章間24話 幼い時からの疑問
ジェシ平原の戦いに負けた風の民はジノミ家と講和を結びに帝国へ招かれていた。そこで決まった内容が炎狐を育てる事、浪花家のお咎めなし、占領した地域の放棄を約束させられて講和が決まった。
それでも七美の求心力は余り下がることはなく同年には密約でアイスジーナ王国と共同研究が始まった。
w170年暗部はアイスジーナ王国内と都市国家アクアストーム内にそれぞれ支部を作りアイスジーナの方は西支部、都市国家アクアストームの方は南西支部と呼ばれだす。その頃になると共同研究の成果が出てきてついに七美の念願だったランプの製造が始まり、翌年になると町に明かりが灯し始め空前の建設ラッシュとなり人々は利益をあげた。
w172年9月14日。もうすぐ5歳になる時成の運命が変わることになる。七美はこの日妖心村で新たに見つかった『妖魔100年戦争』以前の書物の中身を見に行く予定だった。
だが七美は行く前に透に呼び止められてしまった。今は透の私室にいた。
「どこか行くのか?」
「お父さん何で止めるの?」
質問を質問で返す七美にはぁとため息をついて頭を抱えた。
「お前の死相を見てしまった」
「最近余り未来を見れていないのでしょ。大丈夫よ」
ここ数年透は能力を使うことが出来なくなり口にはしないが未来が当たる確率も減っていた。それは七美も知っていて大丈夫だと判断した。
「探していた物が見つかったのだけど暗部に盗ませるわけにはいかないから見てきたいんだ」
それだけを言い残して七美は時成と共に出かけて行った。この会話が七美との最後の言葉になることは予想にもしていなかった。
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中央支部で一泊してから向かった七美の行き先の場所は妖心村の外れにある古代図書館。中に何が入っているのかを知らないことで有名で多くの書物が眠っていた。それを探すのに多くの人を投入していた。勿論暗部も何人か使っておりその一員として七美は入ることができた。
七美が探していたその書物には共同研究でやっとできた便利で誰でも使える魔道具と言う文化があったと書かれてあり七美がずっと疑問に思っていた100年戦争以前のことを解決することができる手がかりの一つだとそう言えた。
これをもっと調べていけば幼い時から疑問に思っていた、何故前の文明は滅んだのか、何故戦争をしたのか分かるとそう思った。それを元に改革していけば前文明みたいにならないのではないかとそう思っていた。
この日までは。
未来を色々考える七美だが彼女の悲劇はここから始まることになる。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
次回『風の想い人』章間25話は11月2日に更新する予定です。
本編百五十四話は11月3日に更新する予定です。
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