76話~80話まで
------------------------- 第76部分開始 -------------------------
【サブタイトル】
お互いが進むべき道へ
【本文】
団長に呼び出され、俺たちは後をついていくとある部屋に案内された。
案内された部屋は、人が普通に通り抜けることができるほど大きい窓のついた部屋だった。
その部屋にあった椅子に、団長は座った。
「よいしょっと……それじゃぁ、話をしようかな。友恵、あなたには昨日頼んだ通りよ。…キーをよろしくね」
「………」
そう言われた友恵は、話が聞こえていないのか腕を組んでずっと何かを考え込んでいた。何度も呼び掛けたが、全く反応してくれなかったので、肩をたたいた。それで友恵はようやく、話しかけられていることに気が付いた。
「…大丈夫か友恵?さっきからなんか考えこんでるけど」
「…あぁ、別に、なんでも」
「それで、話って何ですか?団長さん」
葵は友恵が言われたことよりも、俺たちに対する話のほうが気になるようで、団長に話をするように急かした。
友恵のほうの話が一体どういうものなのか気になったが、団長の俺たちへの話も気になったので俺たち三人は団長のほうに近づいた。
「さて…それじゃぁ、話をしようかな?」
そういって団長は話を始めた。
「まずは君たちの神器の紋章についてだね。特に洋一君、君には今一度自分の紋章の形を確かめてほしい」
そういわれた俺は、グローブを外し右手の甲にある紋章を確認した。
そこには、カニのはさみのように剣が分かれている大きな剣が描かれていた。
…待てよ?神器に選ばれたときは確か、二本の剣だったような気が……。
「…やっぱり君が…そうなんだ…」
「そうって……これはいったい…。それに、どうして紋章のことを?」
俺は自分の中で疑問に思ったことを、団長に尋ねた。
けれども、団長は俺のその質問には答えてくれなかった。
どうやら、俺の紋章がどのようなものなのか、確認したかっただけみたいだった。
でも、そんなことをする必要があったのか?と、このままだと疑問が無限に湧いて出てきそうだったので、とりあえず、この考えを頭の隅に追いやることにした。
「次に…ここに来て、何か不思議に思ったことはない?」
いや、団長さん。あなたの行動に疑問を抱くことしかできないんですけど。
俺は心の中で、そう思った。
けど、不思議に思ったことという以前に、俺たちはここに来てすぐに力尽きるように寝てしまっているので、正直ここを見て回ってみないと何も言えない。
…あれ、そういえば……ここって軍の施設だよな。かなり大規模の。…なんでこの人しか見てないんだ?
「団長…他の皆は…どうしたの?」
俺が口に出そうとしたことを、春香が言った。
それを聞いた団長は、一度下を向くと顔を上げて口を開いた。
「……皆…突然消えてしまったよ」
「……え…」
「…気付いたときには、誰も居なかったの。そうね…例えるなら、今まで狐に化かされていたみたいにね」
それを言うと、団長は口を閉じた。
…おかしい。この話は、明らかにおかしい。
誰もかもが、この街から消えたのならこの話も納得できる。
…なぜ、この人は消えなかったんだ?
それとも…自分自身の手で消したのか?
俺はそうとしか思えなかった。
「団長さんは嘘ついてないよ、ひろ君。サーチで見てみたけど、心臓の鼓動や挙動におかしいところは何もなかった」
「…おやおや~、疑われちゃったか~。まぁ仕方ないよね~、何で私だけ消えてないのか、確かにおかしいもんね~」
「…なら、なぜ団長だけ……」
「まぁまぁ、その話はおいといて~。君達には行ってもらいたい場所があるんだよねぇ~。どこにいけばいいのか春香に指示は出してるから、んでそこから帰ってきたら、話してあげるよ」
そしてそのまま話が進み、結局俺が知りたかったことは知ることができなかった。
その後、今日まで休憩していきなさいと言われ、俺たちはもう一泊この場所で過ごした。
そして、夜が明けた。
「春香ー、俺たちのいく場所はどこだー」
「王都パチェリシカ!昨日何度も言ったじゃん!」
「…ひろ君、まだ地図の使い方分かってないんだね…」
「………」
なんにも言い返せねぇ…。なんだこの屈辱感は。
というか、見れるんなら葵たちが見ればいいよね!?
