章間10話 歴史に名を刻む 後編
章間の更新は本日で最終日になります。
それを見た水笠レトはここに集まった人々を見てもう一度、現状確認した。
「改めて確認しよう。敵飯田軍は敵将の上野家当主が大将で集まった軍勢が約3200人その中で、敵負傷兵が約300人の中に上野家当主が入っている。そしてこちらの負傷兵は千愛音嬢のおかげで0人なり、海鮫家の援軍が到着したことで総勢約1100人にまで増えている。ここで意見をもらいたい」
それを見て考えこむ人たちの中、テツが発言した。
「夜襲をかけましょう。もう日が落ちて暗くなり始めている。今は指揮系統が乱れているはずです、狙うなら今しかない」
それを聞いた長澤が反論する。
「夜襲はリスクが大きすぎるここは防衛ラインを固めるのが先決では?レストム要塞からの援軍が来ることも視野に入れませんと」
あくまで確実に敵を追い払おうと考える長澤に結論を出したのは七美だった。
「テツ。暗部は何人いる?」
「はい、人数的には50人ぐらいですね」
「夜襲で行きますか。レトさんはどう思います?」
七美の中では夜襲案に固まったがその中でここの防衛を任されているレトに意見を求めた。
「隊を近づけるのと奇襲が成功する確率が高いのであれば間違いがなく夜襲が安全です。欲を言えば、レストム要塞がいつも邪魔なので落とせれば嬉しいですね」
いつも七美に無理難題を言われるレトにとって久しぶりに自分の悩みを言えたこの時七美の頭にはとある名案が浮かんだ。
「影。レストム要塞の詳しい情報と要塞に侵入しろと言われれば可能なの?」
呼ばれた影道は七美の背後に現れると。それを見て驚いたのは海鮫、水笠の両当主だったがそのようなことは気にもせず胸に仮面を当てて頭を下げて話始める。
「可能かと。また情報はもうすでに持っています。レストム要塞を指揮しているのは妖心村出身の佐伯議員で飯田に酔狂している武闘派でございます。」
「よし、レストムは影に任せよう。誰でも連れて行っていいよ」
「はっ。ならソーキをお願いします。こちらは慎重に動きます。援軍をよろしくお願いします」
影道はそう言ってソーキと目を合わせると二人は夜の闇へと消えていった。そして七美は案を出すと行動に移し始めた。
時刻は午後7時。たくと太陽、天将コンビは剣をとり休憩していた飯田軍を挟撃した。夜の闇がますます暗くなっていく中の敵襲に飯田軍は何人で襲撃されているのかがわからずに直ぐに混乱し始めた。そのような中で飯田軍は混乱しながらも負傷した上野家当主の命令でレストム要塞にまで退こうと退却を始める。だが空いていた水増村からは七美を大将にレトと翔が率いる水笠海鮫連合軍が流れ込み約30分間で飯田軍は崩壊することとなった。
ここはそんな退却をしている中で負傷した上野家当主は黒い仮面の黒服の剣士の太陽に殺されることとなるそしてレストム要塞にはこの勝利で勢いづいた連合軍が流れ込み、影道のおかげで指揮していた佐伯議員の暗殺に成功したおかげでレストム要塞の死者は佐伯議員のみで開城となった。ちなみに連合軍の死者は居なかった。
レストム要塞に入場した連合軍は宴会を開いて大いに勝利と味方の健闘を称えあっていた。その姿を見たレトは壁にもたれかかって隣にいた長澤に話しかけた。
「これを見て本当に七美お嬢様と敵対してなくて良かったと改めて想いますよ。長澤さん」
「まぁ僕には娘が仲良くしている時点で敵対することなど出来ませんでしたね全く。お嬢様が集めていた頃から曲者揃いだなとは思ってはいましたがここまでの戦果をほぼ初陣に近いメンバーで上げて今このレストム要塞に入城していることに驚きですよ」
特に戦果があったのは奇襲をした太陽とたく、天将、ソーキ、影道だった。そしてこのメンバーの他にも情報を繋いだり仕入れてきたりなど暗部と七美が呼んでいる組織の実力が自分が知っているのはほんの氷山の一角だったのだと教えられた気がした。
「一つ言えることは我々はとんでもないことをしでかしたと言うことだけですね」
レトは笑った。長年考えていたレストム要塞の攻略が出来て素直に喜んだのだが、この組織の実力を全く知らない敵対派閥には少し同情したが翔が言っていたことが正しいのだと思いった。
w154年12月3日のこの日、わずか3時間で飯田軍は壊滅し、さらには妖心村の外れで旧国境線沿いにあるレストム要塞が陥落し、付近で支配していた土地を風の民に占領された。そしてなんといっても上野家当主の討ち死にこの戦の指揮をとっていた七美には能力が割れていたのかこんな異名がついた。『記憶の七美』と。そして七美の名前が歴史に初めて登場したのがこの戦いだった。そして後に後世に語り継がれるこの戦いは『レストムの夜襲戦』と呼ばれた。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
七美の物語は三章が終了次第、また章間の話として更新していこうと思います。
次回『風の想い人』百七話2月23日に更新する予定です。
次回もよろしくお願いします。




