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風の想い人  作者: 北見海助
第二章 恐怖の象徴編
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五十六話 属性剣士対狂戦士

四日間連続投稿最終日です。遅くなってすみません。

「守るぞお前達。ここは決して通してはならない」


ソーキは高々と上げた剣に炎を纏わせる。背後からはレストム要塞の門から守備兵が流れてくる。


狂朗は魔法陣を起動する。だがソーキはそれを許さない。ソーキは炎を纏った剣で狂朗を斬りつける。だがそれを副幹部の上雲は颯爽と現れて薙刀で止めていた。


「狂戦士の右腕か」


ソーキは止められた剣を弾いて今度は左手に持っていた剣に魔法陣を展開して氷属性を付与する。だが上雲はソーキの右手の剣と接触していた薙刀を思い切り振り切った。右手の剣は薙刀に大きく上へ弾かれる。ソーキは何とか右手の剣を握り締め、反撃に出る。弾かれた剣を反動にして、大外を回って上雲の左斜め上から斜め下へ振った。


態勢が整わなかった上雲は咄嗟に後ろへ地面を蹴った。剣と接触してはいなかったもの、自分の服が右肩から左脇腹付近まで斜め下へ一直線に凍りついていた。


狂朗の魔法陣は起動し終えて、展開される。空には弧を画がきながらだが無数の斬撃が降ってくる。そのおかげで狂朗は注意散漫になり狂朗の魔法の威力が低くなった。


威力が低くなった炎魔法が辺りを埋めつくす。だが沙奈香の薄い結界でソーキや他の風の民軍にまで届くことはなかった。


ふっ……真の奴能力の扱い方が上手くなったじゃねぇか。昔のお前に見せてやりたいな。それに沙奈の結界もかなり上達している。本当に嬉しいな


敵陣に真の斬撃の雨が降った。だがその斬撃の特徴は即死性能は無く相手を痛めつけることに特価していた。だからこそ性格が悪い。


死なないが怪我はして、相手の指揮を下げる。さらには警戒しなければいけないと言う一回の攻撃で三個もおいしい所を持っていった完璧に近い真の攻撃を、この死と隣合わせの状況で使ってできたことをソーキは心の中で評価した。


この一手で戦況が膠着状態に入った。本来なら風の民軍より飯田軍では人数差は五倍だった。戦争では攻撃する方は守る方の三倍以上で攻撃をすれば有利に戦える。だが飯田軍はその情報が曖昧だった。


ある人は人数差が五倍ついていると言ったり、二倍しかついていないと言う人もいたりしていた。


膠着状態だった状況は悪化した。少し押していた戦線も押され返されていく。それに重傷者も続出して、要塞門へと下がって行く。200人投入したのにもう46人しか残っていなかった。


「残念です。もう少し楽しめたと思ったのに」


ソーキは回りに気を使いながら、上雲と狂朗を相手にしていた。不敵に笑う狂朗の左手の内側には青い色で魔法陣を展開する準備に移っていた。


「下がれー、炎魔法が来るぞー」


その叫びも遅く、魔法陣は狂朗の前で展開されていく。狂戦士の蒼い炎。前に嫁は氷魔法で完封したと嬉しそうに話していた。


俺には守るものがある。だから守らなければいけない


腕を交差させて剣の先を斜め上に向ける。剣の柄の付近に魔法陣を展開して水属性の魔法を付与する。軍の人達はソーキの声を聞いて門まで下がり完全展開されるまでにはソーキを残し全員内側に入っていた。


それに気がつかないソーキではない。だが自分が逃げるという選択肢は最初から彼にはなかった。


蒼い炎魔法が、ソーキを襲う。ソーキは水属性の剣を振り炎を斬ろうと構えた。その時ソーキの足元に魔法陣が展開される。蒼い炎が接触した瞬間ソーキは戦場から居なくなっていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

炎魔法が展開される少し前。城壁の中では亮二と沙奈香が会話していた。沙奈香の右手には魔法陣が展開されていた。


「水笠さん。お父さんと要塞の城壁どっちが大事?」


「ほりゃあソーキさんでしょ。城壁は替えがきくがお父さんはきかないでしょ。沙奈香」


亮二は何で当たり前のことを娘の沙奈香が聞くのだろうと不思議に考える。しかし亮二は狂朗の魔法陣の色と展開するスピードの遅さに気がついた。


「大魔法が来る」


それを言った瞬間ソーキの下がれと言う命令が聞こえる。亮二は寒気がした。今、レストム要塞に付与されている結界魔法は沙奈香一人で守っている。亮二もそれなりだが魔法を使うことが出来るだが目の前にいる女の子は『天才』や『化物』と呼ばれても不思議ではないことをするだろうと予感していた。


「間に合って」


沙奈香はそう言って二個目の魔法陣を展開する。正確でタイミングが良い転移魔法陣が展開されてソーキを自分の所へ転移する。


「お父さん。無茶しすぎ」


人差し指で指差しをして沙奈香はそう言った。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


魔法を放った狂朗は違和感を覚えた。確かに蒼い炎の魔法は放った。属性剣士も居た。だが蒼い炎を受けた人間は骨すら残らず灰になる。だが属性剣士が立っていたと思われる場所には灰がなかった。地面は蒼い炎魔法が通ったと思われる場所では、焼けて黒く焦げ広範囲に続いていた。そして城壁と門は黒く焦げただけだった。だが部下は誰も属性剣士が死んだのかどうか蒼い炎で埋めつくされて見てはいかった。


次回『風の想い人』五十七話は3月11日に投稿する予定です。

一週間空きますが次回もよろしくお願いします。

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