そんな言葉をぶつけたくもなったが、ここで喧嘩してもこの先一緒にいるのが辛くなるだけだ。
そう思い、出しそうになった言葉を飲み込んだ。
「友恵さんたちはどこに行くんですか?」
「……シトセ村…大きな教会のある村よ……何でまたあいつがいる場所に……」
どうやら友恵たちは、俺たちと行き先が違うようだった。
「…次会うときは、あんたらを殺すときね」
「何その怖い別れ方」
「キーちゃんも元気でねー」
「…春香も!げんきでね!」
そう言って、友恵はキーを背負うとシトセ村に向かって歩き始めた。
「さて…それじゃぁ俺たちも行くか!」
「「おー!」」
こうして、俺たちは王都パチェリシカに向かって歩き出した。
「…行ったかな~?」
「力のことで、かなり怪しまれていましたね。ティナ」
「その名前で呼ぶのはやめて、デスベル。それは私の神名でしょう?」
「これは、失礼しました。主よ」
「あんたはほんっっっっっっとうに頭が固すぎる!もう少し、柔軟に動けるようにしなさい!」
「…了解。夜」
「そ、それでよし!それじゃぁ、戻りましょうか。本当の仕事に」
もうそろそろシトセ村のはずだが、これといって建物が全く見えてこない。
道を間違えた?いや、そんなはずはない。何度も何度も確認しながら進んでいるから、道から外れているはずがない。
そんななか突然風が吹いた。かなり、焦げ臭い臭いを感じた。
…正直、これ以上足を進めたら本当に引き返せなくなるかもしれない。
それでも、この道を進めとあの人が言った。なら、進むしかない。
私の復讐が果たされるのなら。
そして、私は二度と戻ることのできない一歩を踏み出した。
------------------------- 第77部分開始 -------------------------
【第5章】
第一回SSGチャンネル
【サブタイトル】
SSGチャンネル!
【本文】
捺:始まりました第一回SSGチャンネル!
龍:……俺らがこれしきっちゃっていいの?
捺:あ、はい。OKです。ネタバレしない程度に何でもしていいって!まぁ無視するんですけどね!
龍:無視すんの!?
捺:と、言うわけでこのコーナーは、章末ごとに行われるいろいろ振り返っちゃおうって感じのです。私も詳しくはわかりません!
龍:えぇ…
捺:まずは自己紹介からです!私の名前は足柄 捺です!13歳です!今日は司会の子がまだ未登場ということで私が司会を務めさせていただきます!
龍:自分は、ちょくちょく話に出てる洋一たちの友人の内中 龍馬です。洋一の親友で、ライバルでもある存在です。
捺:今回はこの二人で進めていきまーす。ということで、まずは感想返しからですね!まずはこちら!
破裂の突進がすごい
捺:はい!理解できません!
龍:バッサリ言うなぁー捺。
捺:わかんないものはわかんないんです!
龍:破裂という言葉を使い過ぎって事じゃないか?
捺:…そんな感じですかね?
龍:貴重な意見ありがとうございました。参考にさせていただきます。
捺:はい、感想終わり!次いきましょう!
龍:えぇぇ…
捺:次は、読者さんが分かりづらかったり、は?こいつ何言ってんだ?みたいな疑問を解消する!
龍:…(無理矢理行くなぁー)
捺:今回の章は最後に行けば行くほど理解できなくなってますねということで、まずはここから。
結局、サーシャって何者?
龍:…あー、これあれだ。なんも言えないですね。ネタバレになるし。
捺:第6章当たりのボむごおぉぉぉぉぉ!!
龍:は~い、言ったらだめだぞ~。この情報だけはいったらだめだぞ~。
捺:…ちぇー、じゃぁ次!
ジャル君死んだの?
捺:…まぁ、ここではそう表記されてますね。
龍:このひと、めっちゃ強いよね。
捺:先輩、それ以上言うとひろ先輩に怒られますよ。では次!
グライの目的は?
捺:これはいつか言おうと思ってたので言いますね。グライがキーを狙う理由は召喚士を全員殺すという自分で決めた目標を達成するために動いているからなんです。
龍:…なんか、かわいそうな人だな。でもどうしてそうなったんだ?
捺:それは、友恵編で明かされるのでお楽しみに!
龍:(宣伝だけして逃げやがったぞこいつ)
捺:はい、次!
召喚獣の試練……終わり方が不自然
捺:わざとですね。
龍:あ、そうなんだ。てっきり忘れてるのかと。
捺:本来はクラーケンがパティと契約するはずだったんですが…その契約を無視して白鯨が飲み込んでしまいました。…と、言うことは?
