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風の想い人  作者: 北見海助
三章 風雲児編
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百十三話 時成とアイスジーナ王国のスパイ

話を聞いた時成は25日に実際に捕らえたと聞いたスパイに会いに来ていた。その場所は地下牢獄の看守室。自分の部下にと連れてきたのは紗奈香だった。会うにあたり紗奈香は仮面をつけて二歩後ろの背後に下がり時成は能力を使用して目を緑色に変化させて椅子に座った。


手錠に鎖を繋がれたボロボロの服を着た男を見て時成は確認をとった。


「お前だな、話に聞いたスパイは。名をディトと言うんだな?」


「はいそうです」


堂々と話すディトを見て時成はレショット・ジーナの人選に驚いてこの男に託したのかと眉を上げる。時成はこのディトは多くの人を支えるような仕事に就いていそうだなと思った。


「自分の上司はレショットさん。もし『グリーンアイ』に会ったならこれを見せろと言われた書状を預かっております」


そう言ってディトは懐から長さが短い巻物を取り出すと時成に封を切って見せた。そこにはこう書かれていた。


初めまして。これを読んでいるということはまだ俺の部下は死んでいないということだと思う。図々しいとは思うが君とは一度非公式に会談したいと考えている。アイスジーナ王国では知っての通り内乱の兆しがある。そして徐々に食糧難に近づいている地域もあると報告を受けている。民の為に行動する『グリーンアイ』にお願いがある。会談の大まかな内容は食料援助の交渉になるはずだ。よろしく頼む。


レショット・ジーナ


これを読み終えた時成は空を見上げた。そして確信する。レショットは演技派であり、同類だと。それを見た時成は近くに来た紗奈香を見て書状を渡した。


「とりあえずこれ読んでくれ」


紗奈香はもらった書状を見て確認をとった。


「これからの予定的にも立場的にもまだ無理だよね。でも自分の部下を今時成と対面していてこれが彼の思惑なら、彼をレショットを敵に回すのは良くないと思うよ」


それを聞いて時成は安心した。自分と同じ考えに紗奈香が至っている時点で自分の行動は一つしかなかった。


「とりあえず書状の内容だが、俺からは明確に出来ないが乗り気だとは言っておく。とりあえず俺がここのトップにならないと援助をするにしてもできないことが多々ある、そちらも調べはついているとは思うがまだまだ俺を支持する人は少ないんでな。とりあえず2か月以上待ってもらうかもしれないが牢獄暮らしだが待遇は良くすると約束しよう」


「ありがとうございます」


ディトは一息をついて改めて時成に向きあった。それを見て紗奈香をこの部屋から下がるように促して紗奈香は退室した。


「俺からは一点だけ聞いておきたいことがあった。ゴトウ公爵と王国軍長と北の元辺境伯家の支持をレショット王子は貰っているのは確実だな?」


「勿論でございます。特に軍長からの信頼は厚く兄の公爵も自分の子供のように接しているとだけ言っておきましょう」


「そうか、楽しめはしないだろうがゆっくりとここで過ごしてくれ、俺もすることが多くあるが生きているならレショット王子の手助けぐらいは出来るだろう」


それだけを聞いて時成は立ち上がり歩いてこの部屋を出た。


ー-------------

その日の夜、多くの人が寝静まっている午後10時。中央支部の執務室では影道と天将と時成が今後の暗部の動きについて話をしていた。


「アイスジーナ王国に内乱の兆しがあり、だが放蕩王子には母親はいないがそれこそ完璧な後ろ盾がいる。支援するにしても暗部の立場がかなり微妙だな。どうしようか」


天将は考え込むが時成の中では結論が出ていた。


「とりあえず飯田の件が終わるまでは西部支部に王国の件を任せるのが得策だと思います。我らは飯田に全力で戦おうと思います」


時成がそう言ったときに一人の暗部が執務室の扉を叩かずに乱入してきた。


「緊急連絡です。若、隊長、幹部の皆様、飯田正則が若が通っている卒業式に参加するそうです」


「報告ありがとう。3月1日だな。楽しみだよ下がっていいよ」


「はっ。失礼します」


そう言うと部下は下がって部屋からでる。そして時成は不敵な笑みを浮かべていた。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

次回『風の想い人』百十四話は4月7日に更新する予定です。

活動報告を更新しました。内容は今後の更新予定についてです。

次回もよろしくお願いします。

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