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風の想い人  作者: 北見海助
四章 革新編
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百七十一話 軍隊長試験 後編

7月6日。風の民の軍部の施設には2人の軍隊長候補に見学に来ている人が多くいた。


「推薦書は見させてもらった」


「あの時の子供が大きくなったものだ。失礼しました。知っていますが私の名前は仙堕冶怒です」


そう言う仙堕は前髪を上げて茶髪の髪を両サイド剃っている。細い目と濃い眉毛が特徴の今年で32歳だった。すらっとした細い体系でありながらしっかりと筋肉がついているように見える。


もう一人は元軍部の副隊長。今年43歳になり深中動仁の考え方に不満を持っていたザクと言う男だった。彼の考え方は年功序列。いつかそのポジションに収まろうと努力し虎視眈々と出世をしてきた。白髪も混ざる肩までかかった髪は後ろで結い、少し太った体系に無精髭、丸い顔で目も丸いように感じる。推薦したのは内部の軍人と三人の大臣だった。


「若造が偉そうに……」


年老いている人の言うことが正しいと思うザクだが少し声に出ていることを紗奈香は聞き逃すことはなかった。


「こんな時世だからね。俺は実力がある人が上に立つのが好ましいと考えている。話を聞いていると思うが二人とも魔法を使うみたいだから紗奈香の結界を割ってもらおうか」


軍部は魔法の有効性から各部隊が魔法使いや前衛、遊撃など部隊を持つ方針から今までの部隊と言う考え方を変え前衛は前衛で一つの部隊と役割ごとに部隊を分け小隊にして組むと言った方針転換を図っていた。


話が終わるとその場所から少し離れる場所に居た見物客に魔法が誤って当たらないようにどこからか結界魔法が展開された。


「始めようか」


「六代目は下がらないので?」


心配をするザクだが本音ではない。


「まさか目の前で判断したいと思ってね」


「了解しました」


そう言うとザクは魔法陣を起動しだす。それに合わせて他二人も魔法陣を起動始めた。


「不公平だろうから、言っておくが紗奈香を余り舐めない方が身のためだよ」


ニヤリと笑う時成と魔法を撃つ二人との間は30メートル。


「結界」


先に展開が終わったのは紗奈香だった。見やすいように半透明の結界が張られていた。厚さは1センチで時成も見たことがない結界だったために強度は未知数だ。


「これってもしかして美羽さんの結界では」


「あっ正解よ。結界を教わりに行っててね、結界の強度を上げたまま暑さを薄く出来ることに成功したの」


美羽の戦闘は見たことがない時成でも紗奈香の言葉なら信用できるが……


「これって新結界か?」


「そうよ」


それを言い終わるとザクは魔法陣を展開した。ザクの魔法は水が得意であり先端が尖った槍のような形状をしていた。それも長さは2メートル。薄い結界に向かって打ち込んでくる。だがその攻撃は結界に当たると形状を保てなくなり結界を伝って水が地面に吸収された。


「まさか……あの薄い結界のどこに負ける」


ザクは次の手を考えていなかったのが魔法陣を起動することすらやめてしまった。それを見てもしかしてと時成は思い返した。紗奈香が強度な結界を張るために魔法の練習をしていたのを偶々通りかかった。その時に行った言葉を思い出す。


「簡単な魔法なら分解できるんじゃない」


魔法陣の展開の速さを求めれば起動陣は魔法が習い始めた初心者でも使える魔法の簡単な応用とかが一撃目には飛んでくることが多いがそれを分解できないかと言ったことを思い出した。それが現実に出来る時点で色々と凄いのだが自身が魔法を使わないだけにこの結界の価値が正確に判断できなかった。


「予想通りかな」


仙堕はそう言うと今度は仙堕が魔法陣を展開始めた。手に魔法で書いた魔法陣を結界したの地面に投射する。もう一つは空に投射した。


地面にある黒い魔法陣は光だし結界にひびを入れると空に浮かべた魔法陣には炎槍を三本用意して放った。


2本の炎槍は結界で止まったものの最後の一本は結界を破って無くなってしまった。これで決着がついた。紗奈香を舐めてかかった副隊長ザクと、数手考えていた仙堕の違いだった。


これにて軍隊長試験は終了した。結果はもちろん仙堕が合格して隊長になった。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

次回『風の想い人』百七十二話は2月23日に更新する予定です。

次回もよろしくお願いします。

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