百三十一話 前日のひと騒動
3月9日。中央支部の道場では剣の修行をしていた時成とソーキは修行が終わった後の片づけで話をしていた。
「若、紗奈香を止めてくれ」
「昨日も寝不足みたいだけどもしかして寝てないのですか?」
「書類整理に結界魔法の訓練ここ最近あまり寝ていないのに脳や体を魔法を酷しするばかりで、心配で俺や嫁が止めろと言っても聞く耳を持ってくれないんだよ」
それを言った時成はため息を吐きソーキに首を振って目を瞑った。
「俺は軽く言っていますがいうことを聞いてはくれません。」
二人はどうにかして紗奈香を休養させることを考え始めた。
「弥生ならいけるんじゃないか?」
「強制なら大丈夫かもしれませんね」
そう言うと二人は見つめてから悪い笑みを浮かべた。
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執務室のテツの机には一枚の紙が落ちていた。
各大臣の下には全員龍我炎狐の名前が入っていたおり、それと同時に今回の旗取りのルールが書かれていた。一つ。人を殺すことを禁ずる。二つ。旗を取った陣営の頭が次の六代目になる。三つ。準備期間や他の場外乱闘を禁ずる。四つ。各大臣の票は決着がつかない場合のみ使用される。五つ。戦う時間は当主の宣言から日が落ちるまでとする。
そんな執務室には紗奈香と真と弥生と時成とソーキが入って報告を聞いていた。
「結論を言いますと一軍を預けられている浪花家と森野家の幹部は信用なりません。ですが軍部の僅かなメンバーと龍我炎狐と深中動仁は信用できます。それと中立派ですが雨墨家は当主が北側領主との取引があり強く出れないみたいです。中橋家は完全に中立ですね。ほんとならもう少し時間をかけたかっです」
「わかりました。無理を言って動いていただきありがとうございます」
報告者が執務室からいなくなった後時成は紗奈香に質問する。
「それよりも紗奈香。最近長く寝た日はあるか?」
「ないけど大丈よ夫。最低でも2時間は寝ているから。今もか……らだはバッチ……リ」
気が抜けたのかふらついている紗奈香を真が受け止めた。
「弥生。やれ」
「仕事しすぎ。自分が頼んだのもあるのだろうけど。責任を感じすぎだよ。ちょっとは余裕を持たないと」
そう言う弥生だが紗奈香のプレッシャーを知っているからこそ強く言えなかった。そして首を触って紗奈香を眠らせた。それを見て真と弥生は医務室に向かい執務室を離れた。
「やっぱり紗奈香に仕事を押し付けすぎたみたいですね」
「今後は二度とないようにお願いしますよ。若」
そう言いながら客用の机に広げられていたのは風の民自治区が支配している土地の平面図面に名前と数字が入ったネームプレート。これを見るだけで8割は分かるのだが何を想って想定してこの布陣なのか余り時成には理解出来なかった
「この才能を使わない手はないでしょう。4人の中では一番の頭脳派ですし」
時成はそう言って図面を見ながら考える。運命が変わる日は近づいて来ていた。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
次回『風の想い人』百三十二話は7月28日に更新する予定です。来週の更新は休みです。すみません。
活動報告を更新しました。内容は今後の更新予定についてです。
次回もよろしくお願いします。




