表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/27

36話~40話まで

------------------------- 第36部分開始 -------------------------

【サブタイトル】

銀髪少年の残した言葉


【本文】

少女の呼び声とともに、木で張ってあった屋根を突き破り落ちてきたのは


「名を名乗れ!盗人!」


「だ~か~ら~、何度もラウルだと言ってるだろう?友恵」


「黙れっ!」


長い黒髪に独特な短刀を持つ少女と、銀髪で耳と尻尾があり、輝かしい銀の剣を持つ少年がその様なことを言いながら、火花を散らしていた。


「どうした!何があった!」


あまりにも大きすぎるその音に気づかぬ者などいるはずもなく、俺や葵、それに兵隊達も武装して春香達のところに駆けつけた。

そして、本当に何があったのか分からない位に、その場所は混乱していた。

まずは、謎の少女とサーシャが戦闘体制に入りかけていると言うこと。それに、あの時ペインキラーを仕留め、私こそが本物だと名乗っていた少女が銀髪の少年と戦っていた。


「春香…本当に何があったんだ、これ」


「私に聞かないでよ!目の前にいたけど、さっぱりなんだから!!」


そして、銀髪の少年は俺達が来たのを待っていたかのように戦闘中にも関わらず、こちらに話しかけてきた。


「よう、少年!無事に一つ目の難所を突破したみたいだな!いや~あそこで死なれると、こちらとしても大変だったから、一発目でいってくれてよかった。本当に」


「………は?」


何を言ってるんだこの少年は。まるで理解できない。

難所?大変?一発目?


「師匠、お戯れはそのくらいにしましょ。もうすぐでリープの時間ですから」


「マジで!?なら、いっちょやりますかー」


その言葉が聞こえたかと思うと、その少年は俺達の視界から消え失せていた。

そして、それと同時に俺、葵、春香、サーシャ、ジャル、ペインキラー、遊撃手の男以外の人間が泡を吹いて倒れた。


「なっ………」


「あいつはどこ!!」


「あそこ!!」


春香が先ほど突き破られた天井の方を指差した。

そこに、月の光が差し込むように当たり彼らの姿を眩ませた。


「少年!いや……洋一!」


突然銀髪の少年は俺のことを名前で呼んだ。

話した事もない相手なのに。


「お前には、これから辛い事がたくさんある!時には仲間をも裏切り、時には仲間を殺さなきゃいけないときもある!………それでも、生きろ!!……生きろ。人が死ぬことを恐れろ!そして……それらを守り抜け!!お前にはそれができるほどの力がある!」


「師匠……時間です」


「……………そっか」


「待てよ!何者だあんたら!」


しかし、その答えに返答はない。

代わりに、変なことを言ってきた。


幻霊石(げんれいせき)を持つ人間を集めろ!葵と春香も持ってるやつだ!それと、女神を守れ!そうすれば、いずれ俺に会える!……おっとあと一つだ!葵と春香は自分の神器のこと話しとけよ!……じゃあな!」


