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風の想い人  作者: 北見海助
三章 風雲児編
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百二六話 テツの思惑

会議室を後にしたテツと翔と亮二は廊下を歩きながら会話していた。


「良くあの作戦で若が許したな」


驚きより中身を実際に体験して心の声が漏れだしたのは翔だった。


「まあ若には睨まれはしたけどそれが一番手っ取り早く敵が分かるからな。政治的に見ても軍事的に見てもこの不安定な情勢の中で回復能力者(ヒーラー)の有用性は千愛が生きていたときで知っているはずだしそれが若の嫁だったら納得するはずだからな。反対票を上げた人は確定で敵だと判別できる。しかも副隊長が背後に隠れていて見せたことにより後ろめたいことをしている人はいつ『影の執行人』が来るかも分からない恐怖にも怯えなければいけない」


テツは頭を手で擦りながら客観的な意見を述べながら自分の持論を話す。


「やりたい放題ですけど牽制は出来ましたし結果としては良い出来じゃないですか」


これからの自分の負担を考えるとはぁと亮二はため息を吐くがそれ以上にテツの声は低く厳しいものに変わった。


「ここからが本番だからな。あれを見て紗奈香がどう思うか。俺は若たちにはもう余り口を出さないようにはしようと思っているかな」


テツは目を閉じて昨日の光景を思い出す。


ー-------------


午前6時半。中央支部の執務室には時成と紗奈香が揃っていた。二人は客用の椅子に座るとテツは机の反対側にある椅子に座った。


「戦闘の影響はあるのか?」


「いいえありません」


紗奈香はあれほどの魔法を使っているにも関わらずもう体や魔力欠乏などの影響は出ていなかった。それは弥生が全力で治した時成も体への影響はもう感じてはいなかった。


「さっそくだが幹部会で今回の件は報告させてもらいます。その時にですが風の中にいる自分たちの敵を明確に把握しようと思います」


「方法は」


時成はテツの顔を射抜くように見つめる。それを見てテツも時成に聞き返した。


「若と弥生ちゃんの結婚を認めてもらいましょう。ただ可決するとは決まらないですが。ただこれに反対票を入れる時点で自分たちの敵が分かります。少なくとも若が弥生を溺愛しているのは事実ですしそれが引き金で飯田は滅んでいます。この事実を知らない人か敵が反対票を入れるでしょう」


それを聞いた時成は一瞬殺気を出す。特に弥生との婚姻を阻む奴はどんな形になっても許す気持ちはなかった。


「奴らの処遇は?」


「それは六代目になった若の采配に任せます。若が六代目の跡を継げるように俺が今回の会議で伝統の旗取り合戦を開催できるように持っていきましょう。紗奈香は幹部会について来て現状を知ってもらう。最悪の展開は乱闘になって退路が無くなることだから転移魔法陣だけ準備してもらいたい」


「分かった」


「分かりました」


その後は根回し等の準備するのに時間を取られることになった。


ー-------------


「おいテツ置いて行くぞ」


立ち止まったテツに振り返って翔は声をかけた。


あれだけ見せれば充分だな。後は若の頭脳がどうにかするだけ。今回は暗部らしく裏方に徹したいな


「ああ。今行く」


そういうとテツは歩き出した。



ここまでお読みいただきありがとうございました。

次回『風の想い人』百二十七話は6月16日に更新する予定です。

次回もよろしくお願いします。

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