百九十話 帝国将軍参戦
お待たせしました。
奇襲をもらったソーキは撃退を繰り返しながら何とか妖魔共和国の首都魔京まで帰ってきた。
陽は落ちて薄暗くなり魔法ランプの灯りが点灯し始める頃今度はどこかで見たことがある全身真っ黒、フード被りの人たちと妖魔共和国軍に見つかった。
誰の手下かわからない手前剣を抜かずただひたすらに真っ直ぐ風の民の方向に走ったが先回りされ囲まれた。それにいつの間にか歩いている人は消え、家々に灯りがついて完全に夜になっていた。
「していること分かっているのか?」
自分のことを知っていること前提に話しているが同業者なら知らない方が知識不足と言われるくらいには名が通っていると確信している。
「さよう。貴方を消すためだけにここにいる」
フードを被っていても夜の闇に溶け込もうが存在が分かるくらいな人がそう返答した。低い声に威圧する迫力はその人が立っているだけでもソーキには分かった。
「帝国将軍、8人のうちの誰かか」
そんなことを言うがこんな背があり威圧する雰囲気の人など帝国将軍の中では心当たりが一人いる。
「『散血』のウェルド」
「さぁ誰でしょうか」
帝国の中で一番敵を葬っている実力の持ち主であり彼が一度戦場に立てば彼が通る道は地で赤黒く染まる。厄介なのは身体強化から来る力で押し切るパワーの持ち主でありながら『辻斬り』クラスのスピードも持ち合わせているとこだった。
ソーキは仮面の奥でニヤリと笑った。もう自分の限界も近づいているし衰えを感じる。一人で戦うには限界があるのは分かっているつもりでも苦しかった。
「お前の首くらい持ち帰らなければあとで怒られるかもな」
「貴方には死んでいただきます」
そういうとウェルドは身体強化をかけて剣を振ってきた。それを返すはソーキ正確に剣を当て発火する。
その瞬間を見たウェルドはバックテップで避けた。
勢いが足りないな
逃げて戦ってきただけに派手なことはあまり出来ないが確実に攻撃を当てる。
ソーキの身内に早業で名を売った人がいたからこそ対処ができる。そこにパワーも加われば近接戦闘では優位に立てることは知っている。
「将来的には若にはこうなってもらいたいな」
まだまだ成長途中の時成への想いを込めて呟くソーキは少し上を向いた。そのような隙を見逃すほど実力がないウェルドではない。すかさず心臓狙って突き攻撃を仕掛けてくる。
その瞬間まわりで息を呑みながら包囲をしている人達は急に寒気が襲ってきた。そして魔道ランプの灯りが点滅し始める。
流石俺が愛した人だピンチの時には必ず助けてくれる
そうソーキが思ったやさき聞き覚えのある声と娘が使って驚いたあの技の名前が聞こえた。
「銀世界」
家々が並ぶ住宅街はその攻撃で家と街灯の魔導ランプの火が消えた。中にいた人は急に冬の気温になったと思った外はまるで銀世界のように白かった。半径20メートル以内は氷漬けにされ人も凍っていた。
ただ二人を除いて
ここまでお読みいただきありがとうございました。
次回『風の想い人』百九十一話は5月18日(木曜日)に更新する予定です。
次回もよろしくお願いします。




