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風の想い人  作者: 北見海助
四章 革新編
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百六十七話 密談を終えて 王国サイド

先週の更新分は百六十七話ではなく百六十六話でした。タイトルのつけ間違いです。申し訳ございませんでした。

王城に戻ったレショットは丸1日眠った後、アイスジーナ王国軍長の執務室でゲンゾウと会っていた。


「お疲れさまでした。後でロロック公爵と兄に顔を見せて上げてください。それでどうでしたか『六代目』は」


密談に行くことを最初に相談されたゲンゾウだったが何事もなく帰ってきたとの報告を受けていたがそれでも本人を目の前にして安堵した。


「非常に面白い男だった。だがこちらの事情はかなり知っていたぞ」


レショットは嬉しそうにそう言ったがその言葉を聞いてゲンゾウは周りを見るがこの部屋には誰も居なかった。


「間者でも洗いますか」


当然アイスジーナ王国の防衛を任せられている軍の軍長だけに敵対したら持っていかれた情報だけ不利になることは分かっていた。


「やめておけ。相手に不審がられるし敵に回している暇でもあるのか?」


ゲンゾウが忙しいことを知っている……押し付けている仕事もいくつかあるからこそ彼に暇がないことは分かっていた。


「王子が何もしないからそんな暇などありませんよ」


昔から知っている相手だからこそ相手が今後使える王になるかもしれない相手に冗談を言えるゲンゾウだが不敬罪で掴まることもないことも分かっていた。


「必要最低限はしているはずだが?」


「最近表に出ましたか?」


その一言でレショットは最近していたことが走馬灯のように駆け巡った。


「あっ……」


そうこの王子。風の民のことを調べるために夜は遅くまで、朝はその影響で寝ていて昼に起きる。そんな生活をしているのだから重要な会議など寝ていて参加していなかった。


「いい加減部下を扱うことを覚えてください。興味が持ったことを調べるのはとても良いことですが何事もやりすぎることは絶対にダメでございます。殿下が居ない間、喜々として敵対しているロトナン殿下周りがちょっかいかけて来る。それに最近、陛下がそんなに元気がないように感じました」


ゲンゾウはため息を吐くがそもそもレショットは夜型の人間。早起きをしなさいとはもう言わなくなった代わりにもっと難しいことをゲンゾウは要求する。それも上に立つ人間になるのなら大事なスキルを身に着けて欲しいと考える。


「あの元気だった陛下が……怪しいな」


「怪しいと感じても証拠がないでしょう。ここ最近お疲れ気味でしたからね。心労も多いはずですから無理もないでしょう。話は戻りますがこちらの要求は出来たのでしょうか?」


風魔連合共和国の連合解消と飯田正則の失脚により食料輸入の約60%を失った。そもそもこの食料は風の民が輸出するのがほとんどだからこそその代替え案として妖魔共和国ではなく風の民と直接取引をしたいと交渉した。


「まぁ一応はしたがこれは思っているよりも面倒臭い人間が出てくるような気がしてな」


あれは確かに報告に書いてあった人間の特徴にそっくりだったそのような感想を持ったレショットだったがゲンゾウは少し目を閉じ俯いてから思い出したかのように口を開いた。


「新宰相でしょうか」


「チラッと見たが仮面をつけていて顔まではっきりしていないが俺と同じくらいの女で髪の色が赤身がかった茶髪だった」


密談に入る前にこっそりと時成を護衛していた紗奈香を偶然レショットは見かけていた。それにそんな彼女からは魔力を普通の魔法使いよりも魔力を持っている気がしていた。


「こちらの調べたとおりの人物でしたか。名は紗奈香で間違いないでしょう。中学院では金城の姓を名のっていましたね」


「『属性剣士』の娘の可能性が高くなるな」


即座にこの言葉を言えることが王子が勉強した証拠だな。『属性剣士』が金城の姓を名乗り風雲家の譜代家臣の一家、金城家の跡取りだったことはその時代を生きた上の人間は思い出したはずだ


「彼女の問題は類まれなる魔法の才があるにも関わらず、異名がないことでしょうね。そのおかげでたい」


「魔法使いは異名が付きにくいのだったな」


「はい。魔法使いなど周りにはたくさんいます。個人の魔法の力と本人の危険度が高ければ高いほど異名が付きやすくなります」


「暗部が意図的に隠蔽していたら」


「その可能性はもう低いです」


「もう低い?……ああ。五代目かっ……」


言われて思い出すのは七美の能力だった。


「『五代目』記憶使い(メモリー)の七美が居ませんからね」


記憶を操り、いじることが出来る彼女にとって目撃者の記憶の隠蔽など容易い。それに暗部が加わり都合が悪くなれば暗殺することも出来る厄介さは今もゲンゾウは覚えていた。


「そうだな」


レショットは少し残念そうにそう言った。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

2月23日で3周年になります。昨年はそれに合わせて2月の更新は章間を10話、本編2話を出しましたが、今年は本編を更新していきます。今月の詳しい更新の予定の方は活動報告を更新するのでそちらで確認してください。

次回『風の想い人』百六十八話は2月9日に更新する予定です。

次回もよろしくお願いします。

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