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風の想い人  作者: 北見海助
章間 七美の軌跡 青年期~『雨の十五夜』
170/255

章間17話 『鮮血の闇市場』事件

14日後七美の元には調査を依頼していた影道から報告を受けていた。


「五代目様。遅くなりましたが例の薬の件ですが出元が分かりました」


「本当?」


「色々な方面の部下から情報を得ています。出元は首都魔京にある飯田の拠点になった城の裏通りにある闇市場(ブラックマーケット)です。そこには飯田の重要人物や他国の商人なども訪れているようです。名簿がありましたので確認お願いします」


真っ暗な中七美は炎魔法で周りを灯しながらもらった名簿を確認する。この闇市場はもとより色々と怪しいと暗部が24時間3人体制で監視している場所だった。


「はぁーやるしかないのよね。あの薬は精神や命に関わるヤバイ薬だしなー。ねぇ影。やるなら徹底的に叩いた方が良いわよね?」


獰猛で不敵な笑みをしている七美は名簿を影道に返した。


「まぁ五代目の好きなようになされば良いかと。私の意見としましてはそこに訪れているのは他国の商人以外なら比較的、軍人に近い人ばかり、飯田軍は今年にもまた侵略してくると私は読んでいます。叩けるのなら叩いた方が後に血を流す人が少なくなると思います」


「分かったわ、今回は徹底的に叩きましょう。今回の任務の頭を太陽に影は裏から太陽のサポートをお願いするね。必要なら他にも暗部のメンバーを連れて行って構わない。大事なのは死なないこと。よろしく頼むね」


「五代目、俺以外の人に任せるとかないですかね?」


申し訳なさそうにそう言う影道に意外だなと七美は思った。


「あら珍しいね」


「いえいえ、ちょっと『影の執行人』とかいう異名が出回り始めましたんでほとぼりが冷めるまで少し行動を控えたいとは思っています」


「けど貴方が後方支援しないと誰がするの?」


そうなってくると七美が話したように現実問題として暗部には後方支援をメインに動く人などほとんどいなかった。


「沙羅とかですけど無理ですよね?」


「あの子には……出来るだけ飯田と関わらせたくないからね」


飯田家に滅ぼされた生花家の娘。恨みや憎しみで魔法を暴走させるかも知れないと七美は恐れていた。


「他に出来る人もいないし俺がやるしかないんですよね」


「そうなの、それが嫌なら後方支援出来る人を育成しなさい。よろしく頼むよ」


それを聞いた影道は心臓に手を当ててから陰に消えていった。


ー-------------


ここは飯田家の拠点の近くにある闇市では魔力増幅剤や人などの違法な競りが行われていた。その中には飯田やサワバ・マジック帝国、都市国家アクアストームの要人に国を跨ぎながら商売する上位10%に入る人物がその場所にいた。


「まぁ罪状が出てるんだわ、それとここに居る人たちの皆殺しを許可するとね」


そう言って見せたのは七美の名前が入ってある書状だった。そこにはこう書かれてあった。


風の民自治区にまで魔力増幅剤の効果で魔力飽和に体を蝕まれ精神が不安定になったり幻覚を見る人がいるなど苦しんでいる人がたくさんいます。そんな物を扱っている人たちは不法なものを扱っているとして拘束及び暗殺することを許可します。


それからの行動は一瞬だった。ここに居る市場の関係者は太陽の手によって一夜にして全員が死亡した。


後に語られるのは、この事件。第一発見者が現場を見たときに地面がまるで血の海になっているかのように見え、血が固まっていなかった。この場所を見た野次馬の人達も恐怖で打ちひしがれて3日3晩寝れなかったとかも言われている。


そしてその惨状と壁についている血痕からまるで辻風が吹いたようだったと言われた。そしてこの事件の首謀者である犯人の異名に『辻斬り』と名付けることになった。


そしてこの事件を鮮血の闇市場(ブラックマーケット)事件と呼んだ。この事件が『恐怖の象徴』とも言われた数ある『辻斬り』が起こした最初の事件である。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

次回『風の想い人』章間18話は10月23日に更新する予定です。

本編百五十四話は11月3日に更新する予定です。

次回もよろしくお願いします。

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