二百十五話 『結界師』の結界
先週は更新出来なくて申し訳ございませんでした。
急に凄く忙しくなったので小説家になろう様を開くことができず報告もできませんでした。
遅れた話の分は今年中には更新する予定です。
年末年始は今年は更新しない予定でございます。
よろしくお願いします。
水の都義勇軍と治安維持軍の衝突は必然であったが衝突した場所は偶然だった。この場合、どちらの陣営が準備できていたかで初動の戦闘が決まる場合が多い。
この場合対応が早かったのは治安維持軍だった。負傷した特殊警察を後方に下げると魔法部隊に魔法陣を展開させて魔法を放つ。
反乱軍は戦争経験者が少なく対応できる人もあまりいないだが二つの軍の中間には巨大な結界ができていた。
白いが奥も見える綺麗な結界。
「もしかして『結界師』がこの戦場にいるのか」
治安維持軍を指揮するデントはそういった。敵対する魔法使いの一人、『氷結の姫』は死んだと報告が入っているだけに警戒しておかなければダメな一人と思っている。
それに治安維持軍の魔法使いの実力は贔屓目でなくてもアイスジーナ王国軍に匹敵すると考えている。その魔法使い達の攻撃を傷一つなく防ぐ結界を作れる人物などあまりいない。
「攻撃態勢止め」
バラバラで攻撃してもあの結界を突破することはできないが向こう側からもその結界を解かなければ攻撃する事はできない。
そう読んだデントは魔法攻撃を止めた。
止まった攻撃を見て反乱軍は自分たちの結界の奥にいる魔法使い部隊を目指して魔法を放つ。
治安維持軍から見てかなり人がいるはずなのに魔法が飛んでくる弾幕は少なかった。それを見て魔法使い達は結界を張っていく。
「あの結界はやはり『結界師』の結界か」
結界の常識は一度張れば同等以下の魔法を防ぐ。それと張れば敵味方関係なく魔法だけを通さない壁になる。
その常識から外れている結界が張れるからこそ美羽は『結界師』と呼ばれている。
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「いつ見ても貴方の結界は綺麗ですね」
最後尾にいる時成は美羽に話しかけた。
「『氷結の姫』直伝の結界です。壊れない訳ないでしょ」
仮面で隠れているが褒められて嬉しくなっているのが分かる。
「幼馴染の結界よりも精度と効果がまるで違う。俺みたいな素人が見ても一芸を極めに極めた人だな」
「妹弟子ですか。彼女には彼女の凄さが有ります。情けないですが私が六代目の下でこの場所にいられるのはこの結界のおかげです」
時成はさらに奥に歩み始める。
「俺は努力の過程は知らないが貴方の結界は何も才能だけで使っているものではないことは知っている。今よりももっと先に行こうと努力する。それが武器になることを俺は教えてもらい実感した」
美羽は軽く頭を下げる。
「俺が信頼して使いたい人はその努力ができる人だ。これを言うのは初めてだ。よろしく頼むよ」
「はっ。全ては『六代目』様のお心のままに」
美羽は仮面は被ったままだが仮面を持つように手を動かして胸に手を当てて頭を下げた。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
次回『風の想い人』二百十六話は12月21日(木曜日)に更新する予定です。
次回もよろしくお願いします。




