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風の想い人  作者: 北見海助
三章 風雲児編
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百八話 時成の夢

次の日。ここは中央支部の執務室。自分の夢に向かって時成は多くの暗部に自分の考えを伝えるために動こうとしていた時、天将に呼ばれてここに来ていた。


「そもそも論としてだ。今の暗部は混乱中なのよ。時成を自分たちの新たな主として忠誠を誓えるのかそこに未来はあるのか多くの人がお前の動向を確認している」


訪問者に座ってもらう執務室の長椅子に天将は自分の飲み物を置いて時成を目の前に座らせる。そんな時成だが手を膝に置いて真剣に話を聞いていた。


「まぁそうじゃなければここの組織は駄目だと思いますけど」


思っていた通りに動いている人達の話を聞いて彼らは人なのだと安心する時成だが天将の言葉に驚いた。


「そこでだ、ちょっと千者に会ってくれないか?」


「千者大喜さんですか」


「千者商会の会頭の大喜(だいき)は昔馴染みでな、今の暗部の屋台骨だよ。時成と幼馴染な大輔の父親だ」


千者商会の販路が安定して暗部が行き来する道でもあり暗部のメンバーが偽名を作るときに必要になる高位の身分を偽るときはいつも商会の名前を出して納得してくれるぐらい名前が通った商会だった。それにはかなり実力をつけなければダメなのだが。


「分かりました」


それだけを言って時成はそんな千者商会に時成は足を運ぶこととなった。


ー-------------


ここは水増村の郊外。ここにはかつて水笠家が繫栄する中で生み出してしまった負の部分なのだが、父の代でスラム街は無くなり亮二の代ではそんな元スラム街は商店街として大きく繫栄していた。そんな繫栄を支えた一つの商会としてこの千者商会の本社があった。


「お久しぶりでございます。わざわざお忙しい中僕の為に時間をとっていただきありがとうございます」


お礼を言って軽く頭を下げる時成だが千者大喜には3年前に太陽に連れられてここに足を運んでいたときに顔見知りになっていた。


「貴方を歓迎はするが拒むことなど私にはないのです。今の身分や立場など関係ない。一人の父親としてうちの息子と仲良くしてもらい感謝しています」


大喜も頭を下げて二人同時、頭を上げて見合った。そこには時成の真剣な目で大喜を射抜いており、とても15歳が出す威圧感ではないなと感じた。


「天将さんに言われてここに来ました。貴方に一つしてもらいたいことがあります。貴方もその一人だと思いますが暗部結成メンバーの参加者を集めていただきたい」


「理由を聞いてもよろしでしょうか」


大喜も父親の顔から暗部メンバーの顔へ早変わりするが時成の敬語に少し違和感を感じた。何も自分には彼の立場的にも自分に敬語を使わなくても構わないと大喜は考える。時成は恩人の息子で龍我、と風の民の跡取り。その記憶を疑わないのはあの人が改竄していた記憶を返して元の記憶になったから。など早い思考回路で考える大喜だが時成が言った言葉に驚いた。


「何も僕は皆さんが風の民の、それも母の跡取りなのだから自分の言っていることには従わないと言ってもそれは信じられるのですよ。そんな彼らには母の子供だからとしか見ていない。春風時成としての人となりで信用してはいないのですよ。だからこそ僕はそんな自分が嫌いです。それでも僕は見たい景色を見えるようにするために皆さんの協力が必要不可欠なのです」


「それはどんな景色でしょうか?」


「この戦乱の世の中だからこそ争いがなく多くの人が笑顔になれるそんな夢物語みたいな景色を見てみたいそう思います」


会うたびに余り多くの感情を出さない天将の口からこの世界を変える。そんな馬鹿げた未来に向かって今は耐える時間だと。いつかは春風が吹くのだとそう聞いてきたのを大喜は聞きすぎていた。総合的に見て、彼がその夢に向かって走り出すその時から大きな戦乱が始まることを考えた。なるほどなこれは違った意味で彼にも人を惹きつけるような力がある。黒の殺し屋(ブラックキラー)と呼ばれた人達が彼に酔狂するわけだ。何となくだが彼なら出来そうだと五代目の夢を語っていたときと同じ雰囲気を感じる


そこまで考えた大喜だったが自然と自分の口から言葉が出て頭を下げていた。


「可能な限り声をかけようと思いますが余り期待をしないでください」


そして5日後、当時暗部を結成した時に参加して、今生きている全てメンバーが水笠家当主の屋敷に集まることとなる。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

次回『風の想い人』百九話は3月3日に更新する予定です。

活動報告を更新しています。内容は2周年の感謝と個人的な目標と謝罪。それと今後の更新予定とそれについての理由です。

次回もよろしくお願いします。

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