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風の想い人  作者: 北見海助
第一章 小競合い編
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四十三話 グリーンアイVS戦闘狂

目の前には青い炎の塊が狂郎の魔法陣の上で燃えていた。


「勇敢と無謀とは違うぞ、グリーンアイ」


魔法陣の展開が完了したのか狂郎は時成に話しかけてきた。右の口角は上がり、目を細めて高々と手を伸ばしている狂郎。対して木刀を両手で握り、上段の構えで構える時成は不適な笑みを浮かべいた。


「返事はない。だがそう言うことか……。だったらその実力を見せてもらおうか」


そう言いながら狂郎は青い炎の塊を時成に向けて放った。ゴォーと言う音を出しながら時成に向かって飛んでいく。


「ふっ」


と言う掛け声と共に時成は木刀を降り下ろした。その瞬間、青い炎の塊は霧散していく。


その光景を見た狂郎は嬉しそうに笑っていた。


「良いなお前。倒しがいがある」


そう言うと狂郎は時成に向かって、今度は氷の長さ30センチの槍を無数に投擲していく。その槍は近くにいた弥生を巻き込んでいく。


だが時成は立ったまま動くことはなかった。一つは自分の頬を斬りながら、また一つは右腹部を斬りながら槍は飛んで行く。だが必要最小限の槍だけはきちんとさばき、不必要と判断した槍には手を出すことはなかった。


なぜこのような対応を時成がした理由は、炎を霧散させたことでのリスクと氷の槍のタイミングが重なり、余り思うように体を動かすことが出来なかったからだった。


「戦闘狂。何故ここにきた。目的はなんだ」


赤い血を流しながら平然とした顔で時成は狂郎に疑問を問いかける。


「もっと俺をわくわくさせるような殺し合いが出来たら教えてやるよっ」


そう言いながら狂郎は時成に向かって小さな火球が飛んで行く。その火球の色はやはり青だった。


くっそ。またかあれ


時成に避けると言う選択肢は無かった。後ろには弥生が居る。それだけで始めからその選択肢は消えていた。


火球は少しずつ大きくなるが時成は右から横一振で当たった瞬間に霧散させる。


その時だったパチパチとそんな音が聞こえた。その音の発生源は時成が握っていた木刀からだった。


「あっやばい燃えてる」


「燃えてる」


弥生が木刀に指を指して焦っていた。それを見て時成も木刀を見てから木刀を手放した。


「くっそ。俺の武器が」


戦闘狂から離れて見ている軍人はそれを見て笑った。


「真剣貸して。二本とも」


「付け焼き刃でどうにもならない相手だよ戦闘狂は、時成分かってる」


心配する弥生に時成は笑顔になって答えた。


「それでも意地は見せつけれる」


「そうね」


弥生は諦めて自分が握っていた刀、二本を時成に貸した。時成の目を見て……。弥生の無言の圧力に目を逸らして狂郎に目を向けた。


狂郎は今の時間で追加の魔法陣を完成させていた。


時成は二本の刀の鞘を抜き、銀色に輝く二本の刀身が煌いた。


「蒼い炎に飲まれて……燃えろ」


展開した魔法陣からは青い塊の炎が無数に浮いていた。


スッと時成は一気に間合いをつめて戦闘狂を自分の間合いに入れた。右手に握っていた刀を斜めに振る。


キーンと言う音と共に時成の攻撃が止まった。咄嗟に氷の魔法の刀で狂郎は時成の攻撃を止めていたからだった。


今度は逆サイドを左の刀で狂郎の首を目指して刀を振った。だが狂郎は右手に展開した刀の先を魔法で延ばして止めていた。


この一撃に賭けていた攻撃を時成は狂郎に止められた時点で少ししかなかった、攻撃のチャンスを潰してしまった。


「良いのかなグリーンアイ。ここにいては大切な彼女を守れなくなるぞ」


「おい、まさか止めろ」


その言葉を聞いて嫌な予感がした時成は小さな攻撃を氷の刀に当てて反転して弥生の方へ戻っていく。


「お前との勝負は楽しかったがこれ以上は時間がないんだ」


だが展開していた狂郎の青い炎の魔法は弥生や自分の背中に向かって飛んでいく。


魔法破壊(ブレーキング)


心の中でそう叫び、またまた青い炎を時成は霧散していた。そして時成は急に倒れてしまった。その理由は簡単で時成は自分の能力を使いすぎた反動が自分の体に帰ってきたからだった。


そして倒れた時成は気絶した。

次回『風の想い人』四十四話は12月10日に投稿する予定です。

来週12月3日はお休みです。


これからもよろしくお願いします。

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