龍:…あぁなるほど。つまり、まだ試練は終わってないんだな。
捺:ざっくり言っちゃえばそんな感じです。では次で最後ー。
夜って何者?
捺:………
龍:………
捺:コメントに困るな…。この人は、とても特別なポジションなので私たちもまだ正直わかってないんですよね…
龍:まぁ唯一言えることは、神名がティナグラ・マリアスということだけですね。よく覚えておいてくださいねこの言葉。すごいところで出てきますから。
捺:これからどうなっていくか楽しみですね!…と今回はここでおしまいみたいですね。
龍:もう、え?これで終わり?
捺:それでは、次回はかわいい子たちが出てくるのでお楽しみに~。……あの、パルさんの目がすごいんですけどってこっち来たああぁぁ!!!!
パ:その貴重価値のちっぱいを揉ませて!!
捺:誰が揉ませるかこの変態王女!
龍:……締めがこれでいいのか…というわけで、長話に付き合ってくださりありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いします。
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【第6章】
第一章 生き残るために 学校入学編
【サブタイトル】
生き残るために キャラクター紹介
【本文】
高田 洋一 13歳 推定レベル 140
ランク (E~5S)
攻撃 A 魔力 B 防御 B 回復 5S
メイン武器 名刀 名桐
神器 風華 水連
流派 頭義流抜刀術 我流剣
個性 ギア スピードをつけて加速することのできる個性
奥義 月光牙 紅桜
大田 葵 13歳 推定レベル 135
ランク
攻撃 B 魔力 3S 防御 A 回復 A
メイン武器 神霊樹の杖
神器 リクリエイサー
個性 サーチ 相手を調べることのできる個性
奥義 ディバインゲート 禁術ヘブンズゲート
眞弓 春香 13歳 推定レベル 145
ランク
攻撃 S 魔力 C 防御 3S 回復 D
メイン武器 魔鉱石の籠手
神器 ペラネル
個性 レジスト 一度かかった状態異常に二度とかからなくなる
奥義 破砕拳 烈破絶衝撃
------------------------- 第79部分開始 -------------------------
【サブタイトル】
王都パチェリシカ前
【前書き】
未来を変える事は、神ヴェブロニクスと時の審判のクロノス以外できない。そう、変える事はできないのだ。ある例外を除けば。俺らはその例外を守っていかなければならない。それが、今俺らに与えられた使命だ。 始まりの書より 著者不明
【本文】
それから俺たちは数日をかけてパチェリシカへ続く道を歩いた。
魔物にも何度か遭遇し、なんとか誰一人として怪我することなく、目標の街が視界に入るところまで来た。
「かなり時間かかったな。…あの街で大丈夫だよね?」
「大丈夫だと思うよひろ君。サーシャちゃんからもらってる地図だと、あそこがパチェリシカみたい」
「おー、改めてみると……でかいね。流石は世界最大の面積を持つ街だ。……でも、気を付けてね。あそこは貴族連合の本拠地でもあるから」
「まぁ、今回はそれの調査のためにここ学校に入学して探ってこいって話だったろ?」
「…おぉ、馬鹿なひろがちゃんと記憶してる…」
「…お前の今日の晩飯抜きな」
「ごめんって!それだけはやめて!私が料理作れないの知ってるでしょ!」
「…ま~た、始まった…」
ひろ君と春ちゃんは、よく喧嘩をする。話の中身は、正直どうでもいいレベルなのだけれど、それでも喧嘩する。まぁ、でもこれは喧嘩とは言わないかな?春ちゃんが自分でひろ君の機嫌損ねただけだし。
…頑張れ春ちゃん!