そういい残すと、彼らはその場から姿を消した。

まるで湯煙のように。

あとに残ったのは、静寂。そして、疑問。

ただそれだけだった。


------------------------- 第37部分開始 -------------------------

【サブタイトル】

サンドバック=洋一=……


【本文】

謎の銀髪少年御一行が去った後、倒れなかった7人は何も言えなかった。

と、言うよりは何を言えばよいのかがわからなかった。

その時、扉がガチャリと開く音がした。

全員がそちらのほうへ意識を向ける。

そこから現れたのは、キーと春香から呼ばれている少女だった。


「…春香!みんな!倒れた!早く!助ける!」


そこで全員がハッとする。

そうだ、こんなところで突っ立っているわけにはいかない。

話をするのはとりあえず、みんなを助けてからだ。

そうして、とりあえず、やれることをやろうと立っている全員が動き出した。



「……いいんですか~?あんなにヒントたくさん与えちゃって?って聞いてますか?洋一先輩!」


先程、たくさんの人間を一斉に気絶させた銀髪少年、ラウルこと洋一はムーンラビットと呼ばれる少女から、呆れを含んだような言葉をぶつけられた。


「いいんだよ、なつ。俺もこうして教えられてんだし」


「…ならいいんですけど…」


そんなくだらない会話を捺としていると、史奈に苦笑いされながら圧をかけられた。怖い怖い。


「師匠、早くしてください。もうすぐリープしますよ」


「もうそんな時間かー。さて二人とも、帰ったら……」


「それは言わなくてもわかってますよ!一緒に頑張って勝とうってことですよね?」


「いや、パルの媚薬実験があるから……頑張れよ?」


そうすると、二人は目を何度か瞬きすると同時に、


「「はぁ!?」」


と、驚きを隠せない声を出した。

うん、いいリアクションだ。これなら、きっとこいつらは大丈夫。


「さて、俺たちの居場所に…帰りますか!」


そうだ、帰るべき場所がある。だから、生きろ!俺!お前ならできる!

そうして俺たちは手をつなぎ、展開した魔法陣の上に乗ると、この時代から姿を消した。



はっと洋一が顔を上げる。


「どったの?ひろ」


先程までみんなを回復し続けていた俺が急に顔を上げたからびっくりしたんだろう。


「いや、なんかさ………生きろって……言われた気がしたんだ」


「……ひろ」


「ん?」


「それきっと幻聴。ほら!まだ30人もいるし、あんたが回復しないとみんな完全回復しないから、今日は寝ろ!」


そう言われるが否や、春香のこぶしが顎のすぐそばまで来ていた。

聞いたこともない鈍い音が響く。

そこで俺は、気を失った。


そして朝……案の定顎に大きなあざができていた。

ジトーと春香をにらむ。

殴った当の本人は、顔をぎこちなさげに動かして目線をそらそうとしてくる。


「てんめぇ…幼馴染でも」


両手で顔をがっちりとはさみこちらに顔を回す。

そして、春香の頬を思いっきり引っ張る。


「やっていいこととやっちゃいけないことぐらいあんだろうがー!!」


「イタイイタイイタイイタイ!!!悪かったって!昨日たっぷり絞られたんだから!」


頬をつねられてじたばたとする春香が目に涙をためながらそう言った。

相変わらず……ガキの頃からそうだったけど、こいつってここつねられると弱いよな。

さらに、思いっきり強くつねってみる。

思いのほか、弾力があった。

餅かよ!!

