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風の想い人  作者: 北見海助
五章 動乱編
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百七十九話 新暗部隊長

ここは中央支部の道場では暗部全員が集められていた。そこで前に立ったテツは真剣に話始めた。


「皆には俺の我儘にも信じてついて来てくれた。感謝してもしきれない。ありがとう。そして俺はこの地位を辞めようと思っている」


ついに来たかと全員が覚悟を決めていたことなどで反論も何も出なかった。ただテツの次の言葉を待っていた。


「もう皆も分かっていると思うが次の暗部隊長はこいつだ」


「真です。若輩者ですがよろしくお願いします」


既に暗部隊長の仕事は7割以上引き継いでいるがそれでもみんなに発表したことにより名実的に隊長が変わったことになった。それに皆が文句を言わなかった。地位を貰うことは責任や表との調整や書類仕事が待っているしそれが特に嫌だと皆が思っていた。


「まず。何かあれば報告をすること。ちょっとしたことでもろくでもないことでも良いからそれをすること。その行為を聞いた人は怒らずに聞くこと。皆様にとっては当たり前のことですがこれをやるように。責任は俺が取ります。この地位になったと言うことはそのつもりだ」


「は」


それを聞いた後一同は頭を下げた。それが終わった後、執務室では普段では絶対に集まらない幹部全員が集められ、そこに両支部長が加わっての報告が始まった。


「根木沼が接触してきました」


その報告の中で一番大きな問題になったのはソーキの報告だった。仮想敵にもなるトップのリーダーからの受け身での直接接触は暗部始まって以来初めてのことだった。


「なんて」


長年暗部の組織に関わっていた人たちの弱い殺気が執務室に籠る中時成は冷静に続きを促した。


「支援して欲しいと。表情は見えなかったが状況が状況だけにやばいかもしれませんね」


水の都にある南西支部


「報告では聞いていましたが思っているより深刻な事になっていると言う解釈で良いんですね」


それを見て南西支部支部長の蓮が頷いた。そして説明が彼から入った。


「食料品の値段はかなり上がっています。最近では窃盗や殺人が多く起こったことから武器とかも一家に一つはあるみたいです。それに伴って治安が悪化しています」


「市長たちが何もしないわけではないでしょう?」


「かなり治安維持には力を入れていますが追い付くわけもありません。民は困窮しており今年の冬は餓死者も出るかもしれないと焦りが見えてきました。それに……」


余り言いたくないのか蓮は言葉を濁した。


「それに?」


「今の市長は人気がないのです。民心を掴むことが下手なのかリーダーシップが欠けているのかは中枢にいないから分かりませんがそれが重なって民の心は既に離れています」


「そうか……」


民からの人気と言う部分は時成にも今後も付きまとう問題だと考えた。水の都の問題は少し考えたがこれは即決できる問題ではなかったため保留となった。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

次回『風の想い人』百八十話は3月30日(木曜日)に更新する予定です。

次回もよろしくお願いします。

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