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風の想い人  作者: 北見海助
第二章 恐怖の象徴編
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五十話 『裏切者には粛清を』

11月27日、秋の終わりにしてはその日は少し暖かい日だった。風の民自治区、北部の多那箕田村にはもう雪が降っているという暗部の報告も中央支部に入っていた。


「戦いが始まる。学校は少し休んでくれ」


中央支部の執務室ではテツが時成、弥生、真、沙奈香の四人は返事の変わりに頷いた。そして4人に今の暗部の立ち位置とこれから起こるであろう出来事を説明していた。


「知っているとは思うが状況はかなり最悪だ。見ノ木村には復活した左出田率いる軍隊が1200人、妖心村(ようしんむら)には右原川率いる軍隊が2000人、合計3200人旧国境付近に揃っている。さらに本部の幹部の中には敵国の内通者もいる」


妖心村は見ノ木村の南にあり妖怪商店街『雲の扉』がある村で知られていた。また見ノ木村と同じで飯田家に従う最西端の村でもある。まだ風の民の暗部しか知らないのだが中央支部があるのもこの村だ。


一泊置いてからテツは再び話し始めた。


「長老様は元蓋突き村の村長で七領主の一人、双葉一利を暗殺することが決定した。暗殺した双葉一利の遺体を見た飯田家はどうすると思う?時成」


ごくりと唾が飲み込む音が聞こえる。だが4人の表情は変わることはなかった。時成は目を細めた。


「飯田は双葉一利の暗殺を口実に戦争を仕掛けてきます」


「そうだ。そして暗部はこれから飯田軍対策会議に入る。4人共参加しなさい」


「はい」


と全員揃えて返事をした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

二日後夜。飯田軍は蓋突き村付近にある旧国境から北へ5キロの地点にある見ノ木村駐屯所に双葉一利と上野と左出田が密談をしていた。


「明日、正則様が首都からこの駐屯所に向かわれる。2日後に到着予定です」


上野は二人の目を交互に見ながら事務報告をする。


「正則様が来るのですか?」


双葉一利は眉を上げ驚いた。上野はその質問の返事として軽く頭を下げる。


「上野さん。手筈通り、正則様が着いた翌日から風を侵略すると言うことでよろしいですか?」


「その方針でよろしいと正則様から言葉を貰っています。私が先に魔法できたのは風を攻めるに当たって詳しい情報と侵略ルートの確認をしにきました」


それを言った瞬間、上野の目が鋭く光った。その後も三人は今分かっている情報を確認して妖心村にいる右原川に作戦の手紙を書いたりしていた。


その作業が全て終わったのは夜11時をまわっていた。双葉一利は見ノ木村駐屯所から、見ノ木村にある飯田家から借りていた自分の家に帰ろうと路地裏を歩いていた。


「ウッ……」


急に自分の左胸に痛みが走った。よく見てみると自分の左の胸は銀色の刃が背後から貫通していた。それと同時に双葉一利は口から血を吐いた。そして少しずつ体が寒くなった。やがて意識が朦朧とし、意識が奪われた。


背後にいた黒い仮面を被った、全身黒色の暗殺者は銀色の刃を一利の体から引き抜いた。そして右斜め上から左下に向かって血を取るために刀を振る。


その暗殺者は慣れた手付きで白い紙を上に投げた。その瞬間暗殺者は夜の闇へと消えていった。


後に残ったのはゆっくりゆっくりと舞っていた白い紙と双葉一利の亡骸だけだった。そして夜があけた。


見ノ木村の旧国境警備に当たっていた一人の男性軍人は路地裏で死体を見つけた。その死体の側には白い紙が置いてあり、置かれていた紙にはこう書かれていた。


『裏切者には粛清を』


と。

次回『風の想い人』五十一話は2月4日に投稿する予定です。

次回もよろしくお願いします。

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