そう内心突っ込みつつ、


「いい加減、やめーやああぁぁぁ!!!」


また思いっきり今度は腹に重い一撃をもらい膝から崩れ落ちた。

こいつ、容赦ないし、相変わらずかわいくない奴だなチキショー。


「春ちゃん!そこは殴っちゃだめだよ!」


「…殴る!危険!」


そこに、葵とキーちゃんが入ってきてくれて遥かに指摘してくれる。

さすが元司令塔、しっかりとしたこと言ってくれるなぁ。


「殴るなら、その痛みを味合わせないようにしなくちゃ!!」


葵のその言葉に春香がその手があったか、と指を鳴らす。


「待て!それ遠回しに死ねって言ってるよな!?」


「よしひろ、一度思いっきり殴らせて、次に目覚めたときはきっと夢心地な素晴らしいところにいるよ」


「そこって天国だよな!?」


「生きて帰れば誰かが膝枕してくれるかもね~」


無責任なことを言い放ち、春香が殴る態勢に入る。

そして殴る直前、その右腕に金色の何かをまとった。


「破砕拳!!」


「俺はサンドバックじゃねえぞおおおお!!」


そのまま壁を貫いて森のほうまで吹き飛ばされた。

木に当たってもそれをへし折り、石にあたっても完全に砕き突き進んだせいで、俺の発見まで時間はかからなかったが、それはもうひどいありさまだったらしい。

貴方も大変ですね、とサーシャに声をかけられた。

ベットに寝かせられた俺は、それに苦笑いでしか答えることができなかった。


「前から、あんな感じだったんですか?」


「まぁな……。久しぶりに春香のこぶしを受けたけど、威力上がりすぎてこうなるとは思わなかった」


「まぁ……そうでしょうね」


そう言って目が合った。

とても優しい目をしていた。

優しい姉がいたら、きっとこんな感じなのだろうかとそう思うほどに。


「今日は、休んでください。貴方は怪我してるんですから」


そう言って、俺が寝かされた部屋から出ていった。

あれ、あいつ話だけしに来たのかな?

