二百二十三話 覚悟を決める者
遅くなり申し訳ございません
「君がエミリー・メナトか」
「初めまして。エミリーです」
分かってはいたが圧倒的なスタイルに金髪で美人な彼女に時成は静かにこういった。
「君は愛する人の為ならば、名も地位も友人も全てを捨てる覚悟はあるか」
「あります。レショット王子の前で言うことではありませんが王国や今の地位には未練がありません。愛する人と共に歩むことをお許しください」
覚悟を決めている人には自分の想いを伝えるし否定をすることはしないと時成は考えている。特に恋路は人のことを言えないことはわかっている。
「別に真が紹介して一言言えば俺は認めるつもりだった。俺は結婚に関しては強く言えないからな」
「ありがとうございます」
そのやり取りを見た後レショット王子は時成に話しかけた。
「久しぶりだな」
「そうだな」
「悪いがエミリーを貸してもらうぞ。あの男の油断が今は欲しい」
「まぁそうだよなー。でもそろそろ行動に移す頃合いだと思うけどね」
「ああ。帰ったら玉座を奪いに行く。十年以上苦しめられたんだ報復は必ずする」
それを聞いた時成は笑い出した。これから起こることが手に取るようにわかる展開だった。それに暗部からの情報も間違いはないことを確信した。
「ついに動くのか」
「ああ。今夜よりもヤバイ戦場になるけどな」
「えっ私を連れて行くの。嫌なんだけど」
「あほか。お前も一緒に復讐するんだ。あの野郎のせいで十年以上も大切な時間を奪われたんだ。力も持った後はやつの首を狩るだけだ」
「そっか。ついにあのごみを片付けることができるんだね」
「まだ俺を風を裏切ってもいいんだぞ」
「まさか。時代の風雲児と王国の天才がタッグを組めば一般人のアホでは歯が立たないでしょうね」
そう言ってエミリーはにっこりといい笑顔で笑った。




