二百十四話 影道の目的
遅くなり申し訳ございません。
活動報告を更新しました。
「まさかアイスジーナ王国の第一王子がここにいるとは思いもしませんでした」
この場に現れたのはこの反乱の首謀者であり総大将を務めた根木沼だった。
「反乱軍を率いていました根木沼常伝です」
「初めまして私の名前はレショット・ジーナ。アイスジーナ王国の第一王子でございます」
軽く頭を下げるがその仕草ですらけん制しているのを感じた。
そして時成を含めた3人は今後について1時間程度語り合った。
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その後南西支部に移動した時成は影道と話していた。
「とりあえず今回の反乱の目的は達成しましたね。若」
「黒の殺し屋を消しても意味はないと。世代交代しても変わらず暗部の恐怖は健在だと世間に広げれましたな」
「これで紗奈香の不況を買えば内部もろとも破壊されると印象つけれた」
「間違いないかと」
影道は少し上を向いた。今まで行動してきたことを考えたあと時成に話しかける。
「あれだけどうでも良いと考えていた後進育成に力を入れ始めました」
「母も喜ぶと思います」
五代目は生前何度も何度も自分を信じる忠臣に後進育成に取り組みなさいと伝えていた。
「俺の弟子、良正とライカの間に子供が出来たと聞いたとき自問しました。今のままで良いのかと。自分には嫁や子はいませんがこんな俺を師と言ってくれて教えを乞う弟子がいます」
ライカの妊娠が発覚したのは3か月前だった。時成が信頼している部下の子供1人目だ。
「そうか」
時成は話を聞くと少し飲み物を飲んだ。影道は覚悟を決めるとまた口を開ける。
「六代目が成したいことは存じておりますし、それが出来ると思っています。ですが俺は長い歴史から考えても平和は何百年も続くとは限りません。だからこそ後世の当主が俺みたいな人に大声では言えないことをする人を増やしたいと考えています。当主が率先して頼り続けるそんな部隊を暗部に残そうと思います」
その瞬間、時成は寒気がした。まだ時成は同世代である良正には頼っていないが必ず将来は頼ることになるであろうことは想定している。暗部の中でも汚いことをすることの許可を当主が自ら責任を取り命令する。そこに法廷や幹部会議を通さずにできる強みがある。
それに影道の平和の話も否定しきれない理由もある。だからこそ素直に時成は受け入れた。
「隊の名は『血濡れ』。暗部の中の幹部しか知らないが言わば派閥であり一つの部隊。当主命令最優先で普段は通常の暗部業務。当然継承争いがあれば手を出すことを禁じる組織にしようかなと考えています」
「許可する。結成すれば顔ぶれは確認するが基本はお前に任せる」
「ありがとうございます」
こうして反乱がおきた夜がふけていく。だが次の日の新聞はそれよりもアイスジーナ王国第二王子戴冠の記事が彩った。
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