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見知らぬ天井だ…。

 街に戻り一言変態の冒険者と盗賊のことを門番の兵士に伝える。


「あっやっぱりレノバさんに会ったんですね。あの変態冒険者森の中だと見境ないですからね。大丈夫でした?」


 そう話しかけてきたのは夕方でるときにもいた兵士の人だった。


「なんとか逃げ帰ってきました」


「あの人悪い人じゃないんですけどね」

 そう言って遠い目をする門番。


「そう言えば、盗賊の注意してくれてありがとうございました」


「えっ盗賊?」


「はい。さっき盗賊の注意を……」


「あっあれは盗賊じゃなくて変態冒険者レノバさんの注意ですよ。なにをおっしゃるんですかアルフグレイドの生徒さんなら盗賊くらいにはおくれをとることはないでしょ。」


 なんかものすごくまぎらわしい注意だった気がする。

 変態レノバと盗賊たちはその後街の兵士たちが迎えに行ってくれたらしい。

 できればもう二度とかかわりあいたくない。


 ★


 翌日。

 俺は少し早く起きて、魔法訓練場に行く。


 クラウドの訓練も大事だが、俺の訓練もしないとこの先、生き残っていけない。

 俺が放った魔法はクラウドに魔力ドレインしてもらって吸収してもらえばクラウドの訓練もできて一石二鳥だ。


 ただ、それを誰かに見られるわけにはいかない。

 できるだけ手の内は内緒にしておいた方がいい。

 自分の手の内をすべて相手にさらすということは、それだけ命の危険に直結するのだ。

 これは学生だから関係ないということはない。


 そんなことを考えながら魔法訓練場の中に入るとどうやら先客がいる。

 ものすごい勢いで魔法を放っている。

 すごいな。先輩かな?


 そう思って聞いていると急に音がやんだ。


 バタン!!


 あっ…倒れた。


 ★


 さて、どうしよう。


 見なかったことにするなんて選択肢はないけど、先生を呼んできた方が早いか、それとも救護室に連れていってしまうか。


 見た感じ魔力を使いすぎた魔力切れだろう。


「わかりますか」

「…」


 だよね。返事がある訳ないよね。

 これはあれか。昔の勇者が言って世界中で使われたネタを言っておいた方がいいのか。

 返事がない。ただの屍のようだ。


 いや、そんな冗談を言っている時じゃないな。

 見た感じかなりの美人だ。

 こんな朝早くから魔法を気絶するまで放つくらいだから何かわけがある人かもしれないけど。

 肌が透き通るくらい白い。


 少し小柄だが、でるところはでているな。

 間違いなくこの人はどこに就職しても可愛すぎる○○になる人だな。

 ってなにを観察してるんだ。


 はぁ。今手元にマジックポーションはない。

 となるとやっぱり救護室まで連れて行くしかないか。


「クラウド悪いけど、今日の朝練はなし。この子を救護室まで連れていくから。」

「ピギゥー」


 ここはやっぱりお姫様抱っこで…と思ったがおんぶだな。

 理由はほら、お姫様抱っこだと足側スカートだから他の人に見られたら大変だし。


 まだ学生は誰も来てないけど。

 決して背中に当たる何かを期待しているなんて邪な考えはない。


 あれ…救護室って確か別棟の1階だったよな。

 よしじゃあ本館の1階から遠回りをして……。


 なんて考えただけでちゃんとまっすぐ救護室へ向かった。

 ただ、少しだけ揺らさないようにゆっくりと歩きはしたけど。



 ★



 救護室につくとまだ先生も来ていなかった。

 どうしよう……多分魔力切れだよね?


 あっ鑑定してみればわかるか。

 とりあえずベットに寝かせて、症状のみ鑑定する。


 いくら同じ学生とは言え相手のステータスを勝手に見るのはやってはいけないことだ。

 俺も、もし勝手に見られたならばそれはそれで嫌だ。


 名前 アスリア

 状態 魔力欠乏


 うん。スリーサイズくらいならだしてもいいかな。

 あと年齢とかも鑑定してもいい。

 あとできれば好きな食べ物とか。


 って鑑定はそこまで万能じゃないんだけど。


 さて、魔力欠乏ってわかればいいや。

 救護室内にあるマジックポーションを探す。


 多分、どっかそのあたりの棚にあるはずだ。

 ガサゴソ……。


 おっ発見。ラベルにマジックポーションと書かれている。

 蓋を開け少しずつ口の中にふくませる。


 あれこのシュチュエーション。

 勇者が昔好きだった相手に口移しで飲ませるっていう話しがあったがこれがもしかしてチャンスなんじゃ。


 ドキドキ。

 これは人助けだ。

 よし。俺も勇者に……。


『ガラっ』


 ですよねーそうですよねー。

 そんな素敵なチャンスは俺の人生には起こりませんよねー。

 俺が勇者になれる日はこないですよねー。


「あらっどうしたの?」


「あっおはようございます。朝から訓練場に行ったらこの人が倒れていて、魔力切れっぽかったのでマジックポーションを今少し……」


「そうなの。ありがとう。君はアルスくんよね?」


「あっはい。何で名前を…」


「この学校で卵配布日に人助けしてとはいえ遅れてくる子なんてなかなかいないからね。普通は他人を蹴落としてでも卵を優先させるものなのよ」


「なるほど。あのマジックポーション戸棚から勝手にとってしまったんですけど……」


「大丈夫よ。あなたなら。それよりもそれ少しずつ口の中にいれてあげて」


「わかりました」


 マジックポーションを少しずつ彼女の口に入れてあげる。

 喉が動いているから飲んでいるようだ。

 ちょっと複雑な気がする。


「それじゃあ、私は今から会議だからその子はそのまま寝かせておいて、アルス君は授業はじまる時には教室にいきなさいね」


「わかりました。」


 大丈夫かこの学校。いくら俺でも年頃の女の子と部屋に2人だけにするって。

 その後、先生は俺たちを二人残し部屋からでていった。


 マジックポーションを最後まで飲ませ終わると、特にやることがなくなったのでクラウドに魔力を与える。この時間じゃあもう訓練場行ってもたいして訓練もできないし。


「……そろそろ教室へ行くか」


 俺は一人女の子を救護室に残し部屋をでた。



 ★



「うっ……見知らぬ天井だ……」


 確か一度は言って見たい異世界名言集に入っていた言葉だ。

 ついに私も言える日がくるとは。


 ってそんなことよりも私は魔法訓練場で魔法の練習をしてはず。

 たしか最大魔法を使おうとしてMPが切れて……。

 倒れたんだ!


 でも、なんでここにいるんだろう。

 ここは救護室だろう。

 まわりを見てみるとちょうど部屋からでていく男性の姿が見えた。


 えっ見知らぬ男性が私の身体を……そんな……って別に衣服は乱れてない。

 顔の横にはMPポーションの空の容器が置かれている。

 あの人が私を助けてくれたのね。

 あの人が私の運命の人。


 その男性の肩には白いトカゲが乗っている。


「あっあの……」

 私の声は彼には届かなかった。

 でも白いトカゲの魔物なんてきっと珍しいからそのうちわかるわよね。

 それに、あの時間に魔法訓練場にくるってことはきっとまた会えるはず。


 私も起きて教室に行かないと。

 そうして私はSクラスへと向かい救護室をでた。

 いざ孤独の教室へ。

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小説書籍化しています。 ぜひ手に取ってもらえればと思います。 テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
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