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風の想い人  作者: 北見海助
五章 動乱編
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百九十五話 紗奈香の覚悟

二人はお互いに悔しそうな顔をしているが弥生は笑ってこう言った。


「なら真の話を聞こう。時成の考えは多分特攻するときには必要かもしれないが今は論外だしね」


容赦なく感情論で動く旦那の意見を聞くよりも意見を持っている真の方の意見を聞くあたり弥生らしいのだが全員が再び弥生の方に向いた。


「まだ調査の段階だが水の都の関係者でほとんど間違いがないとの報告も受けている。だからこそ水の都に乗り込んで夜襲攻撃をしようと考える。まだ一日も経っていないが動ける人に情報を集めてもらっている。王国と共和国は積極的に動けないと思うが帝国は違う。虎視眈々と隙を狙っている」


それを聞いて弥生は冷静だなと判断する。


「軍部でも動かす?決戦なら彼らの方が得意だけど」


「軍部は北部の守りがあるし裏切りもあると思う。100%信じることはできないかな」


それを聞いた紗奈香は笑い出した。真の意見は的確だし懸念事項も分かっているからこその作戦だと言うことも。


「それを踏まえて私から。まず犯人を許さない。何も関係がないのなら奴らが住んでいた場所を地図から無くしたいと思うほど憎い。けどそのやり方はダメだと冷静に考えれば思うの」


紗奈香はフゥと息を吐いて覚悟を決める。鋭い目つきは覚悟の証だった


「真のその案でも足りない。やるなら徹底的に今より恐れて貰わないと。『斬撃使いの真』の通り名が多くの国で語り継がれるくらい恐れられる『恐怖の象徴』にならないといけない。暗部隊長は前任よりも容赦がないと言われるくらいね。それに手を出せばどうなるか分かっているはずなのに出してきた。容赦はしないよ」


紗奈香は仕事モードになる。空間魔法を容易く発動させるとメモ用紙を取った。


「ひとまずの敵は水の都。暗部隊長の役目は多くの人に恐れさせること。それに貴方とテツさんでは役割が違うから恐れさせるやりかたも違う方法が良いと思う」


紗奈香は全員を見回した。覚悟を決めた紗奈香は止まることは知らない。それはここにいる全員がわかっていた。


「役割が違うなら役割対象のことだけを見ればいい。これまで努力した貴方の剣技は十分魔法使い相手に通じるからね。確定したらすぐに動きます。準備と覚悟を忘れずに」


「はっ!」


時成以外の人達は頭を下げた。






ここまでお読みいただきありがとうございました。

次回『風の想い人』百九十六話は7月6日(木曜日)に更新する予定です。

申し訳ございませんが更新できないくらいに忙しくなってきたので来週はお休みです。

次回もよろしくお願いします。

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