章間26話 空白
本日二話目になります。急遽更新することを決めました。よろしくお願いします。
七美が飯田正則の凶刃によって亡くなった。
ただその事実が風の民に重くのしかかった。民は悲しみと共に怒りを覚えた。七美が五代目になってから多くの人が目に分かるように生活力が向上していることを実感していた。
葬式の時多くの人は泣いていたが暗部の幹部である、あの場所にいた人達だけは涙を流していなかった。
未来が明るいと思われていたこそ余計に悲しんだ。ただ民はベイビーブームで授かった子供の未来を良くしようとする五代目の意思を受け継いでより良くなろうともがき始めた。
葬式が終わると透が一時的に当主の座に戻ると宣言して長老と呼ばれることになる。
「お前のせいだ。何が約束だふざけるな。そのせいでわしの娘は亡くなったんだぞ」
幹部会議でそう非難するのは透で、言われているのは太陽だった。野次も飛び非難される太陽は暗部に誹謗中傷が行かないことと七美の遺志の為にただ自分のせいで七美が死んだとそう言うことしか出来なかった。この場で事実を知るのはテツのみだったが何も言うなと太陽に口止めされていた。
「俺が良いと言うまでこの本部の敷居を跨ぐな良いな」
そう言われると太陽は幹部を背に部屋を退出した。
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中央支部では太陽は全暗部メンバーに向かってこう話していた。
「俺の依頼などに手を貸さなくても構わない。ただ次にこの暗部を導く人が現れる。俺に騙されたとそう思って10年待ってくれ。約束が果たされなかったときは俺の命をもって償うから」
太陽は頭を地面につけて謝っていた。暗部だけは七美が死んだ原因は自分たちが守れなかったとそう強い後悔があった。
「俺達からもお願いする」
暗部隊長テツに副隊長影道、ソーキに天将とたくが頭を下げた。もしかしたら時成が成長して『六代目』になれば約束が果たされるとそう期待せざるを得なかった。このメンバーを敵に回すのは良くないし世話になったり拾って貰った恩がある。暗部メンバーは頭を下げた。
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中央支部の実務室ではテツと天将が話をしていた。
「天将。弥生を連れて10年間首都魔京に行ってこい」
「それが命令とあれば」
そう言って天将は頭を下げるがテツは待てもそう言った。
「命令じゃなくて提案だ。天将、少し暗部から離れろ。今のままでは心が壊れるぞ、色々と疑問を感じてるんだろ視野を広げてきたらどうだ」
表情が変わらないテツは天将の心を案じた。一時は『冷眼』と呼ばれていた彼が表情豊かになっていることなど知っていたがもう4年間人前で表情を変えたことはなかった。
「その提案を受けます。分かりました。形はどうであれいつか暗部に貢献させて頂きます」
そう言う天将と弥生はこの日から風の民を離れ首都魔京で生活することになった。
そして何も事件と言う事件が起こることがなく10年、過ぎることになる。
ここまでお読みいただきありがとうございました。本日の更新で章間は終わりになります。お付き合い頂きありがとうございました。
次回から新章が始まります。四章タイトルは『革新編』です。よろしくお願いします。
『風の想い人』百五十四話は11月3日に更新する予定です。
次回もよろしくお願いします。




