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風の想い人  作者: 北見海助
四章 革新編
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百七十二話 仙堕軍隊長就任

本日で初投稿から3年が経ちました。これからも私のペースで更新していきます。気長くお待ちいただければ嬉しいです。4年目もよろしくお願いします。

軍隊長試験の内容は好評だった。特に本部で働く人たちの紗奈香への目線は変わり、舐めた態度をとるような人も減っていた。


その様な中、時成は仙堕と当主の執務室で話していた。ここ当主の執務室では昔、長老が居た部屋を使っていた。


「始めまして、仙堕冶怒です」


ドアを閉めたあと仙堕は名のり軽く頭を下げた。


「僕にとっては初めてでも、貴方にとってはそうでもないんでしょう」


それを見てから時成は笑って握手する。そして招いて椅子に座った。


「ええ。一度だけ。まだ初陣も済ませていない若造だったころに会っています」


その言葉を聞いて時成は疑問を浮かべた。彼の年齢と自分の年齢を比べれば20年くらいしか離れていない、そこから察するに彼の初陣は帝国との戦争だと推察することが出来た。


「北では帝国軍がちょっかいをかけてきます。軍のことに関して六代目のお考えを聞かせてください」


「軍にも改革が必要だと思っているし今その最中だ。戦略的には北は帝国、東は共和国。その二か国とは仲が悪いが二正面作戦にならないように今は東の共和国と関係改善を模索しながら北から来る帝国軍から領土を守ることを優先しようと考えている」


「東ですか……。帝国の魔の手は着々と進んでいます。現に浪花家は堕ちていましたからね」


そのために時成は六代目になってからは領主に褒美と罰を与え改革することを促した。大臣もその椅子が当たり前のようにあることを否定した。忙しいのは改革の余波があるからだが覚悟していたことだった。


「北方改革が今は最優先だと思っている。険しい山脈が連なる中橋家よりもジェシ平原から大軍が来る方が確立が高いと思っている」


その中で時成には積極的に行おうと思っているのは自身の多那箕田、水無村との関係の改善である。


「もしかして多那箕田村を要塞化しようと?」


「スパイン要塞を最前線の支城に出来たら面白いかなとは思っている」


子供のように無邪気な笑顔を見せられると彼がまだ15歳だと言うことを思い出す。


「御見それしました。私、仙堕はこの国の軍人として民を守ることを誓いましょう」


それは彼の生き方を言っているように感じた時成は一息ついた。そして彼に一つの剣を与える。


「仙堕冶怒を風の民の軍隊長に任命する。外には帝国、共和国を内には民を守ることを第一に考えるように」


二人だけの部屋で新しい軍隊長が決まった。彼が民を守るために八面六臂の活躍するのは後の話である。


ー-------------


軍隊長試験が終わった後溜まっていた執務を片付けて落ち着いた7月28日。時成は水無、見ノ木村を治める中橋家と蓋突き村を治める雨墨家の領土を転封した二家の視察に出かけていた。今は水無村にある旧森野家の邸宅に来ていた。


「一、二、三、……」


剣を持った強面の筋骨隆々の男たちが剣を振る中明らかに育ちのいい若者も交じって同じように剣を振っていた。


彼の名前は中橋 朗太(なかはし ろうた)。ここの村々を治める中橋漸三郎の息子であり跡継ぎでもある彼は今ここの領土を守る領主軍の訓練に参加していた。


それを眺めるのは堂々と白い屋根付きの二人しか乗れない馬車に乗り来ていた。訓練していた領主軍の人達は時成が乗っているであろう馬車の姿を確認すると急いで整列して出迎えた。


「お待ちしていました」


領主軍を代表して朗太が時成の出迎えの言葉を話した。


「出迎えなくても良いぞ」


「そう言うわけには行きません。当主より六代目が訪問されたら案内しろと命令されて言われていますので」


面倒臭そうな時成に対して仕事ですと言う


「ならお言葉に甘えようかな」


そして二人と護衛で後ろに来ている3人と一緒に当主がいる館に入った。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

次回『風の想い人』百七十三話は2月25日に更新する予定です。

次回もよろしくお願いします。

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