表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風の想い人  作者: 北見海助
第一章 小競合い編
45/255

四十五話 辻斬り

「なんで退いたのあいつら」


今の状況をよく把握していない沙羅は近くにきた天将に質問する。その天将の服は赤く染まっていた。


「援軍が来ないらしいですね」


「あら、斬られたの?」


沙羅は天将を見ながら懐かしそうに目を細める。


「普通に強かった。流石、戦闘狂の副幹部上雲」


「油断ではないみたいね」


天将は自分の傷を見ながら笑顔で答える。それを見て沙羅も一安心する。


「あれっ……姐さん。時成と弥生は……それに飯田の連中はどこに行ったんですか」


援軍として今、駆けつけた影道は天将と沙羅しか居ないこの状況を不審に思った。


「時成と弥生は魔法で返した。飯田の連中は来るはずだった援軍が来なくなった。そして私達に邪魔をされて、侵攻出来なくなった。大胆な偵察だと思うけど……ね。それと天将は副幹部に斬られた」


「余計なことは言わないでほしいんですけど」


「本当だな。でもお前なら能力で治すだろ」


「この能力が殆ど使い物にならないくらい影さんは分かるでしょ」


諦めた天将は自分の能力を使用しながら二人の会話を聞くことにした。


影道についてきた暗部は10人はさっきの会話で今の状況に全員が納得して各自次の行動に移して姿が見えなくなっていた。


「それにしても派手にやったな姐さん。あの氷」


影道は思わず息を飲んだ。氷はもう既に半分以上溶けていた。


「そうでしょー。楽しかった」


沙羅は、あの時の飯田の軍人達の驚愕した顔を思いだし満面の笑みを浮かべた。


「太陽は軍隊を潰してくると言っていたがまさか本当にするとは思ってなかったけどな」


「ってあれ本当にしたのですか影さん」


冗談と思って聞き流していたため天将は少し驚いた。


「そうでなかったら今頃ここは飯田に占領されていたかもな」


影道は静かに笑った。結果を言えば一応勝ちだと思いたいが、報告と同じで確かに蓋突き村の人気のなさは異常だった。だがこの問題は帰って議論すれば良いと考えて気にすることは無かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


時は少し遡り、時成と弥生が交戦していた頃。風魔連合共和国の首都魔京から出発した約300人の軍隊は見ノ木村より西側、約1キロ付近で立ち止まっていた。


「ここより先には行かせないぞ、氷の武器職人」


約300人が行軍している中で一人の人間は進行中の道で立ちふさがった。普段なら無視する場面でも左出田には止まると言う手段しか取れなかった。


何故なら立ちふさがった人間は白い鞘を腰に帯、黒い仮面を被っている。そのような容姿をするのは一人しかいなかった。


「そこを退いてくれるかな、辻斬り」


左出田は辻斬りを警戒して、氷の魔法で片手剣を創造する。太陽も白い鞘から黒い刀身の刀を抜刀する。その光景を見た他の軍人も次々と戦闘態勢をとった。


「もう一度だけ忠告する。風の民に侵攻する連中はここで排除させてもらう。今すぐ魔京に退き返さないと……どうなるか分かっているよなぁ」


悪い笑みを浮かべている太陽の表情は飯田の軍人達には仮面を被っているので分からない。だが左出田は止まることはしなかった。


「たかが一人だ『恐怖の象徴』と呼ばれようが所詮人間だ。こちらは数で圧倒的に有利だ。辻斬りを討った人は英雄(ヒーロー)になれるぞー」


左出田はそう言って太陽に斬りかかった。太陽は刀を少し納刀する。右手で刀の柄を持ち、左で鞘を持つ。腰を少し下げて、走りだす。左出田の間合いに入った瞬間に鞘引きをして斬りかかる。そして心の中でこう言った。


抜刀 辻斬り


太陽が使う剣技の中で自分の異名となった技がこの『抜刀 辻斬り』。抜刀する瞬間に加速しながら斬り上げるこの技は普段から攻撃の速度の速い太陽の最速技でもある。


バタっと言う音と共に左の脇腹付近から右肩付近まで斬られた左出田は地面に仰向けになって倒れる。斬った太陽は自分の刀を左に振って、血を飛ばす。


既に攻撃態勢が整った軍人達は大小様々で属性も様々な魔法を魔法陣を展開して放つ。逃げ場が少ない弾幕に太陽が襲われる。


太陽が走るスピードが少し緩くなった。そして退路は弾幕で完全に閉じ込められてしまった。そして魔法は太陽に直撃する。直撃した魔法は他の魔法と共に消えていく。太陽が立っていた場所に残ったのは何もなかった。


「おい。止めろ」


「さっき消したはずだぞ」


軍隊の後方で悲鳴が上がる。一瞬で15人が気絶させられて倒れている。そこに立っていたのは退路は完全封鎖していたはずなのに、かすり傷一つもついていない太陽だった。


「分かった。もう退くからこれ以上何もしないでくれ」


「駄目だな。それは()()ではない」


そう言って太陽はその軍人も気絶させる。


「よくも俺の仲間を」


今まで黙っていた羽村は少ししゃがんで体を横に向いて剣先を太陽の心臓に照準を合わせて突撃する。だが目の前にいたはずの太陽は残像だった。


速いけど所詮初見殺し程度だな


太陽は素直な感想を思いながら、右に高速で避けて羽村を斬り伏せる。斬り方も完璧で起き上がってこれず、治療しないと最悪死に至る危険もあるように斬っていた。


このように援軍約300人は辻斬りを傷つけることも出来ず重軽傷者284人と言う結果で見ノ木村に到着した。


次回『風の想い人』四十六話は12月24日に投稿する予定です。また四十七話は12月28日に投稿する予定です。


今年の更新は本日を除き後二話です。


これからもよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