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風の想い人  作者: 北見海助
三章 風雲児編
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百二十七話 時成の支援者

3月4日。ここは水笠家の領主屋敷。そんな屋敷は今大慌てで使用人が走って準備していた。


「出来るだけ綺麗にだ」


そう言いながら走りながら使用人を支持するのは前領主のレトの相棒だったケイの息子であるダンだった。この男は領主である亮二の3歳年下でこの家の使用人や役員をまとめるお目付け役だ。そんな彼が身に纏っている服は黒を基調としている執事服なのだが中に来ている服は真っ白でつけている黒のネクタイがより強調されているのだが筋骨隆々のダンには服が小さいのではとも思えた。


筋骨隆々のダンの背は185センチあり執事服を着ていなければ護衛とも間違えられそうだ。年は33歳で2歳の子供を持つこの男は髭を剃り髪も坊主頭に近いぐらい剃り上げ鋭い目をした持ち主だった。


そんなダンは会議室を掃除している人達を見てこの会議室を使う人々のことを想い次の部屋へと歩き出した。


ー-------------

午前10時。時成が水笠家の会議室を入ると長机が横長の長方形に置かれており真ん中は空いていた。参加者はもうすでに席に着いており扉を開けるとその近くには椅子が1つしか用意されていなかった。


「お疲れ様です」


参加者は全員席を立つと頭を下げた。


「会議を始めましょう」


席に着いた人々は時成の言葉に耳を傾けた。


「まずはここに集まっていただきありがとうございます」


時成は辺りを見回した。自分から見て左から、『鉄人』テツ、海鮫当主の翔、水笠家当主の亮二、『影の執行人』影道、次の席は椅子があるが誰も座っておらず、空席の隣に『冷眼』天将が座っていた。時成の正面には左から、『浮雲』たく、『属性剣士』ソーキ、その隣の席も空席になっており、その隣から、もかな、『氷結の姫』沙羅と並んでいた。そして右側の席は奥から、『壊し屋』蓮、『結界師』美羽、明人、弥生、『斬撃使い』真、紗奈香と言う順番だった。


「改めて僕は母の跡を継ぎ風の六代目になります。そのために皆さんの力をお借りしたい」


時成は見回すと多くのものが頷いていた。暗部は基本全身黒服を着ており仮面を外していた。そのような様子の中、紗奈香は手を挙げて立ち上がった。


「まず現状を確認します。敵の大きな支援者は軍部ですが警戒するのは軍隊長、『魔剣将軍』深中動仁です。その軍部よりももっと厄介なのは浪花家と森野家のバックについている国の方が厄介と思います。振子さん、報告をお願いします」


そう言われ紗奈香は座ると今度は振子明人が立ち上がる。


「隊長の命令でずっと旧妖魔共和国の方に諜報をかけていましたがご存知の方も多いように首都の魔京を始めとする北側の領地から支援を貰っている議員に森野家が内通しています。そしてその人たちが今回の旗取りに被せて軍を動かすであろうとの報告が入っています。詳しい内容は現在調査しています。北の方は影さんお願いします」


そう言うと明人は影道の方に向いて頭を下げてから席に着いた。


「また帝国サワバ・マジックですが、こちらも国境付近で怪しげな動きがあるとの報告を受けている。旗取りに合わせて襲撃があるかもしれません。警戒の程よろしくお願いします」


と影道が立って言った。それを見てテツは説明を始める。


「対外的には俺らは若様を支援する後援者になります。改めて昨日の幹部会議で他の幹部にも見せた文章と暗部の組織当初の幹部メンバーにここにおられる領主二人の血判の二枚がここにあります。確認の程よろしくお願いします」


テツは懐に持っていた用紙二枚を回していく。そして回された二つの紙を見て弥生は頬を赤く染め上げた。だが今は会議中謀られたと思っても口に出すことは出来ず、さらに太陽の血判があるということは当然死ぬ前に作られた文章だという証拠が残っている時点で弥生と時成の感情を分かって、天将にも納得させて作ったこの用紙二枚を見て弥生は目を細めて天将を見た。天将は何か言いたそうだったがそれよりも先にテツの確認の言葉が入っていた。


「納得出来ましたか」


テツは確認を取ると全員が頷いてテツの方を見てからテツはこう言った。


「用紙にも書いてある通り、敵は龍我炎狐を頭に置く軍部と森野家と浪花家、残り二家の対応はこの後の議題に回します。ここにそれらを敵とみなす暗部と水笠家と海鮫家の同盟を結びます」


そう言うと自然に拍手の音が鳴り響いた。そして次第にその音が大きくなっていたと思ったら、時成の背後の扉からガチャっという音と共にバタバタと入ってくる子供と女性がいた。


「パパ」


そう言いながら背が120センチもない藍色のTシャツとベージュの半ズボンを着た小さな子供は周りの視線を気にもとめずにキョロキョロと目を動かしながら、自分の父親を見つけて駈け寄った。


「こらっ。入ってはダメでしょう。今は皆さん仕事中ですから」


そんな子供を叱るが見向きもされず走っていく子供を見て、女性は会議に参加している人達に向かって頭を下げて謝った。


「初めまして。水笠アレノと申します。うちの息子がお騒がせしましてすみません。」


「はちめまして。ショウです」


そう言って亮二の隣でぺこりとお辞儀するショウを見て先ほどまでの重い雰囲気は無くなっていた。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

次回『風の想い人』百二十八話は6月23日に更新する予定です。

次回もよろしくお願いします。

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