そしてここで、嫌な思い出がフラッシュバックする。

あの時、サーシャが回復魔法をかけた時確か火属性の魔法が出ていたはず……。

まさかと思い、体を急いで確認した。

案の定燃えていた。しかも怪我してて、多分細胞も死んでて痛みも感じないところが。


「お前ら、そろいもそろって俺を殺す気かー!!」


そう叫ぶことしかできなかった。


------------------------- 第38部分開始 -------------------------

【サブタイトル】

傷を癒そう


【本文】

次の日。

洋一がズタボロな雑巾のようになり、あと数日は行動できないだろうということで、この前の事件もかねて起きていたメンバーを集めて話し合いをすることになった。


「ほんと、誰のせいで足止めされていることやら…」


「大半がお前のせいだろ、春香」


「………、先にサンドバックになってってお願いしたよねっ!」


「してねぇよ!!」


「二人とも!今はそんなことするために集まったわけじゃないでしょ!!」


言い争いが始まりそうになったところで、葵が話を切る。

まだ春香には、色々と文句を言ってやりたいところだが、実際の所葵の言う通りなので春香との話を切る。


「騒がしくてごめんなさいね。それじゃ、話し合いを始めましょうか」


そう言って両手をパンパンと叩いた。

……が、もちろん話す内容など決まってもおらず、そこで行き詰ってしまった。

気まずい……。

そう、この気まずさに誰も話を切りだそうとしないのだ。

何か……何でもいいから話題を出さねば……。


「な、なぁ。知らない顔もあることだし、自己紹介……しないか?」


重々しく口を開く。


「そ、そうね。それがいいと思う。特に……そこの二人の事はよくわからないし…」


葵が遊撃士と友恵という名のペインキラーの方を見る。


「そうだな…名乗る必要はないと思っていたが…俺はグライ・ブリエだ。わけあって遊撃士をしている」


そういうと男はまた、黙り込んだ。基本無口な人なのだろうか。

そして、友恵に次行けよ言わんばかりの目配せをした。


「はぁ~……坂口友恵、もういいでしょ?」


嫌々と自己紹介をする。まるでその名前を忘れたいかのようなそんな感じだ。

そいて、それだけを言い残すと彼女は部屋から出て行ってしまった。


「もう!話し合いだって言ったのに」


「いや、話し合いにすらなってないぞこれ…」


そのあとは、なんやかんやで全員がいつも通りの自己紹介をした。

ただ一人だけ全くと言っていいほど中身の違った自己紹介をした人物がいた。

それは……


「都市フリーテの貴族うううぅぅぅ!!??」


「う、うん……」


その話を切りだしたのは、この前まで存在をすっかり忘れられていたジャルだった。

しかも、話を聞けば聞くほど超お偉いさんで、しかも槍の名手の一家ということがはっきりした。


「…そんなに偉いのに、どうしてこんなところにいるんだ?」


そして、口に出していったとき、しまったとそう思った。

それを聞いたジャルの表情が誰にでもわかりやすいくらいに曇ったからだ。


「わ、悪い……話しづらい話題振っちゃって…」


慰めの言葉をかけようとするが、何を言っていいのかわからず、また口ごもってしまう。

その時、キーちゃんが動いた。

その小さな体でジャルを抱きしめると、まるで母親のように頭をなでながら、大丈夫、大丈夫と声をかけた。

それがうれしかったのか、まぁうれしかったらロリコン認定されるけど、ジャルはその小さな腕の中で泣き始めた。

それはまるで、自分はここにいると親に忘れられた子供が泣いているかのような、そんな悲しい泣き方だった。

俺以外の全員はその場にいづらくなったのだろう。

足音を立てないようにそっと部屋をでて行ってしまった。


「いや、俺もつれていけよお前ら!!」


「大丈夫だって!ひろは空気にすらなることができる人の心を読める心優しい人間だからね!」


「それ単純に存在感薄いね、って言ってるのとおんなじだろうがー!!」


「あれ、知らなかったの?」


こ、こいつは~………。

もう怒りを越えて、呆れそうになる。

というか、思いっきりぶん殴ったんだから、俺も殴らせろ。

そう叫びたかったが、空気が空気だ。

仕方なく、ジャルの為に頑張って空気としてやりきることができた。

その時間、なんと四時間。

葵、春香、サーシャが生存を確認しに来た時には、俺の魂は口から天に飛び出そうとしていたらしい。

全員大慌てで口の中に突っ込んだらしかった。

その夜になってそんな話を葵から聞いた。


「だったら、おいてったりするんじゃねぇよ…」


「ごめんね、春ちゃんが面白そうだからおいていこうって…」


「いやおいてくなよ!」


「うん、そうする」


笑いながらそう答えつつ、俺の腹の怪我した部分にヒールをかけてくれる。


「……今度は立場が逆だな。昔は逆だったのに」


「……そうだね……」


「……話変わるけどさ、婆さんたちはどうした?」


「婆さん?……あぁ、婆様の事?それなら私たちがギャーギャー騒いでる間にみんな引き連れて帰っていったよ。私にこれを渡して……」


そう言って、葵はポーチのようなものから一冊の薄汚れた黒い本と、金色の盾のようなものを取り出した。


「……これは?」


「…禁術の本と婆様の神器。私はそう伝えられた」


「もう使えるだろうからってか?」


そういうと、葵はコクンとうなずいた。

しかし、神器は試練を越えて手に入れるんじゃなくて、継承という形で引き継ぐこともできるのか…。

さらに、あの敵が言っていた禁術の本を葵に渡したのか…。

なんでだ?俺らに渡すよりはよっぽどあの婆さんが持ってたほうが安全だと思うが……。


「ひろ君、これ見て」


そんなことを考えていた時、葵から言葉をかけられ、言われた通りそれを見る。

どうやら、禁術の本のとある一ページらしかった。

そこには……


もし、この本を持つ人が心優しい人ならばぜひお願いしたいことがある。

どうか、この世界に散らばった友達の思いを…ページを集めてはくれないだろうか。

私には、その資格がない。

そして、この本一冊で世界を救うことも滅ぼすこともできることを心に留めといていてほしい。

私たちはそれで、世界を滅ぼしそうになった。

その罪の代償はとても大きい。

だからもし、この本の全てのページを埋めることができたのなら、燃やしてほしい。

それが、私の願いだ。


「……なんで、俺らの時代の文字なんだ?普通はこの時代の文字だろ?」


「そう、私も気になったのはそこ。さらに言えばそういう魔法があるということは有名なのに、この本はそんなに時間が経っているようには見えない。でね、こっちにも書いてあるの」


葵がまた違うページを開いて見せてくれる。

そこには禁術第九条 ヘブンズゲート という文字と、その魔法の使い方、威力の大きさなどが書き記されていた。

しかしそれは、お世辞にも丁寧に書いたとは思えないくらいにぐちゃぐちゃに書かれていた。

まるで、個人用の魔法研究ノートそのものだとしか思えなかった。

そして、下の方に小さくこう書かれてあった。


私とあきちゃんで作った初めての特別な魔法!これでまた一歩王国奪還に近づいた!


