二十七話 都市国家アクアストーム
8月6日に投稿する予定だった話です。
風の民より約40キロ。狭い海峡を挟んだ先にある島国。その島国の名前は都市国家アクアストーム。
領土は島の大きさの直径約20キロと過去の事件の副産物である、大陸領土が総面積約50平方キロメートル僅かな大陸領土で風魔連合共和国とアイスジーナ王国との国境線が引かれている。
その大陸領土と本島を繋ぐ為に二つの橋がかかっていた。
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その本島中央にある石造りの建物の中では。
一人の男が市長の帰りを待っていた。
「お疲れ様です。市長」
中に入って来た市長に頭を下げる。
「堅苦しいですよ。十川さん」
市長と呼ばれた女性は、話かけてきた男性にそう言った。
男性の名前は十川正吾。黒ズボンに白いYシャツには紺色で無地のネクタイを締めていた。
「すみません。薫さん。ですがこの話方は、昔からの癖でして」
「そうでしたね」
長い廊下には炎魔法のランプが一定の間隔で灯っていた。その中を薫と呼ばれた女性の後ろを半歩下がって十川が歩いていく。
「会議室には幹部全員が揃っています。風の民に潜入していた部下からも情報が入ってきています」
「そうですか。なら急ぎましょうか。連合会議もありますし。話合うことは沢山ありますね」
市長の名前は水野薫。4年に一度の市長選挙に五回当選して負け無しの市長だった。
都市国家アクアストームでは市長が国の長である。だが市長選挙とは名ばかりで実際は、立候補者無しの不戦勝で勝っていた。
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都市国家アクアストームは戦争の時でも整備された水路や建造物が弊害となり敵の侵入を防ぐ要塞となっている。
だが一般市民は「この都市の一番の魅力は何ですか」と聞くと「この景観だろう」と答えるはずだ。
何故なら夕方に見える夕日は水路に流れる水を反射して、キラキラと光る何とも言えない景色になる時間があるからだ。
そして多くの人々は都市国家アクアストームのこの景観から別称としてこう呼んでいる。
「水の都」
と。
次回『風の想い人』二十八話は8月18日に投稿する予定です。
よろしくお願いします。




