百九十一話 ソーキの覚悟
5月18日更新の話になります。更新できていないことに気がついていませんでした。すみません。
氷漬けにした人たちを見て沙羅は髪を整えながらソーキの近くに歩いた。
「ただ貴方を連れて逃げようかとも思ったのだけど……命賭けようかな」
周りにいた氷漬けにされた人達を見て一人の人を見てすぐさま沙羅は魔法を撃った。
炎熱破壊
氷漬けにした人たちを明確に狙ってその氷ごと破壊する魔法。簡単に出来ないことが問題点であり破壊対象は氷漬けにした人だけという扱いも難しい沙羅のオリジナル魔法の一つ。
だが一番消したかった男、ウェルドは自力で氷を溶かして生きていた。
「化物が残っちゃったね」
「逃げるか?」
「まだ転移起動し始めただけだから、少し時間かかるね。貴方は魔力残ってる?」
「もうほとんど無いな」
語尾の発音が少し上がっていたように感じた沙羅ははぁとため息をついた。
「死んでも後悔はない?」
「ああ。目の前にいるあいつはそのうち若には邪魔な存在になる。戦争になってあいつのことを誰かが相手しなければいけないと考えるのなら、今ここで消した方がましだ」
もう既に覚悟が出来ていたソーキにこれ以上何も言う気持ちにはなってなかったがそれでも沙羅は彼の隣に立った。
「助けに来てもらったのは悪いが帰ってくれないか。このミッションは失敗だ、取引相手が生きている保証などない。手柄なしで生きて帰るつもりはない」
だが帰ろうとはしない沙羅は黙って隣に立ったまま1分は経った。だがウェルドは動くかなかったそれに連れていた部下が死のうが動揺すらしていないような佇まいだった。そこに都市国家アクアストームからの特殊警察10人に十川正吾が追い付いた。
「まぁ貰った命だもんね。主守れず生きている家臣は何?生き恥を晒しているだけ。太陽さんの時はどうすることも出来なかったけど」
「二人には申し訳ないけどここで命賭けなければダメな理由が出来た。死に場所くらい自分で選ばせてくれ」
そう言うとソーキはある言葉を口にし始めた。
「魔法の極意は魔力の扱い方に有り出来ないことを出来るようになるより出来る事を増やせ」
かつて自分の父が剣を教えてもらうときに見せてくれたあの技を使うと決めた。剣を学びだしたときに一番印象に残った技を
「雷剣」
ソーキの剣からピカピカと線が走り出した。妖魔共和国、風雲家家臣団の中で雷を得意としてきた一族の血を受け継いだことの証明でもある。
金城家は雷の性質を一番理解している一族でもある。それは自分の娘にも確実に分かっていると思っている。そしてこの状態が終えれば自分の体が動かなくなるはずだと思っている。
「人生の最後は貴方と一緒が良いな」
沙羅はそこまでしか言わなかった。空には特大の魔法陣が展開される。色は水色それに一瞬で魔法陣が消えた。
「奥義、氷結の薔薇」
空ではなく地面に無数の氷の薔薇が咲いた。