「………」


「不思議だよね、文字は私たちのいた2000年代の文字、なのに書いてあることは私たちの時代では絶対に起こり得そうにもない話題。しかも引っかかるのは、ここ500年の間どの国も争いをしていない。まるで、別世界にいましたとでも言わんばかりにさ……」


「他にはないのか?」


「うん、私がもらったこの本には、この一つしか魔法は載ってなかった」


と、言うことはこの本のページを持つ人間を探し出して、この本を完成させろってことか……。

はぁ~ただ未来に帰ろうと道を探しているのに、余計なことがどんどんと降ってくるなぁ~。


「私は、この本を集めてみたい」


葵がそういった。

その目は真剣にただまっすぐとこちらを見ていた。


「ま、帰る道筋もたってないしな。いいんじゃないか?」


「もちろんひろ君も手伝ってくれるよね?」


「あ、ごめん。それは無理」


そう言った瞬間、先程までヒールしていてくれた両手の魔法を解除すると、いきなり水属性の魔法を傷めがけて打ち始めた。


「………手伝ってくれるよね?」


「ウィッス……」


葵も少しづづ春香に毒され始めているなとそう思った。

そのまま何事もなく数日がたち俺の傷が完全に回復した。

そして今、目の前には都市フリーテが見えている。

とりあえず、迷子にならないようにしようとそう誓ってその門をくぐった。

それが、その街に来ること自体が間違っていたと気づかずに。


------------------------- 第39部分開始 -------------------------

【第3章】

都市フリーテ編


【サブタイトル】

二ケア大陸編最終章都市フリーテ編 キャラクター紹介


【前書き】

何気に全員のフルネームと武器の名前出るのここが初めてのような気がする……


【本文】

今回は、結構キャラクターがたくさんいるのと、二ケア大陸編最終章ということで簡単な紹介をしていこうと思います。


高田たかだ 洋一ひろかず 13歳 推定レベル 130

ランク (E~5S)

攻撃 A 魔力 B 防御 B 回復 5S

メイン武器 名刀 名桐

神器 風華 水連

流派 頭義流抜刀術 我流剣

個性 ギア


大田おおた あおい 13歳 推定レベル 125

ランク

攻撃 B 魔力 2S 防御 A 回復 A

メイン武器 神霊樹の杖

神器 リクリエイサー

個性 サーチ


眞弓まゆみ 春香はるか 13歳 推定レベル 135

ランク

攻撃 S 魔力 C 防御 3S 回復 D

メイン武器 魔鉱石の籠手

神器 ペラネル

個性 レジスト


サーシャ・エルマニー 17歳 推定レベル 140?

ランク

攻撃 A? 魔力 E 防御 C? 回復 E

メイン武器 ペンデュラー

神器 なし

個性 空間形成


ジャル・マーリア 18歳 推定レベル 95

ランク

攻撃 B 魔力 4S 防御 D 回復 D

メイン武器 魔鉱石の槍

神器 ノーコメント

個性 不明


坂口さかぐち 友恵ともえ 17歳 推定レベル 230

ランク

攻撃 3S 魔力 C 防御 B 回復 C

メイン武器 漆黒の風

神器 ノーコメント

個性 不明


グライ・ブリエ 28歳 推定レベル 220?

ランク

攻撃 A? 魔力 A? 防御 A? 回復 D

メイン武器 魔鉱石の大剣 アラマティウス製試験用片手銃

神器 なし

個性 不明


キー・ジュオン 8歳? 推定レベル 35?

ランク

攻撃 E? 魔力 S? 防御 E? 回復 E?

メイン武器 連絡用鳥形魔獣?

