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風の想い人  作者: 北見海助
三章 風雲児編
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百三十話 紗奈香の作戦

日付は少し戻り3月3日、本部では幹部会をしている最中、執務室には紗奈香と天将とソーキがいた。


「暗部の人たちにお願いがあります、今回戦う全ての人を対象に内通者が居ないか調べてきて欲しいんです。期限は3月10日です」


紗奈香は頭を90度に下げる勢いでお願いする。


「それは良いんだが後7日では時間が足りない。せめてもう一週間あれば確定の証拠を集めるために動けるとは思うんだが何せ人が足りない。本部で動ける人間なんて20人いるかどうかだ」


「そこをどうにかしてください。お願いします」


「何故全員何だ?敵主力メンバーでも良いんじゃないか?それにお前が言うから普段より人数を増やして北にも東にも潜入するメンバーを増やしているんだ人で不足だ」


ソーキは強い言葉で紗奈香を諭すがそんな父親の言葉を紗奈香も強い言葉で反論する。


「だって勝つからには深中さんがこの勝負の結果に納得して、幹部のまま居なければ私達の未来なんかないの。あの人ほど風の為に動く人など居るはずがない。それに一度でこれから私たちの邪魔をする膿を一度に取るほうが恨みも少なく一番良い方法だと思っているの。東は南西支部と西支部のメンバーに振子さんつけて監視するそうすれば足りない人手不足も補える。どう?」


そう言って沙奈香の目は完全にソーキを射るような眼をしていた。


「……」


これを聞いたソーキと天将は紗奈香への反論はできず、むしろ恐ろしいほど先を見ている紗奈香の発言を聞いて何故か全身に寒気が走っていた。


「暗部のメンバーには直接お願いしなさい。そこまでの道は作ってあげるから」


そう言うとソーキは頭を掻いて諦めた。


ー-------------


場所と日付は変わり3月6日。


時成と紗奈香は雨墨家と交渉をしてきた後。


「あれは何か裏がありそうな感じだったね」


そう思う紗奈香はその光景を思い出す。


「ありがたいお話ですが我々は中立です。どちらのお味方にもなりません」


そう言った渡司の言葉に疑問を感じた。


「帝国の動きも気になるな。旗取りに参加するのなら俺たちが対処すれば良いだけだが、雨墨家が北側領主に付いたのなら帝国まで一直線に海鮫領が危なくなる」


「それも暗部の報告次第だね……。あっ暗部のメンバー勝手に利用してるけど良いの?」


「いやっお前。事後報告だな。良いけど」


「そっ。なら良いわ」


紗奈香は仮面越しでも分かる良い笑顔をしていた。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

次回『風の想い人』百三十一話は7月14日に更新する予定です。

次回もよろしくお願いします。

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