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風の想い人  作者: 北見海助
第二章 恐怖の象徴編
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五十三話 蓋突き村攻防戦

本日で初投稿から1年が経ちました。読んでくださる読者の皆様、いつもお読みいただきありがとうございます。


2月23日から2月26日までの4日連続更新の1日目です。

11月31日7時5分。見ノ木村駐屯所に飯田正則が到着した。


正則は疲れた様子など一切見せずに虹目と左出田と打ち合わせをした。


「予定通り軍を動かせ。狂の軍は妖心からレストム要塞を落とせ。俺達は蓋突きを占領し、レストム要塞が落ちたら南下する」


「正則さん。蓋突きのほうが早ければ南下して援護するのもよろしいかと」


「そうだなその都度、対応しよう」


簡単な打ち合わせをした後正則は軍を集めて蓋突き村へ出陣した。


11月31日8時22分。この日の天気は曇天だった。飯田正則率いる1200人は蓋突き村に侵攻する。これを向かえ撃つのはテツ率いる暗部15名。蓋突き村の中にある旧国境より東、約1キロで遭遇する。


先制攻撃をしたのは風の暗部の沙羅だった。物陰から近距離で右原川の蒼い炎を凍らした、氷結魔法陣を展開する。進軍してきた右翼に広範囲の氷魔法が接触する瞬間、氷魔法が止まる。


「戦闘開始、敵は風の暗部だ」


氷結魔法を止めた上野を見て中央の指揮官の飯田正則は声を上げた。その瞬間、風の民と飯田家は戦争状態に入った。


上野虹目は二個よ魔法陣を展開する。右側からは水球を左側からは火球がそれぞれ10個ずつ氷魔法が展開された方向へ放った。


バンバンと炎魔法が民家に当たり燃えていく。そして水魔法が炸裂し炎が鎮火していく。崩れた家屋に入った虹目と部下は全員、眉を歪ませた。


「転移魔法陣も使えるのか」


虹目は小さな声でそう言って、部下を本陣へ戻した。


虹目が本陣に戻る少し前、今度は飯田軍左翼が急襲にあった。


大剣を扱うたくは一人で左翼先端に突っ込んだ。


「いたぞー浮雲だー」


一人の軍人はそういった。それを聞いて左翼はたくの方へと向かっていった。その間に太陽は本陣へと斬り込んで行く。


「飯田正則覚悟しろ」


飯田正則の側近三人を斬り伏せて、飯田正則と向き合った。その他の側近は過去の教訓から巻き込まれないように飯田正則から離れていく。


「貴様辻斬りか?」


二人は腰に帯びていた刀を抜刀し刀を交差させていた。正則は右目だけを細めて口を横一文字に口を引き締めていた。太陽は仮面の奥で右頬を上げて笑っていた。


質問した正則は今刀を交えている男が辻斬りだということは辻斬りが愛用している刀の鞘と目の前の男の白い鞘が辻斬りと一致していた。


「あなたにはここで死んで貰います」


そう言った太陽は交差した刀を弾いて後ろにバックステップして再び中段に構えた。


正則の脳裏によぎったのは10年前の雨の十五夜。怒り狂った辻斬りは部下と当時幹部だった男を一瞬で殺したあの出来事。今の10年前に比べれば圧倒的に冷静な辻斬りに正則は違和感を感じていた。


正則は自分の能力を使うことにした。白い柄の無い刀が空に浮かんでいた。だが空に浮かぶ刀は動かせなかった。


乱気流で操り難いな。それにそっちに意識を持っていけば確実に俺は死ぬだろう。


お互いに猛攻しているが、体までは刀が通らない。二人の実力は拮抗していた。


だから正則は部下を呼び戻して数敵有利を取りたかったが、神出鬼没な風の暗部に翻弄されて戻すことが出来なかった。だが飯田軍はずっと圧倒的人数差で優勢を保ちながら蓋突き村の奥へ奥へと進軍し1時間が経過した頃には旧国境付近まで押していた。

次回『風の想い人』五十四話は2月24日に投稿する予定です。

次回もよろしくお願いします。

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