三十三話 太陽の訓練 その1
すみません。遅くなりました。
太陽と動仁の会話から約1週間。今日は5月25日。四国連合不可侵条約会議まで後10日まで迫っていた。
そんなある日。中央支部では時成と弥生、真と沙奈香は修行をする為に道場にいた。時成は70センチぐらいの竹刀を二本持ち、120センチ位ある真が持つには長い竹刀を持って、打ち合いをしていた。
「接近戦に持ち込まれたらやっぱり、今の俺では時成に勝てないや」
真は自分の弱点を克服する為に時成と戦っていた。だが時成もこの勝負の目的は同じだった。
「遠距離の場所からの攻撃手段を持っている人の懐に飛び込むことが俺の課題だわ」
真と対戦する意味を理解して試合している時成の今の感想だった。二人が言うように対戦の勝敗の確率は半分半分位だ。
一方沙奈香は、魔法の練習をしていた。具体的な練習方法は、自分の手のひらの上で魔法陣を起動して完成したら崩壊させるだけ。その地味な行動を何十回何百回と繰り返す。その目的は、沙奈香が保有している基礎魔力の底上げをする事と、無意識で護身用の魔法陣を起動から展開まで使用することが出来ることだった。
弥生はと言うと、三人の監視と自身の回復能力の研究をしていた。
「お前らもうすぐ19時になるぞ」
と言いながら道場に入って来るの太陽。
「えー嘘ぉー」
と沙奈香はその声を聞いて外を見た。辺りは暗くなり炎魔法のランプが明々と辺りを照らしている。
「あっほんとだ」
と弥生も沙奈香の隣で外を眺めた。
「それでっだ。俺は今からお前らの実力が試したくなった。覚悟があるのなら19時半までに外に来てくれ」
「ちょっ……親父」
驚いた時成は、太陽を止めようと声をかける。だが、太陽は時成を無視して道場を後にした。
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「ほんっと、勝手だよな」
太陽が居なくなった道場で少し怒った時成は地面に握っていた木刀を落としていた。
「さすがに急だよね。それでどうするの、あんなことを言われて」
弥生は三人の顔を見る。真は少し困惑して、眉を内側に寄せて考えていた。
「でも行くしかないよね。覚悟が無いって言われたら努力する意味なんてないんだし」
そう言いながら沙奈香は時成の方を細い目で見た。
「選択肢に見えて、そうじゃないっか。全く親父らしいな」
それは不器用ながら心配する太陽の親心も混ざっているのかも知れないと時成は考えた。だから次の行動は必然的に決まっていた。
「また助けて貰うよ三人とも」
そう言って時成達は道場の片付けを素早くするのだった。
次回『風の想い人』は9月17日に投稿する予定です。
次週は早い時間に出すように心がけます。
次回もよろしくお願いします。




