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風の想い人  作者: 北見海助
四章 革新編
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百五十六話 中呂村改革

3月15日。風の民では幹部会議が始まっていた。議題は今後の中呂村の問題だった。


「中呂村は風の民当主が受け継ぎ、代官を立ててそれを優秀な人が裁く。そして幹部会議に参加する権利も与えることにしたい」


「その代官に権力が集中しませんか?」


と海鮫翔がそう言った。時成は軽く頷いてからこう話す。


「イメージは領地持ち幹部でなくいつも大臣を起用しているようなやり方で行きたい。宰相の役職も増えるからこれを入れて奇数になればと思っている」


「だからあの報酬だったんですね」


自分の領土変更を疑問に思っていた中橋漸三郎がそう言って頷くように納得した。そもそもこの案は七美が構想していて夢半ばで命を落としてしまった案を時成が引き継いでいるに過ぎなかった。それも残したものがほぼ完成していた。


では何故時成がこの案を出したのか。それは空いた土地に領主を与えることができる信頼がある人物が暗部しかいなかったことが大きいのだろう。 


「人選は忙しいだろうが大臣の3人に任せる。自分の子飼いでもなんでも構わないが使えない人間なら推薦した人はどうなるか考えて欲しい。信頼しているからな」


それを見るとテツを一瞬だけ見てから時成は全員を見回すとこう言った。


「ではよろしく頼みます」


この言葉にはあくまでもお願いと言う形で動かしたいと思っている表れなのだろうか……そう言うと時成は去っていった。


――――――――――


その日の夕方。太陽が西の空でオレンジ色に輝き始める時間帯に時成は中橋漸三郎が滞在している領主の館に来ていた。


「引越しの準備は出来ましたか?」


二人しかいない執務室には書類が山のように溜まっていた。足の置き場はあるがそれでも量がとても多かった。


「まぁぼちぼちです。下見にも行きました。本番はここからですね」


眠そうに話す漸三郎は時成を見ていた。


「苦労をかけますがよろしくお願いしますよ」


「家臣に敬語など……」


「癖はなかなか治りません。ですが敬意を払う人を間違う訳にはいかないでしょう」


漸三郎はその言葉を聞いてニヤッと笑った。






ここまでお読みいただきありがとうございました。

次回『風の想い人』百五十七話は11月24日に更新する予定です。

次回もよろしくお願いします。

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