私は心の中で、春ちゃんのことを応援しながら、話に巻き込まれないように少し距離をおいて歩いた。
なぜ距離をおいたかって?近くにいると、春ちゃんの的になるかもしれないからです。
こんな感じで………
「飯くらい良いじゃんかー!!」
そう言って春ちゃんは、ひろ君をなぜか思いっきりぶん殴った。
殴られたひろ君は、殴られた勢いで私の横を通りすぎていき、近くの木に頭をぶつけそのまま気を失った。
…何でいつもこうなるんだろう、この二人。
そんなことを考えながらも、とりあえず頭の上に星が飛んでいるひろ君の元へ向かった。
ド派手に木にぶつかったものの、それほど目立った外傷もなかったので、ひろ君が目を覚ましてから私たちは足を進めた。歩いている間に、ひろ君にさんざん文句をぶつけれらていたけれど。
それからしばらく街に近づくまで歩いた。そして、とても大きな門がもうすぐそこまで来たときだった。
「誰かいませんかー」
すぐそばで声がした。
声のする方へ行ってみると、自分たちと同じくらいの年の子が四人いた。
俺らが近づくと、その子らの一人がこちらを見て表徐が明るくなった。
「ね、ね、君たちの中で回復できる人いる?こいつが怪我しちゃってさー」
「お前の魔法が俺に当たったんですけどね。大体魔法使いが初歩の回復魔法も覚えてないとか、そこのところ、どうなんよ」
「私がいなかったら、ろくに戦えないくせにー」
「いつも一人逃げてるくせに」
「黙れ」
…え、なにこの人たち。助けを求めといて、俺ら放置で喧嘩ですか?
訳がわからない…といたいところだが、俺らもどっこいどっこいだよなぁー。特に春香とかね…。
「…ひろ、もう飯抜きでいいから一発殴らせろ」
「何で!?」
「あんたの考えてることが分かったから、ってことでふん!」
理不尽だ!と言葉を口にするまでもなく、俺は春香に今度は顔面をぶん殴られた。
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【サブタイトル】
供に王都パチェリシカ、ドルーナ校入学試験へ
【前書き】
世界を行き来するには、資格が必要らしい。幸いその資格は俺が持っていた。さて…こことは違う次元に存在する異世界は、一体どこに繋がっているんだろうか。 始まりの書より 著者不明
【本文】
「へー、あなたたちもあのドルーナに入学試験受けに来たんだ。私達もそうなの!」
そう話すのは、先ほど助けを呼んでいた女の子。友枝 千里。
「お前がそんなこと言うから、俺たちまで行くことになったんじゃねぇか…」
「そうだそうだー」
「あだ名がゴリラと言うだけはあるな」
「うっさい!」
そして、千里に文句をぶつけているのは上から順に、牧野 透、岩神 林太、城崎 翔斗。どうやら、さっきの話を聞いた感じだと無理矢理、千里に連れてこられたようだった。
だがこいつらの話、俺には他人事のようには聞こえなかった。
だって春香がいるから。
「…大変だよな。わがままな仲間がいるとさ…」
「だよなだよな!」
「…洋一も苦労してるんだな…」
「そっちにも、ゴリラみたいなのがいるのか…大変だな」
あー、こういう環境凄くいい。マジ最高!
勿論、こんなことを口に出して話していたので春香と千里に男全員ぶん殴られた。
話を戻そう。今、俺たちと一緒にいるこいつらは、先程助けを求めていた人たちだ。
話を聞いたところ、味方の魔法攻撃が当たって大怪我してしまい、自分たちではどうしようもできなくなって助けを求めていたらしい。
正直、その話を聞いた瞬間あほらしいと思った。
なぜなら、昔師匠から生き残れない奴は戦場に立ってはいけないと言われたからだ。
まさにこいつらがそうだと思った。だが、戦闘のセンスは見た目だけで判断できない。
だから、おれはこの時こいつらに何も言わないようにした。
まぁ実際、関わってみないことには、こいつらがどういうやつらかわからんしな。
それで今、この様である。
やべぇ、この前までこういう冗談いいあえるやつがいなかったから、凄く楽しい。
…まぁ、色々と心に引っ掛かるものはあるけれど…。
きっとここに、ジャルやサーシャがいたら……もっと楽しかっただろうな。
「ひろ君!着いたよ!パチェリシカに!」
葵にそう声をかけられた。
どうやら話したり考え事をしている間に、街のなかに入ってしまったようだった。
この街は、春香の団長から聞いた情報によると、城と学校を中心とし、六角形の形をした外壁に囲われている場所らしい。陸からも海からも完璧に守られた形になっている。
…ここに忍び込んでこいとか…俺ら初心者みたいな連中に任せるあの人おかしいだろ!
まぁ、俺らしか頼む人がいなかったからだけどさ!
