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風の想い人  作者: 北見海助
第一章 小競合い編
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二十一話 冷眼VS戦闘狂 1

事件はw132年まで遡る。ここは風魔連合共和国の東にあるとある公園。


「久し振りに合ってから、今年で2年目だよね」


小さな子供達が公園で遊びまわっている中、二人の男女はベンチに腰かけていた。


「それがどうしたの」


女は素っ気ない態度をとっていた。しかし、男のほうは真剣な表情をしていた。


「ずっと好きだった。俺と付き合わない」


「……」


女はただ黙っていた。この二人の男女の名は、男の方は飯田正弥、女の方は南雲弥生。


その頃、この近くでとある事件が起きていた。


―――――――――――――――――――――――――――


さらに東に2キロ進んだ先、南雲天将は、右原川狂郎(うばらがわきょうろう)率いる見回り部隊に見つかっていた。


「右原川」


その仮面は漆黒で、目と口元が開いていて、その仮面の両頬に二つずつ斬り傷みたいな空間があった。その仮面をつけている天将が今、ここにいる中で一番強い人物の名を口にしていた。


「絶対に逃がすなよ、お前ら」


「はい」


部下約10人に指示する狂郎の手の平は自分の炎の魔法で燃えていた。


腰に帯刀している黒鞘の刀を抜刀する。銀色の刀身が輝いているように狂郎は見えた。


くっそ。やらかした。さっさと引くべきだったか。でも、あれは無視できない。


天将は、殺気が籠った目で右原川たちを睨みつける。だが狂郎は笑っていた。そして、目の前にいる人物にこう言った。


「冷眼だな。お前」


殺気だけで黒の殺し屋(ブラックキラー)の内の誰かを当ててしまった狂郎は、球体の炎の魔法を天将に向かって投げつける。時速130キロぐらいの速球で向かって来る火の球を天将は、無意識に避けていた。


まだ衰えてはいない。大丈夫


反射神経だけで火の球を避けた天将は刀を握りなおして、右原川に突進していく。手を下げて走っていた天将は、右原川との距離を一気につめ、狂郎を自分の刀が届く、間合いに入れた。


「お前らと戦うのはまだ時期が早いんだ」


そう言って天将は右原川が自分の間合いに入った瞬間、左の刀を水平に横に振った。間一髪の所で狂郎は後ろへ下がって避けている。


「良いねぇ。楽しくなってきた」


狂郎の黒い目は光が灯り、口角が少し上がっている。天将は今、狂郎がこの戦闘を楽しんでいるように見えた。


だが今ここで飯田の幹部と戦うのは、天将としては好ましくはなかった。


「残念だが、今回は引かせてもらおう」


狂郎が放った炎の魔法を避けながら、天将の姿が、着弾の時に舞った煙の中に紛れながら消えていく。


茶色い煙は天将の、姿を隠しながら黒い陰だけ残している。


「捕まえろー」


狂郎が指示をして10人が全員、天将が立っていた場所に近寄っていた。だがそこには、天将の姿はなかった。


陽炎(かげろう)かよ」


悔しそうにしている反面、狂郎はニヤッと笑っていた。


これでこそ黒の殺し屋(ブラックキラー)の連中だな


と思い、狂郎は部下の一人に伝言を頼んだ。


「冷眼を追跡する。応援を頼むと正則さんに言ってきてくれ」


と。


次回『風の想い人』二十二話は、7月2日に投稿する予定です。

よろしくお願いします。

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