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風の想い人  作者: 北見海助
四章 革新編
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百五十八話 妖心問題

更新が遅くなりすみません。色々修正がありました。

妖心村付近を支配下に置いた水笠家の当主亮二は妖心村で問題が発生していた。そして時成は多那箕田村から帰ってきた足でそのままレストム要塞の執務室いた。


「まさか妖心をくれるとは思わなかったですよ」


執務室で出迎えた亮二は忙しそうに書類と睨めっこしながら捌いていた。多くの家臣から見れば不敬だろと思われても仕方がないと言うような行動だった。


「領地的に見てもお前の功績を見ても与えるのには不足はないと思うが、意見あった?」


その時に周りから見ての貢献と成績で判断したと言う時成に亮二の頭の中にはある人を思い出し疑問をだした。


「これも宰相の采配ですか」


宰相紗奈香は最近でこそ表に立って曲者ぶりを発揮させていると言う報告を受けている亮二はレストム要塞防衛戦の時成含む幼馴染の役割分担を見ていたなら疑いが強まるのも当然だった。


「妖心村を与えたのは俺の考えだよ。元々水増村から地続きで亮二にとって有効そうな土地を与えたかった。しかし貴方が暗部に精通していなければ別の場所になっていたかもな」


頷く時成を見て誰もいないことを確認してから低い声をだす。


「例の図書館ですか」


「それは昔、母に連れて来てもらったことを覚えている」


暗い顔にはどこか光が当たっているかのような目の輝きがあった。それでも幼い時の記憶を語る時成には辛い過去だと思っていることを痛感した。妖心村の外れ、詳しくは海からでも見えるが山の麓で木々が生えてある図書館の名前は古代図書館。何十年も前から研究と本が探されているが余り新たな発見がないそんな図書館だ。


「すみません。言わなければ良かったですね」


「気にしないよ。それにあの村は俺にとっては力を持ちたいと思った原点だ」


拳を握り噛み締める時成は悔しそうだった。その悔しさこそが時成が強くなろうと思った原点だった。


「それは俺に話しても良いことなのですか?」


「良いよ。俺にとっては信頼置いてる兄弟子みたいな人ですから」


「あの時の俺は何も知らずただ後ろを必死について行っただけの幼い時期ですよ。ただ感謝はしています」


最後の一言に亮二のその悔しそうな顔に彼の想いが時成にひしひしと伝わってくる。それを見た時成はただ黙ったまま彼の隣にいた。


「貴方が生まれた時それは空に突き抜けるほどの喜びと彼らの笑顔を今でも思い出します。こんな話をしてすみません。年を取ると昔の話をしたくなりますね」


「構わないよ」


「ですが雲の扉は何かありそうですね。聞けば妖商店街とも言われている。それに貧困層も少なからずいるみたいですし格差問題に治安問題もあります。それに今後の防衛なのですが」


そう言うと亮二は一枚の地図を時成に見せた。少しでも戦闘に噛んでいたなら分かるくらいこれは機密の情報だった。


「地図っか。良くこの短時間に」


「暗部が事前に持っていた物の写しを貰っただけです」


妖心村は見ノ木村から流れる川があるのだがそこまでが領内でありその川の幅は川口でも10メートルしかなかった。それに対岸に渡る橋なども多くかかっていた。


「川があるが橋を落として守るのも一時的。要塞などもなく起伏も少ない。唯一、川に近いところが妖心村の中心が幸いしてますね」


「攻めにくく守りやすいが基本だがこのままでは攻めやすい守りやすいだな、妖心を落とされたら取り返すのはかなりの人数の犠牲が必要かもしれないな」


亮二は頷いた。この地を守るにはどうすればいいのかも考えなければいけない案件だった。


「地に足をつけ、一歩ずつ動くしか方法はないですね」


遠回りをしても確実に一歩ずつ歩いて行くしか方法はないのだと亮二も確信していた。


「期待しています」


亮二の目には時成の表情は突如幼く見えたがこれが六代目の本当の顔なのかもしれないと亮二はこの時初めてそう思った。それまでの彼はどこか大人びて何かを吸収しようと貪欲な姿を思い出す。


「そうか六代目は15歳だったか」


誰も居なくなった執務室でポツリと呟いた。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

次回『風の想い人』百五十九話は12月8日に更新する予定です。

次回もよろしくお願いします。

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