二百十話 暗部の企み
1年半前。時成が六代目になってから半年になった頃。
暗部の幹部会議では普段と例外に幹部と呼べる人たち全員と真が何十年も前から考えていたアイスジーナ王国と都市国家アクアストームの二カ国の攻略の案が考えられていた。
「王国を崩すのには次の継承争いを引っ掻き回した方が良いけど、第一王子に六代目は可能性を感じていたはずです」
と密談の後話を聞いた真はそう答えた。
「彼は傑物と思いますわよ。周りの人間と環境は完全に逆風なのが問題だけど……」
「美羽が言うのだから間違いはなさそうだな」
テツは頷いた。だが問題はどう動くのか、王国の微妙な立場もある。
「だがどの国か引き込まなければうちは容易く滅びるぞ」
表舞台にも暗部にも関わることが少なくなった天将は落ち着いてるかのように話す。
「水の都も反政権運動はあるもののまだ規模が小さいんですよね。接触するのはまだ早いですね。力技ができるようになるかもとはいえあの要塞を落とすのには苦労しますよ」
「そっちの方は蓮に任せる」
テツはそう言った。落とす算段はある程度ついているが現実的にできるのかはわからない。ただ紗奈香には伝えた方が良いとも思った。
「とりあえず、真。王国に行ってこい」
「はぁ?まだ六代目、忙しいんじゃないのかよ親父」
時成の手伝いを頼まれている真にとってその話は不服でありたくにむかって強い勢いで抗議する。
「たくの言う通りだな。本格的に他国を見てこい真。六代目はあの五代目の息子だ。これからもかなり無茶苦茶なことをするだろう。俺たちがいなくなっても対応することがあるやもしれん」
テツは頷いた。
「適切な回答をもっておけ。突拍子もないことを言われるかもしれないからな」
天将は笑ってそう言った。
「わかりました。美羽さんの所に行ってきます」
真ははぁとため息をついてから剣を強く握った。
他国を見てこい。現実を知っておけ。そこで成長してこい。出来たなら暗部隊長はお前だぞ、当主から最も信頼される腹心にならなければいけないからな
テツの想いは真に伝わるのかとりあえず会議を終わりにして真の出発を見送った。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
次回『風の想い人』二百十二話は11月9日(目曜日)に更新する予定です。
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