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風の想い人  作者: 北見海助
四章 革新編
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百五十七話 過去から続く北方問題

風の民の北方問題。それは簡単に言葉に表せないほどにこの場所で血が流れ、権力者の欲望に住む人の悲鳴が共存するようなそんな土地であり、それが問題だった。


始まりは『妖魔100年戦争』が終わるとサワバ•マジック帝国は小国家や小民族を武力をもってどんどんと領土を奪いながら拡大していた。勿論風の民も傀儡国家として存続していた。


そしてそれから102年後帝国は3つの国に別れて縮小した。領土問題に発展したのはその時だった。約8年間は帝国の怒涛の攻撃を何とか防衛していたがそれが出来ずに敗北して領土の一部を奪われてからそれを機に風の民は妖魔共和国の実質の支配者風雲家と同盟を結んで対処した。


スパイン要塞に入っている時成と弥生は最上階の見張り台に上りながら話をしていた。


「こうして一緒に歩くのは久しぶりだね」


「忙しかったからな」


登り終えた時成は辺りを見回した。帝国サワバ・マジックとの国境側は木々が多く生える森林地帯かと思えば山岳地帯に変わる。かと思えば守るべき村は10年間ぐらい変わったことがないような平屋の家が立ち並ぶ。ただ一軒だけ2階があり大きな屋敷が経っていた。


「私は余り分からないけどこの辺、少し寂れていない?」


「そう思うよ」


特に北部と南部の発展の格差は著しく南部は四か国一の穀倉地帯があるが北部は少し寒い気候の為南部で良くとれる小麦の栽培がしにくいが寒さに強い穀物は良くとれる地域で儲かっていたはずなのだが様子がおかしかった。


「本当は少しずつ異変を感じていたがメスを入れれなかったのが原因です」


いつの間にか見張り台に登って来ていた深中動仁が回答する。


「相変わらず色々と詳しいな」


父やテツから聞いていた話と合致する回答だった。そして時成は動仁の姿を確認する。


「これでも、妹様の右腕を目指していた時期がありましたし、その時に出来た習慣が身についているのが事実です。ただ少し前まで嫌っていたこの習慣も悪くはないのかなと思いますけどね」


「貴方も狂信者と言うわけ……か」


その動仁の言葉にはどこか暗部の幹部の人達と話していることが似ていることに気がついて、そう返答した。彼もまた龍我の姫に心を囚われた一人の人間だった。


「ただ命を懸けたいと思った相手が暗部と違っただけですね」


「暗部を恨んだことはありませんか?」


急にバッサリ斬りこむような質問をする弥生に時成は振り返った。


「それも沢山ありますよ、何度も様々な経験をするうちにね。だが六代目。俺は自分の人生後悔はしていませんよ。それに貴方のおかげで自分が昔から努力していたことが生かせることが出来ます。それにあの立場は使えるが堅苦しい。後、裏切るつもりはないですよ」


時成の心臓が早くなるのを感じた。だがそうなっていることを表には出さない。


「機会があればあの野郎は誰が何を言おうが俺が手にかける。腸が煮えくり返っているのは何も暗部だけじゃないんだ。奴を受け入れた帝国を許すつもりはない」


動仁の殺気が漂うが平然としている時成はそんな動仁に忠告する。


「貴方の気持ちは良く分かる。けど指示なく戦うなよ。敵は強大で虎視眈々と領土を狙ってくる」


「ええ。それは痛いほど分かっています。六代目は分かっているとは思いますが今は目に見えないところでガタガタになっている場所から手を打たないといけませんよ」


風の民は10年間の時が止まっていると言っても過言ではないと、見えている多那箕田村からひしひしと伝わってくる。発展しているように見える南部ですら後江村は少しずつ人がいなくなり領主が得をするような不必要な税金が上がっていた。他にも領主を支える人が横領している場所もあった。


「取り合えず時間を稼ぎながら改革していくしかないな。甘ったれた奴らには3年と言ったが貴方は何年欲しい?」


少し空を見上げてからそう話す時成はそう言った。


「六代目がどんな改革を持ってして良しと言うかは分かりませんが最低でも3年は欲しいですね」


ある程度改革してそれが浸透して回りだすには3年以上欲しいと思うのはお互いの認識だが外交問題がそれまで待ってくれるか分からなかった。


「それまで他国が待ってくれるか……欲を言えば10年ぐらいは内政改革したいのが本音ですね」


「最善手を打ち続けるのは当たり前だがこっちの面倒臭い案件にも協力してくれよ」


その案件の中身を知っている動仁も時成もはぁとため息をついた。何でため息をついているか分からないのは弥生だ家だった。


「二人してため息を吐いて。この後まだ厄介な出来事が残っているの?」


「確定しているんだよ。都市国家アクアストームで市長選挙があるんだ。そしてその選挙を機会に世代交代が起こる可能性が高いと暗部から報告を受けている」


ああーと弥生も嫌な顔をする。野心家たちがこの選挙をどうするのか暗闘や武力衝突の可能性も頭ごなしに否定することは出来ないし飛び火する可能性もあると考えると嫌だと思うのは当たり前だと弥生はそう思った。


「だから面倒臭いのね」


弥生は納得して首を縦に振った。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

次回『風の想い人』百五十八話は12月1日に更新する予定です。

次回もよろしくお願いします。

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