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風の想い人  作者: 北見海助
第二章 恐怖の象徴編
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五十一話 亡くなった理由

遅くなってすみません。

11月29日。中央支部の道場には2日前から時刻は昼の11時。テツ、影道、たく、ソーキの4人は飯田軍を相手にする時の、戦略を話し合っていた。


「太陽は今医務室で寝ている。多分だが明日には飯田が蓋突き村に攻めて来るはずだ」


テツは静かにそう伝えた。もうすぐ攻めて来るという雰囲気で道場は緊張感に包まれていた。


「少し考えた。昨日、沙奈香に言われた蓋突き村を捨てるということを」


テツは目を右手で押さえて見上げる。ふぅーと小さい音で息をはいて覚悟を決めた。


「暗部は蓋突き村を捨てることにした。作戦は昨日言っていた沙奈香が立案した作戦を使う」


ソーキは覚悟を決めたテツに向かって手を上げて話し始める。


「親としては娘が考えた案が採用されるのは良いが、暗部の命運を分ける戦だ。いつも綱渡りのように戦ってきた。本当にこの作戦で良いのか?」


ソーキに質問された3人は小さく頷いた。


「分かりました。僕は僕のすることをします」


ソーキはそれだけ伝えて道場を出ていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「虹目さん。双葉が暗殺されました」


「何ぃー」


驚きのあまり虹目の声が上がる。


「犯人は風の暗部です。近くに『裏切り者には粛清を』と言う紙が落ちていました。間違いありません」


真顔で敬礼して話す軍人の男性。それを聞いて虹目は瞬時に予定を変更する。


「現場の方には足を午後には足を運びます。そして君には、今から妖心村に行って狂を連れて来てください。最終確認に入ります」


冷静に対応する虹目に頭を下げて報告した男性は伝令のため、


「分かりました」


と返事をして出ていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


午後2時。上野虹目は双葉一利が暗殺された現場を見に来ていた。


「雪もいましたか」


虹目は近くにいた左出田に声をかける。


「虹目さんも来られましたか」


いつもより小さかった声は虹目には半分くらいしか届いていなかった。


「せっかくこっち側に来たのになー。風の民よりかは高待遇だったはずなのに。もったいない男ですね」


「口封じですかね?彼の遺体を見ましたが背後から心臓に一突きです。しかも暗部の手慣れの犯行のような気がします」


二人は赤黒ぐ残っていた血痕を見る。戦った痕跡などない。完璧な暗殺だったと二人は思うしかなかった。


「分かりません。ですが雪が言った暗部の手慣れが『辻斬り』だった場合、彼が犯人なら一つの推理は出来ますね」


良いですかと言うように虹目は左出田の方に向いて目を見つめる。


「あの男は裏切りが嫌いです。あの男が人を殺す時のターゲットは主を裏切って違う主に頭を下げている連中が多いと分かってきました。これを踏まえると一利は辻斬りのターゲットとなり殺されたという推理が出来ます」


まぁあくまでも今までの犯行の傾向を私が独自に調べただけですけどね


オォーと目を大きくする左出田に、そう思った虹目は右手の平を胸の前で手首から左右に振っていた。


「一利には今回の戦争で侵略した土地の全てを治めて、数年後には飯田の幹部になるという約束で、こちらに寝返らせました。いつも風の民にちょっかいをだしても暗部の対応が遅れたのはこれが原因の一つでもありますね。そして死んだ理由もこれだと思いますがね」


虹目が簡単に調略して少しずつ寝返るようにしたと遠回しに言っているように聞こえた左出田は見ノ木村駐屯所に戻るため歩きだした。


「正則さんが来たら戦争が始まる。先ほど届いた情報ですが正則さんは明日には到着する予定です。軍隊の訓練をお願いします」


背後にいた左出田に言い聞かせるように言った


「分かりました。出来るだけ期待に答えます。恥を掻きっぱなしではダメですからね」


虹目のお願いに気合十分と言った返事が左出田から返ってきた。



次回『風の想い人』五十二話は2月18日に投稿する予定です。

よろしくお願いします。

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