「…そう言えば、この学校…どうやって入るんだ?俺らここに行けって言われただけじゃん」
俺がそう言うと、千里たちが目を丸くして驚いた。
「嘘でしょ!?知らないの?凄く有名じゃない!」
「…有名って言われてもなぁ…」
「私たちそんなにこの世界を知ってる訳じゃないし…」
「千里ちゃん!ここってどうやって入学するの?」
いつの間にか千里と仲良くなった春香が尋ねた。
すると、よくぞ聞いてくださいましたと言わんばかりに話し出した。
「普通の有名な学校はね、入学者同士で戦わせて勝ち残った人が入学できるんだけど、ここドルーナはね少しだけ変わってて、学校から馬車で適当な場所まで運ばれたあとこの学校まで時間内に戻ってくる、っていう試験内容なの!変わってるでしょ?」
「…成る程。実践的な試験か。すごく面白そうじゃん」
「でしょー」
俺はこの時、この試験を甘く見ていた。なぜなら、そういう体験は、小学生の時に嫌というほどやったからだ。だからこの学校の調査も以外と楽勝かもしれないとそう思っていた。
「ほら今ちょうどその試験の受付の真っ最中!早くい行こっ!」
そう言って、千里は一緒に来ていた友人たちの首根っこをむんずと掴み、そのまま引きずりながらドルーナの校門まで歩いていった。
「…俺たちも行くか」
「そうだね。行こう」
「さぁて、ちゃっちゃと終わらせて、早く団長の元に帰ろう!」
そうして俺たちは、ドルーナ校へ足を踏み入れた。
先に入っていって受付をすませた千里たちに、受付をする場所を聞いてそれぞれ受付を済ませると、それぞれ一枚の紙をもらった。俺には4葵と春香には5という数字が書いてあった。
いったいなんの数字か分からなかったので、とりあえず千里にでも聞いてみようと思い千里たちと合流した。
「春香ちゃんは何番だったー?」
「私と葵ちゃんは5番だよー」
「きゃー!一緒じゃーん!」
そう言って、千里は春香たちの手をとり、ぴょんこぴょんこと跳ねた。
「洋一は何番だった?」
透にそう尋ねられ、俺は持っている紙を透たちに見せた。
「お、俺らと同じ馬車じゃん!一緒に行こうぜー」
「この番号って馬車の番号だったのか?」
「そうだぜ。ほら、あそこに番号のついた馬車があるだろ」
そう言って透は少し遠くにある馬車を指差した。
そこには、確かに1~5ま数字が書かれた馬車が待機していた。
きっとあれでどこかに運ぶのだろう。
そうやって、千里や透たちに色々と聞いているうちに周りにいる人たちがある一点に視線を集めた。
俺たちもその視線の集まる方を見る。
そこには、杖をもったいい年の白い髭を生やした凛々しいおっさんが立っていた。
「諸君!よく集まってくれた!私がこのドルーナの学長のフェル·レインだ!知っているとは思うが早速、指定された馬車にのってくれ!」
フェル·レインという学長がその一声を上げると、ここに集まっていた人たちが我先にと馬車に乗り出した。
「ちなみに、試験の期限は一週間だ!それまでに戻って来た人間を我がドルーナ校の生徒として歓迎しよう!」
どうやら、試験の期限は一週間あるらしい。それに、特にルールについて説明も無かったから、もしも転移系の魔法が使えるのなら、ついてから一瞬でここまで戻ってくると言うことも可能…つまりは、何でもルールってことか。
中々に楽しめそうだった。今までの悲しみを払拭するのにはちょうどいい。
「じゃぁひろ君。私たちは5番だから三人で戻ってくるね」
「あんただけ落ちるんじゃないよ、ひろ」
「お前らもな、じゃぁ次会う時はここでだな」
「うん…それじゃ、行ってくるね!」
そう言って葵と春香は馬車に向かった。
「洋一俺たちも行こうぜー」
透たちも一時の別れの挨拶を終えたらしい。
そうして、俺たちも指定された馬車に乗り込んだ。
少ししてから、入り口に布が被せられ完全に外が見えなくなった。
どうやら、着く場所がどこになるかわからなくするための目隠しらしい。
そして、全ての準備が終わったのか、馬車がゆっくりと動き出した。
「…さて、今回は何人の人が来ましたか?紫雷」
「はっ、約5000人程度です」
「5000ですか……ふふふふひひひひひひひ。さぁ…一体何人の"人形"がここに戻ってくるんでしょうね………ひひひひひひひひ」
そんな声を上げながら、学長のフェルは出ていく馬車を見送った。




