも静かにそう言った。ソーキは今も軽く怪我をしているが表情に一切出すことはない。だが隠している怪我に最初に気がつくのはいつも天将だった。


「治療者が多い部屋に弥生がいる。診てもらえ。火傷だと思うがな」


ほんとどこで原因が分かるのか、相変わらずだなこの男は


ソーキはそれを聞いて反論することはなく、大人しく弥生がいる部屋に向かって行った。


「すみません。報告が曖昧でしたね。援軍の総大将は海鮫家当主の(かける)さんです。ですが蓋突村は飯田側に落ち、これ以上は援軍を人員を割けないかと」


「これが派閥の限界ですか。北部を守る領主達の情報とかありますか?」


目を瞑り少し思いだそうとする天将。そして、ポンと手を叩いた。


「見ノ木村との界にある水無(みずなし)村の領主、森野(もりの)家は旧国境に領主軍を布陣させて警戒に当たっています。また多那箕田村の浪花家は北部国境のスパイン要塞に軍を入れて警戒に当たっています。そして軍部は飯田軍と蓋突村で睨み合っています」


「そうですか。海鮫家が援軍に来るのであれば少しは荷が楽になります。伝令ありがとうございました」


亮二のその言葉を聞いた天将は頭を軽く下げて礼をしてから仮面をとった。そしてソーキが向かったであろう場所に二人は移動した。


「そう言えば弥生って誰です?」


「俺の子」


「えっええー。ってことは『冷眼の娘』ってあの娘ですよね?」


「そうだ」


亮二は空いた口が閉じることが出来なかった。目の前にいる弥生が横たわっている多くの負傷者の傷を治していたからだった。昔に見たこの光景を再び生きている時にまた見ることが出来るとは思っていなかったからだ。


「懐かしいだろこの光景」


「はい。黄金時代の時以来です」


今、この光景を見ている人はソーキと天将と亮二だけだった。


魔法使いの沙奈香。斬撃使いの真。回復能力(ヒーラー)の弥生。次世代をちゃんと育成していたのか暗部はあとは旗振り役だけだな


亮二はそう想いながらこの部屋を後にする。だが暗部の二人の言葉を聞いて再び寒気がした。


「沙奈香の読みと作戦が適中している」


と。



次回『風の想い人』五十九話は3月25日に投稿する予定です。

次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