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風の想い人  作者: 北見海助
五章 動乱編
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二百一話 侵入者の正体

気がついていませんでしたが二百話を複数だしていました。すみません。正しい方を残しました。

ゲンゾウは侵入者に対して長い氷の剣を生成し威圧感を放つ。だが侵入者はその圧にも動じない。立っているだけでその強さが分かるくらいにはゲンゾウも軍人として生きている。


「ここまで来れる実力がある貴様は何を目的にここにきた」


侵入者と相対するゲンゾウは氷で生成した剣を持って中段に構えを取った。侵入者は白い鞘から黒い刀身の刀を握り上段の構えをとっていた。


「最初から言っている。アイスジーナ王国の貴族の人達や国王と会談するためだ」


侵入者の目付きは強くなっていく。両者は床を蹴ると中間付近で刀が交わった。その瞬間侵入者は笑っているようにゲンゾウは見えた。それはどこか過去を思い出す。皆が敗北を知り、死の恐怖と隣合わせになっていたあの時に白い剣を持った剣士に助けられたと。


多対一でも絶対に勝てる自信が侵入者からあふれているようにも感じた。それはまるでかつての辻斬りを思い出させるには十分だった。だが彼は死んでいる。


「名乗れ。俺の部下を倒した実力があるのならな」


「おっと名乗り忘れてましたね。お初に御目にかかります。今の『アイスジーナの盾』と呼ばれこの国の守護神ゲンゾウ・ゴトウ公爵。僕の名前は時成。ご存じの通り辻斬り息子です」


鍔迫り合いをしている辻斬りの仮面を被った侵入者の目の付近からピカッと緑色に変わった。


その特徴は三年前、風魔連合共和国を裏で支配していた飯田家当主を斬ったあのグリーンアイの特徴と一致していた。


「辻斬りの息子」


ゲンゾウのその一言でざわめく大会議室。だがゲンゾウは焦っていた。


アイスジーナ守護隊は本来の能力を使用しなかったがグリーンアイ一人に壊滅させられていた。そしてアイスジーナ守護隊はアイスジーナ王国にある唯一の常備軍だってことに。それらはグリーンアイの実力を半分以下に押さえられていたことに。その証拠にさっきよりも力が強くなっていた。


「俺は光栄にもアイスジーナの盾とまで呼ばれる軍人だ。教えてもらっただろう得意なものは何かをなっ」


ゲンゾウは自分の氷の刀を長く伸ばすと、フルスイングで縦振りをする。


「知っていますよ。優秀な師匠たちがいたのでねっ」


二人は刀をぶつけあう。お互いに実力が拮抗しているのか一歩も引かない猛攻を繰り出していた。それを眺める人たちは逃げ出そうにも腰が抜けていた。貴族たちはこの勝負の行く末を見守ることしか出来なかった。手出し無用だと言われているとしか思えないほどの殺気がぶつかり合う。


「師匠たち……まさかとは思うが、その師匠たちは黒の殺し屋か」


「ええもちろん」


鍔迫り合いの中ゲンゾウが持っていた氷の刀はひびが入り始める。そのまま時成が力ずくで押しきろうとするが魔法でひびが無くなってしまった。


「本当に末恐ろしいよ」


彼の実力が分かっていた自分が敬愛する殿下はさすがだと改めて感じる。だが彼は人を動かすことと任せる事が得意な人物だと忘れてはいなかった。


剣を振り払うとゲンゾウは一回距離を置いた。そこに時成の周りを氷塊が取り囲んだ


「手出し無用だ」


ゲンゾウはそう叫んだ。今が彼を消す最大なチャンスだとは思うが後のこと考えていないのが丸わかりのその行動に術者の方に一瞬気が取られた。


あの野郎。ここで消すか重症にすれば怒りを買うぞ


そう思っても水の都の一件は1週間以上時間が経っているがまだ反撃していない。六代目に変わり方針が変わったのかもしれないとも思うが目の前の男がそんな甘い男には見えなかった。


無数の氷塊が時成を襲った。だが偶然にもゲンゾウも攻撃始めていた。


「影」


そう言うと影道は時成の影から姿を表して飛んできた剣を跳ね返した後ゲンゾウの氷剣を受け止め時成は剣を氷塊に向かって虚空を裂いた。その瞬間空に浮かんだ氷塊は消え去っていた。そして斬った男のシルエットが浮かびここに居る人はある人物を思い出した。そして警戒していたからこそゲンゾウは直ぐに判断できた。


「まあ来ているとは思っていましたよ。『影の執行人』」


「またここに来るとは思いもしなかったよ。ゲン」


ゲンゾウの警戒範囲が広げざる負えなかった。暗部が一人見えたと言うことは他にもいることは確定したことになる。そもそもこの情勢で六代目一人で来ることもおかしな話だ。ただ警備体制の主導権が取られ彼を案内できなかったことが悔やまれる。


「メナトの若い氏か。あの当主ならこんな愚かなことはしなかっただろうな」


そう言うとメナト公爵にブスリと剣が刺さった。だが急所は外れている。


「うちの貴族が粗相をして申し訳ない、どうかこれで手打ちとさせていただけないだろうか」


「まぁ当初の目的が達成するならそれで良いけどな」


仮面の奥でそう言うとここに居た貴族以外の人達は一斉に逃げ出した。


「権力の魔力は良いが大切な時に何も出来なければ意味はないな」


時成のつぶやきに反応したレショットはこう言った。


「肝に銘じます」


と。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

次回『風の想い人』二百二話は8月31日(木曜日)に更新する予定です。

まだまだ忙しくて更新時間が不安定になっています。申し訳ございません。

次回もよろしくお願いします。

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