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風の想い人  作者: 北見海助
第一章 小競合い編
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三十七話 世にも奇妙な会議の始まり

太陽の訓練からから10日が過ぎた。本日。6月5日は四国不可侵条約連合会議の当日である。今、各国の代表は飯田の拠点に招かれ、会議が始まろうとしていた。


ここは飯田の拠点の大会議室。中央にある丸いテーブルの対角線上には各国の代表が座っていた。


「始めましょうか。皆様方」


風魔連合共和国の代表上野虹目(かみのにじめ)が合図して他の参加者三人を見つめる。


「そうしますか」


と答えたのは都市国家アクアストームの代表十川正吾(とかわしょうご)だった。座っている席はちょうど虹目の対角線上、扉に近い席の一つ。


「良くない噂を私は聞いたのですがよろしいですか」


四国不可侵条約連合会議のスタートは、帝国サワバマジックの代表バロ・ジアスが口を開いてから始まった。


バロは帝国の幹部で軍隊を指揮する将軍だ。体は大きく胸板も厚い。椅子の近くには槍が立て掛けておりその長さは4メートル位ある。無精髭に少し長い髪を後ろで括っている。鋭い目は少しつり上がって大きい口で丁寧な言葉使いで発言する。


「辻斬りが再び動きだしたと部下から聞いているのですがその真相はどうなんですか」


「僕はこの目で辻斬りを見ました。だが彼は倒れている部下を見ても何も行動を起こさなかった。僕の考えでは今は警戒するだけで大丈夫だと思います」


その言葉で眉がピクッと動いたアイスジーナ王国代表のゲンゾウ・ゴトウだった。


久し振りにその通り名聞いたな。生きていたのかタイヨウ。


と心の中で考え始めるゲンゾウは表情一つ変えずに話を聞いていく。


記憶使い(メモリー)が死んで10年が経とうとしています。そろそろあの計画も仕上げたほうが良いのではないでしょうか」


自分からは計画の名前を言わないバロ。だがバロの真の目的は別にあった。しかし、虹目はバロの真の目的が分かってしまった。だからこそ虹目はこう言ってバロに反撃をした。


「『10年計画(テンプラント)』ですか。会議する時間は多くあります。まずは最初に風の件についての意見を交わしましょうか」


虹目はバンとテーブルを叩いてからそう言った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「天将。世にも奇妙な会議が始まったぞ」


「ああそうだな」


ここは飯田の拠点から少し離れた一軒家。その一軒家はかつて天将が住んでいた家でもあった。春風太陽と南雲天将のコンビは今、その家にいる。


首都の魔京は、いつもより警備の見回り兵が多く厳戒態勢だった。


「いつものメンバーに俺達の案件から。何回しても変わらない。意味あるのか」


「さぁーな。だが太陽。他の市民の人達から見れば俺達の対策を各国で話合うの大事だと思うぞ」


太陽と天将は手のひらサイズの機械に取り付けられている小型の魔法陣を展開している。その魔法陣からは会議で話している4人の声が聞こえてくる。


「それにしても盗聴の魔法陣は便利だな」


と太陽が。


「本当に頭が上がらないよな姐さんには」


と天将がそう言った。


盗聴の仕組みは予めに痕跡が残らない魔法陣を盗聴したい場所で起動する。その魔法陣は外部音をよく拾う。その後、定められた別の魔法陣と起動した魔法陣を同時に展開して魔法陣の並列起動をすると定められた魔法陣から聞こえると言った仕組みになっている。


この盗聴の場合、簡単に説明すると飯田の拠点の大会議室に魔法陣を起動する。定められた魔法陣というのは二人が持っている小さな機械の魔法陣。それを並列起動すると盗聴が成功する。


この魔法のデメリットは並列同時展開が出来る魔法使いが限られていること。また使用している間、魔力の損失が多いことがあげられる。


「おい天将。不味いことになった」


と太陽は顔をしかめて盗聴機に耳を傾けた。


「どうした」


天将も自分の盗聴機に耳を傾ける。


「緑の髪と緑の目をした人間にうちの幹部が倒されました。私達はその人間をこう呼んでいます。緑の目(グリーンアイ)とね」


盗聴機から聞こえてきた虹目の声は確かにそう言っていた。

次回『風の想い人』三十八話は10月15日に投稿する予定です。

よろしくお願いします。

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