神器 ノーコメント

個性 不明


------------------------- 第40部分開始 -------------------------

【サブタイトル】

二ケア大陸最大の都市フリーテ


【本文】

二ケア大陸最大の都市というだけあって、この街は人間が住みやすいような作りになっていた。

高い城壁とネズミ返し付きの城壁。

高く積み上げられた石の建物に、木造建築の一軒家。


「……これもう街じゃなくて国って言ったほうがよくないか?」


初めてこの街に着いたときに出たのがその一言だった。

今まで訪れた二つの街のうち一つは柵すらなかったし、ジャルと出会った街でもあったのはせいぜい五メートル程度の木の柵だった。

そして、ここはパッと見ただけでも十メートルはありそうだし、しかも今までの街と規模が違う広さだ。


「うん…私も魔女の森からこっち側に来たことはなかったから……ここまで大きいとは思ってなかったよ」


「え?このくらいで大きいなんて言ってたら、どこの街に行ってもそんなリアクションとることになりますよ」


しれっとサーシャがすごいことを言ったような気がするが、今は気にしないようにする。

それにしても本当に広い。馬車が三台全く違う方向に向かっていこうとしても、突っかからずにスムーズに進めるほどにだ。

これ以上に大きい街なんてあるのかよ……。

そんなことを考えながら歩いていると、あることに気づいた。

さっきから、葵とサーシャの声が聞こえないのだ。

ちなみに春香 ジャル キーちゃん 友恵 グライは軍として報告しなきゃいけないことがあるから先に行ってるね~、と言い残して先にこの街に来ている……はず。

周りを見てみる。

どこもかしこも人、人、人。

道はあるけれども三本も道が分かれている。


「………迷ったな、これ」


こうして一人また、俺は迷子になった。



「また迷子ーー!!??」


「春ちゃん、落ち着いて!いや、確かに迷子になった時はろくなことが起こったためしがないけどさ」


「だからこうして頭抱えてるの!」


軍に報告を終えた春香は葵たちと前々から約束していた宿についてそのことを聞くなり、近くにあった机に頭をガンガンとぶつけた。


「………痛い……」


「…当たり前じゃん…」


「そっちのほうはいったん置いといて、ジャルは?」


予定では春香と一緒にこの宿に来ることになっていたジャルが来ていないことが何か引っかかったのか、サーシャが質問してきた。


「あぁ、それならね、実家に半ば強引に連れていかれちゃって………」



「……………」


どこだここは。

一方そのころ、葵たちとはぐれた俺は適当に街をぶらぶらとさまよっていた。

そして、気が付けば大きな大理石でできた屋敷の入り口に立っていた。


「……………メイドとかいるかな……」


もしいるのであれば、とりあえずこっから大声で叫べば案内してくれるだろうか。

試しに叫んでみるか。

肺いっぱいに空気を吸い込む。

そしてされを思いっきり空に向かって吐き出す!


「すみま……」


「わああぁぁぁぁ!!何やってるんですか、洋一さん!」


後ろから慌てて口を押えられる。

多分この感じは……。


「……ジャルか?って………フッ」


「ちょっと、笑わないで下さいよ!それよりもここで何しようとしてたんですか」


「ちょっとごめん、少し笑ってからでいい?まさかそんな似合わない格好するなんて思わなかったから」


「しれっと失礼なこと言いますよね」


「だめ、もう無理。アハハハハハハハハハハハハハ!!」


いつもは簡素な鎧を身に着けていたジャルが今は何と似合わない白いぶかぶかのスーツのようなものを着ていた。

それが、あまりにも合わないというかなんというか、とりあえず、思わず見て笑ってしまうほどに可笑しな恰好だった。


「それより、家に何かご用ですか?」


「ハハハハハハ………は?」


え、家?

そう言えばジャルって貴族の息子だとは言ってたけど……まさか……。

その時、門の鉄格子が開く音がした。

そして、ジャルの帰りを待っていたといわんばかりに一人のメイドが出てきた。


「お帰りなさいませ、ジャル坊ちゃま。そちらのお方は?」


「…………もしかしてさ」


「はい?」


ジャルに恐る恐る聞いてみた。


「ここ、ジャルの実家?」


「……そうですけど」


「……………はあああああああぁぁぁぁぁ!!!??」


そう叫ぶことしかできなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