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風の想い人  作者: 北見海助
第二章 恐怖の象徴編
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百話 「今日死ぬことを望んでいる」

今年最後の投稿になります。よろしくお願いします。

「過激だな、沙羅」


テツは頭を抱えた。何せ魔法使いの幹部である上野の動向をここに居る人たちは知らないのに自分達以外で魔法使いが戦っている痕跡が一切残っていないことが大問題だった。それでもテツはその提案に伸るか反るかを決めなければいけない場面で、ここに居る魔法の専門家に聞くことにした。


「ソーキと沙羅に聞くけど、俺の中では紗奈香と美羽はかなりの魔法を操る魔法使いだと俺は思っているのだが、二人が戦っている雰囲気がこの近くでしない気がするのだが、どう思う」


「まぁ戦ってはいない……ような気がするな、俺の感覚だけど」


「私もよ、魔力を使う人が、もしかしたら戦闘していない気がするの。多分だけど『開花』って転移魔法を使えるはずだから飛ばされているのではないのかな」


「確かに奴は転移魔法が使えるな……よしやってくれ」


かなり悩んだテツだったがその言葉を聞いて燃やすことを決断した。その言葉を聞いた沙羅は近くにある木まで歩いて行くと赤い色をした小さい魔法陣を展開させる。その瞬間、突風が吹いて小さい火種は風に乗り、地面にある枯れた落ち葉に発火した。


「全員、中へ、戦闘に参加している人を回収して撤退する」


その言葉を聞いて暗部は全員飯田の拠点の中に入り始めた。時刻は午後6時50分を経過していた。



ー--------------


太陽と正則の勝負が始まってから17分が経過した。


「なぜ執拗に俺たちのことを狙うんだぁ辻斬り」


「知っているだろう、俺のことを。ああ分からないのなら教えてやるよお前が殺めた中で一番権力を持っていた被害者(ターゲット)の旦那だよ」


正則と太陽の会話には一つ大きなすれ違いがあった。正則側は何故多くの飯田の幹部を殺ったのかと過去のこと聞いたのに対して、太陽は今のことを返答した。それ以上に二人の頭の中にあったのは膠着状態をどう抜け出すのかが問題で考えていた。


太陽は黒い刀身の刀を両手でだらっと剣先を下に向けて持っているのに対して正則は刀を前に出して中段付近で構えていた。


先に攻撃を仕掛けてきたのは太陽だった。刀を速く右上に引くと同時に地面を強く蹴る。その速さは群を抜いた速さだが正則は脊髄反射だけで太陽の攻撃に合わせて白い刀と自分の刀で攻撃を防いだ。


キリキリと刀が擦れあう音が聞こえるが一瞬の攻撃の緩みで正則は太陽の刀を強く押し込んで怯ませる僅かな時間の隙を衝いて鍔迫り合いから脱出すると白い刀を空に浮かばせて呼吸を整えた。


落ち着いた正則は浮かんでいる白い刀を太陽の背後に送ると自分は太陽に向かって水平斬りをする。太陽は正則の攻撃を避けようとバックステップをしながら分かっているかのごとく刀を右肩から左下に向ける。


その瞬間白い刀と太陽の刀はぶつかり合い、すぐに白い刀を押し込むことに成功するが太陽は僅かに腹部が正則の水平斬りが当たりその箇所から血が流れ始めた。


「やっぱり通じないか」


攻撃が当たった正則だがかすり傷にしかなっていないことに対してそう言った。二人は一旦距離を置いて相手の様子を観察し始めた。そして正則は白い刀を自身の近くに浮遊させる。


分かってはいた。数多くの父の部下を暗殺してきたお前には生半可な攻撃は通じないと。でも俺にも矜持があるんだよ。それにここで殺さなければ、もう後がないんだよ。けど死を恐れていないのか背水の陣みたいな攻撃が続いているんだよな。まるで死を恐れていないみたいに


と正則は刀を交えて感じていた。


一連の攻防で血が少しずつ流れ始める太陽は自身が年を取り若い時ほど動かない体に鞭をうち仮面の下で笑い続けるが明らかに躱せていたはずの攻撃が当たり始めていることが悔しかった。


体が動かなくなりつつあるのは分かってはいたが悔しいな。まだそっちに行っても君は許してはくれないだろう。だからまだ……まだ俺は死なない。死ぬとしても決定的な一撃を入れるまでは死んでも死にきれない


そんな太陽の勝負だが黒の殺し屋(ブラックキラー)が見ていたならば全員がこう言うだろう。「今日死ぬことを望んでいる」と。


それぞれの思惑がぶつかる中、二人の勝負は決着がつこうとしていた。正則の後がないという言葉には2ヶ月前に行っていた四国不可侵条約連合の会議が関係していた。時刻は午後6時50分を過ぎていた。

 ここまでお読みいただきありがとうございました。

 

 今年の反省ですが相変わらず誤字と脱字が多く読む人に迷惑が掛かっていると思います。また更新時間が遅かったり速かったりとむらが多かった一年となりました。出来るだけ同じ時間に更新しようと心がけようと思っています。また更新時間の方はTwitterを開設して「何時に何話を投稿します」などと投稿して読者の皆様に分かりやすく伝えようかなと考えています。

 ですがTwitterの方はアカウントを作って放置しているので様々な準備ができ次第また報告させていただきます。少々お待ちください。


 長くなりましたがいつも『風の想い人』をお読みいただき本当にありがとうございます。この小説をお読みの読者の皆様が良いお年が過ごせることを心よりお祈りいたします。   


 次回『風の想い人』は1月6日に投稿する予定です。次回もよろしくお願いします。




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