百八十五話 研究所
更新予約出来ていませんでした。すみません。最近忙しくなり更新が不安定になっていますが休止することはありませんので長い目でお待ちいただければ嬉しいです。
真が暗部隊長に就任した7月17日の午後11時。幹線道路しか街灯がついていない水無村よりさらに北側。帝国との国境がある山の中に7畳2間で風呂、トイレとキッチン付き平屋の一軒家が建っている。この家のことを暗部の会議に出ていた人はこう呼ぶ。研究所と。
そんな研究所に沙羅は自分の娘を連れて来ていた。因みに研究所の部分は地下にある。
「ここがラボなのね」
書類がまとめられて自分位の高さまで壁一面に製本され保管されているのが2面びっしりと埋まっている。他にもまだ研究の途中段階にあるのもある。
「資金ってどこから出てるの?」
「それは暗部が経営しているものの売り上げの一部がここに入ってくるようにはなっていたのだけど街灯の使用料だけで賄えてしまっているのよね」
沙羅が開発した魔法陣記億装置を改良と隠密を付与した街灯には使用料を取って使ってもらっていた。
「見たくてついてきたのだけど、なんで私にこれを見せるの?」
首をかしげる紗奈香に沙羅はクスッと笑った。
「そろそろ教えなければいけないと隊……元隊長に言われたからかな。それに次代に物や知識を繋げることも仕事のうちだからかな」
沙羅は研究所を紗奈香を連れて全て回ってから紗奈香に声をかけた。
「良い紗奈香。正確に過去と今を未来に繋ぐことが大切なの。貴方が魔法を教えてあげたい弟子を見つけることが自分を一回り成長させるからね」
沙羅はそう言うと魔法陣を展開して本棚が壁のど真ん中を触った。そうすると魔法仕掛けになっていたのか壁に魔法陣が転写され人一人入れる大きさの通路に変わるとそこに入って行った。
中は20メートル四方の広い空間が広がっており壁一面には見たことがない魔法陣が12個に知っている魔法陣が2個あった。
「これは……」
紗奈香が戸惑いながら尋ねると沙羅はこう言った。
「風雲家の譜代家臣が代々伝えていた魔法陣よ。後は新しく開発した魔法陣とかね」
「開発?」
「魔法陣って改変することや属性を付与できるような理論から新しく作ることができるの。それを開発って私は読んでいるの。使いこなせるかは貴方次第だけど多分大丈夫よ。なんだって紗奈は私とソーキの娘だからね」
屈託のない綺麗な笑顔で沙羅はそう言った。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
次回『風の想い人』百八十六話は4月27日(木曜日)に更新する予定です。
次回もよろしくお願いします。




